畝を作ろうとしていたら、野生化している「キクイモ」が出てきた。いつもそうなのだが、ちょっと掘り出すとまるで露天掘りのように次々収穫できる。あっという間に篭いっぱいとなる。畝づくりの障害になるのでキクイモは除去しなければならない。しょうがないが粛々と収穫する。
野生化するくらいの野菜は栄養価も高い。キクイモは「畑のインシュリン」と言われるくらい糖尿病対策にはうってつけの食材でもある。キンピラのように炒めるとシャキシャキして旨いし、油で素揚げすればおやつとなる。屋外で七輪やコンロの上でアルミホイルに包んで焼けばホクホクの甘い焼き芋となる。オイラは毎年のように味噌漬けをやってきた。それぞれ旨いのではあるけれど、難関はそこまでに至る手間だ。
泥を落とすのにけっこう時間を取られる。いつも半日はその作業に追われる。2月だとブルブル震えながら寒さと闘う。4月に入ってからのんびりやってもいいじゃないかとわかる。ただしそれ以上になると芽が伸びてしまう。
最近はキクイモの効能が知られてきて、直売所でも見かけるようになってきた。しかし、手間がかかるので儲からないのは間違いない。商品化への道は険しい。ちゃんと栽培すれば形の良いものが取れそうだが、野生化すると形がまちまちでカッテングにも時間がかかる。
さりながら、稼ぐことを考えずにしぶしぶと収穫しながらも食べていけば毎年平和共存ができる。糖尿病予備軍のオイラにとってもキクイモはその対策のアイテムとなるというものだ。というわけで、野生化も良し、ということになる。わが家の縄文経済は、採集生活が重要な生きる糧なのである。