私的には、富士講よりもその銘文中に日光男体山信仰についても記されているので、栃木県の男体山信仰に関する石碑を求めている私としては、是非にこれは拓本を採りたかったもの。しかもそれが、これでもって男体山碑に関する調査のけじめとなる石碑なのでなおさらである。しかしなが、昨年から手拓に同地へ行くこと、今回で三度目。過去二回は、いずれも強風のために追い返されていたが、今回は少し風はあるものの何とか手拓出来る日和である(写真全景は、今年3月30日の当ブログに掲載済です)。ただ、石碑本体の高さが254㎝もあり、加えて大きな自然石台座の上に乗っているので、特に篆額部分にはその自然石の上に登ってやっと手が届く状態。手拓部分のの篆額から銘文最下部までは180㎝なので平地に立っているなら問題ないのだが、画仙紙の水張だけでも少なからず苦労した。だが、今までの小さな文字の墓碑に比べれば文字は大きくしかもしっかりとした楷書体なので、墨入れは実に楽しい時間であった。尤も、篆額上部から水張した画仙紙では長さが足りないので、継ぎ足しとなり余計な手間暇がかかってしまったが。そうして採ったのが上記の拓本画像である。きょうから、この石碑の銘文清書作業に入るが、まあ難しい異体字も熟語も使われていないのでこれも楽しく作業ができるだろう。
さて、銘文を読んでいて気になるのは、11行目に「凡登拝富嶽七十五回、又嘗開富士中道捷路(近道)、翁所謂中道捷路開山祖也」という箇所である。中道=御中道とするなら、既にあった御中道とは別にその近道を開いたということなのだろうか?。と、思う。富士山には厳冬期を含めて二十歳代に3度しか登っていないし、もちろん今のように登る山としての富士山として以外は興味を持たなかったので何も判らない始末だが、当時の扶桑教大教正である高崎市蔵が撰文しているので、あながち誇張しての文章ではないだろうと思う次第である。
※後日談として、先週5月5日の石碑調査の朝になって、亀の子束子等の掃除道具と霧吹きを同地に置き忘れたことに気づく。前日に気づけば新しいのを用意できたのだが、当日の早朝ではそれも出来ない。これから今日は拓本を採りに行くというのに、特に霧吹きが無くては話にならない。そこで、同行者の高橋氏と落ち合うまでに現地へ行って探してくることにして、落ち合う時間よりも一時間早く家を出て現地へ行けば、案の定だれもこんな石碑の所へ来る人もいなかったとみえ、石碑の脇に私を待っていたかのようにそれらがチョコンと並んでいる。それを急いで回収して、何とか待ち合わせ場所へ遅れることなく着いたので一安心しつつ、大笑いする。気分は、何となく一仕事を終えた気分だったが。(笑)
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