浜松市春野町出身で宝塚の演出家・白井鐵造は有名な「スミレの花咲くころ」の作詞を手掛けた。
「春すみれ咲き 春を告げる / 春 何ゆえ人は汝を待つ / たのしく悩ましき
春の夢 甘き恋 / 人の心酔わす / そは汝 すみれ咲く春」
そんなスミレの咲くいま、その種類も様変わりし、わが畑に外来の新参者が勢力を伸ばしている。
北米原産の「ビオラ・ソロリア」というスミレがいつのまにか、忍者のようにいろいろな所に進出している。図鑑を見ても掲載されていない。青い花の大きさも葉の多さもいかにもアメリカらしい。この青花の品種は一番元気がよく「パピリオナケア」と言うらしい。
同じ仲間で白花に青い筋が入った品種は「プリケアナ」。個人的にはこちらのほうの風情が気に入っているが、勢力拡大ではやや遅れをとっている。花の中央の「ヒゲ」が長い。しかもそのあたりが黄緑色であるのもおしゃれだ。
これらの「ビオラ・ソロリア」は、和名では「アメリカスミレサイシン」という。基部がワサビ状に太くスミレサイシンの根茎に似ているところから命名されたようだ。だからか、勢力抜群で野生化の道を驀進している。
ここ最近またまたやってきたのは、「スノープリンセス」という白花の「ソロリア」だった。どこからきたのかわからないが、一つの群落だったものがもう三つの群落を形成していた。名前はネットで検索できたが「スミレ図鑑」で調べても掲載されていない異端の園芸種だ。
この「スノープリンセス」の白さはよく目立つ。花の中央はすぼみ気味で「しべ」が見えない。この中央も黄緑色がうっすら滲んでいる。これら三つの「ビオラ・ソロリア」の進出をどうするか迷うところだ。他の植物を駆逐してしまうのなら駆除という代執行もやぶさかではないが、そこまではいっていないので悩ましい。スミレの花咲くころはやはり悩ましい。