「春野山の村」で小道の枝をよけながら歩いていたら、枝のような蛇が目の前にいた。
道を横に通せんぼさせられたわけだが、動かないので枝と間違うところだった。
マムシやシマヘビではないのはわかったが、「アオダイショウ」かと予想する。
首の下がややオレンジ色だったので、ひょっとすると「ヤマカガシ」だったかもしれない。
なにしろ、蛇の種類は少ないとはいえ、変異が多くてわかりにくい。
蛇は触らずジャンプして道の前を進むことにした。
ヤマジノホトトギスの花にツチバチが密を吸っていた。
腹に黄色い斑紋がある「キオビツチバチ」だった。
ハエのように体は剛毛に追われている。
胸と腹が針のような細いものでつながっている「ジガバチ」は、自分の巣穴に獲物を運ぶのを見たことがあるが、「ツチバチ」は、そこを手抜きしているものぐさ蜂だ。
というのも、地中のコガネムシの幼虫を探知して掘り進み産卵して、そこで寄生して成虫になる。だから巣は必要ないし、獲物を力づくで運ぶ必要もない。
同じ蜂でもずいぶん違うものなんだなー。
最近、静岡県知事の川勝平太の著作に注目しているが、その彼が師と仰ぐ生物と自然を統合した自然学を提唱している今西錦司へと興味をもち始めたところだった。
今西錦司の生物の「住み分け」理論は、ダーウィンの進化論をしのぐものとされるが、そんな「住み分け」をツチバチとその仲間から思いだした。