畑だった畝がいつのまにか雑草園になったところへ蝶や蜂がやってくる。その中に、翅が半分くらい欠損していた蝶がいた。どうやら「ツマグロヒョウモン♂」らしい。夫婦喧嘩で敗れたのだろうか、いじめられたのだろうか、もう、飛ぶ力は残されているのだろうか、蜜を吸っているというより止まっているのがやっとのように見える。いのちのある限り生き抜こうという決意さえ感じてしまう。
そのそばでは、「ウラギンヒョウモン♀」がうまそうにニラの蜜を吸っていた。ハチが寄ってくると追い出すくらい真剣になわばりにこだわる。このへんは現代の人間とおんなじだ。生息地は草原なので、草原がなくなっていく都会からは消えていく運命でもある。ウラギンヒョウモンの減少は、過疎地から人間がいなくなるのと同じ運命をたどっているというのは言い過ぎだろうか。ちなみに、名前の由来は裏の翅の白班が銀に見えたということらしい。