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つい先週までは蕾だった裏山の「ヤマツツジ」が満開となった。どれも小振りで控え目な花数だ。その慎ましいたたずまいが藪の中でドキッとするほどの存在感がある。
花の色は赤色というより「朱色」と言ったほうがぴったりとする。園芸種のツツジはいかにも華麗で都会のセンスらしさにあふれている。しかしこのヤマツツジは思春期を過ぎた重厚な落ち着きを山里に感じさせる。
また、はじめは4~5本だった「シャガ」がどんどん増えてきて今では山のあちこちに群落を形成するほどになってきた。群落がもっと集中すればちょっとした花園となるのになかなか思う通りにはならない。それにしてもなんという貴婦人のような高貴さにあふれた花だろう。
実際、山の杉の木陰でひっそり群落を形成している姿を何か所か目撃している。その見事さは今の季節ならではの瞬間だった。その高貴さは中山間地のささやかな誇りを秘めている気がするのは思い過ごしだろうか。