洗練されたイギリスのMG社製のオールドカーは今見てもカッコいい。1953年型のスポーツカーらしいが、戦後間もなくの時期に生産されたもので、疲弊したイギリス経済を立て直すのにも貢献したという。というのは、生産した車の半分は戦勝国アメリカ向けに輸出していたからだ。いかにもイギリス紳士らしいダンディーな出でたちだ。
車輪にもMGのエンブレムが施されている。MG社創立は諸説あるようだが、1910~1924年にこの種の車が生産されている。名前の由来は、1910年最初に売り出した販売店名が<Morris Garages>だったことかららしい。
直線から作られたMGのエンブレムは、1927年から使用開始。当時は幾何学図形をモチーフにした「アールデコ」全盛の時代の影響があるようだ。こんな小さなロゴにも時代が反映されているのかと小さな発見に喜ぶ。この八角形のロゴは「オクタゴン」と呼ばれる。そういえば、八本脚の蛸は「オクトパス」だったね。
現在のMGは、中国の「上海汽車」グループの傘下に組み込まれている。モリスさんの個人企業があれよという間に大きくなったが、今では中国に買収されるという自動車企業の仁義なき戦いのすさまじさにいつも考えさせられる。しかし、MGを所有する「MGオーナーズクラブ」の会員は世界に5万人もいるほどファンが多く、発言力・影響力もあるという。