一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『SCOOP!』……リリー・フランキー、吉田羊、二階堂ふみの熱演光る超面白作……

2016年10月09日 | 映画


リリー・フランキー、吉田羊、二階堂ふみなど、
私の好きな俳優が多数出演していたし、
監督が、『モテキ』や『バクマン。』の大根仁だったし、
音楽を担当していたのが川辺ヒロシであったし、
しかも、写真週刊誌の編集部が舞台の映画ということだったので、
ぜひ見たいと思っていた『SCOOP!』。
これだけ私の好きな要素が詰まっていれば、
面白くならないわけがない。
で、実際に見た結果はどうだったかいうと、
これが、予想通り、すこぶる面白かった。
〈見に行って良かった〉
と、しみじみ思った作品であったのだ。



かつて数々の伝説的スクープをモノにしてきた凄腕カメラマン・都城静(福山雅治)。


しかし、その輝かしい業績も、現役の雑誌編集者たちにはほとんど知られてない。
過去のある事件をきっかけに報道写真への情熱を失ってしまった静は、
芸能スキャンダル専門のパパラッチに転身。
それから何年もの間、自堕落な日々を過ごしてきたのだ。
そんな彼に、再び転機が訪れる。
写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長の横川定子(吉田羊)から、
配属されたばかりのド新人記者・行川野火(二階堂ふみ)と、
コンビを組んで仕事をするように頼まれたのだ。


もとはファッション誌志望だった野火は、
人の秘密を暴露するようなこの仕事を、最初は「サイテーっすね」と蔑む。
まったく噛み合わずケンカばかりの静と野火。
ところが、この凸凹コンビが、まさかまさかの大活躍で独占スクープを連発!


雑誌の売り上げも伸び、充実感や達成感を得るようになった野火は、
仕事の面白さに気づいていく。
そしてついに、日本中が注目する重大事件が発生する……




主演の都城静を演じた福山雅治。
「日本一撮られない男」の福山雅治がまさかのパパラッチ役……
という意外性もあって、興味津々で見ることができた。
かつて数々の伝説的スクープをモノにしてきたものの、
今では芸能スキャンダル専門の中年パパラッチとして、
借金や酒にまみれた自堕落な生活を送っているという役であったのだが、
これが「まさに、ハマリ役」と呼びたくなるような演技で、
我々を楽しませてくれた。


この映画は1年ほど前に撮影されているので、
たぶん月9ドラマ『ラヴソング』(2016年4月11日~6月13日)よりも前に撮られていたと思うのだが、
低視聴率で不評だったこの『ラヴソング』より、
『SCOOP!』をドラマ化していればもっと違った結果になっていたのではないか……
と思わせるほどの、福山雅治のハマリ具合であったし、面白さであった。
これは、映画を見終わって、しばらく経ってから気づいたことであるが、
福山雅治が演じた都城静という役は、
もちろん主役ではあるのだが、
どこか狂言回し的な役割の人物だったのではないかと思った。
なぜなら、都城静(福山雅治)と絡んだ、
チャラ源(リリー・フランキー)、


横川定子(吉田羊)、


行川野火(二階堂ふみ)、


馬場(滝藤賢一)などが、


素晴らしい演技を見せていたし、
それぞれに見せ場のある主役的なシーンがあったからだ。
これは、脚本も担当している大根仁監督の功績でもあるのだが、
都城静(福山雅治)を狂言回しにすることで、
他の主要人物たちを目立たたせるようにしていたように感じた。
その役割を巧みに演じた部分こそが、
役者・福山雅治を最大に褒めるべき点ではないかと思った。



チャラ源を演じたリリー・フランキー。
大好きな男優で、毎回、その演技を楽しみに見に行くのだが、
今回は、静(福山雅治)とは腐れ縁的な情報屋の役であったが、
期待に違わぬ素晴らしい演技で、私的には大満足であった。
「Yahoo!映画」のユーザーレビューなど見てみると、
リリー・フランキーのその振り切れた怪演に仰天した人も多かったようだが、
彼の演技を見続けている私としては、
別に驚くほどのものではなく、
あの程度の演技は、彼にとっては、それほど珍しいものではない。
本作『SCOOP!』でリリー・フランキーに開眼した人は、
ぜひ白石和彌監督作品『凶悪』(2013年9月21日公開)を見てもらいたいと思う。
『SCOOP!』よりもレッドゾーンに振り切れたリリー・フランキーを見ることができるだろう。



横川定子を演じた吉田羊。


写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長の役であったが、
このような役をやらせると「右に出る者はない」と思わせるほど似合っていた。


まさに適役。
出演シーンも多く、彼女が好きな私としては、大満足。
今年(2016年)4月に、年下のジャニーズタレントとの「7連泊愛」が報じられ、
初スキャンダルが発覚した彼女であるが、
本作『SCOOP!』を撮っていた1年前は、
まさか自分が撮られる側になろうとは、思ってもいなかったことであろう。
関西テレビ制作・フジテレビ系の「火曜21時ドラマ」枠で放送される
『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』(2016年10月11日~12月)では、
主演の橘志帆を演じているし、
10月22日(土)からスタートするWOWOW『連続ドラマW コールドケース ~真実の扉~』でも、
主演(石川百合役)している。
主演作が続き、ファンとしては嬉しい限りであるが、
これからも、○○○○○事務所の圧力に負けず、頑張ってもらいたい。(笑)



行川野火を演じた二階堂ふみ。
「SCOOP!」編集部に配属され、
静(福山雅治)とコンビを組まされる新人記者の役であったが、
常に静と一緒に行動しているので、当然のことながら出演シーンも多く、
『ヒミズ』(2011年)以来、二階堂ふみという女優を見続けている私としては、
とても嬉しい映画であった。


そして、この映画は、行川野火の(肉体的にも精神的にも)成長物語の側面もあり、
(変化していく女性を演じる)二階堂ふみという女優を楽しむ映画でもあった。


10月15日より公開される『何者』(三浦大輔監督)では、
本作とは違った二階堂ふみを見ることができるようなので、こちらも楽しみ。



馬場を演じた滝藤賢一。
「SCOOP!」編集部で、グラビア班を仕切る、もう一人の副編集長で、
横川定子(吉田羊)のライバルでもある。


最初は目立たない役で、それほど重要な役柄とは思わなかったが、
途中から、過去に静(福山雅治)とコンビを組んでいたことが知れ、
その辺りから注目度が増し、重要な役であることが判明する。
最初は、保守的な考えの持ち主のような印象であったが、
「実は……」という意外な人物像が浮かび上がってくる。
この映画では、いちばん人間臭い役柄であったと思う。



音楽を担当した川辺ヒロシ。


今年の8月20日に、私は、
鹿児島県で開催された「グッドネイバーズ・ジャンボリー2016」に参加し、
……加藤紀子とUAに逢いたくて……
と題して、このブログに記事を書いた。
私の好きな加藤紀子の夫が、DJの川辺ヒロシで、
「グッドネイバーズ・ジャンボリー2016」で初めて彼のDJを体験したのだが、


加藤紀子のブログで、川辺ヒロシが映画『SCOOP!』の音楽を担当していることを知り、
「あの感動を再び……」
ということで、映画の方も楽しみにしていたのだ。
冒頭から川辺ヒロシのリズミカルな音が鳴り響き、
映画の基調を奏で、形成していた。
この川辺ヒロシの音楽も、映画『SCOOP!』の魅力のひとつであることを実感させられた。
主題歌では、
“TOKYO No.1 SOUL SET feat.福山雅治 on guitar”
という奇跡のコラボレーションを実現させている。



意外に汚れ役が似合う福山雅治、
キスが上手い吉田羊、
ハードパンチャーのリリー・フランキー、
美しい下着姿の二階堂ふみ、
ラガーマンの滝藤賢一など、
見所(それぞれは映画館で確かめてね)満載の映画『SCOOP!』。
映画館で、ぜひぜひ。

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