今日(5月29日)、
イオンシネマ佐賀大和で(9:15から)行われた、
映画『うつくしいひと』の熊本支援チャリティー上映会に行ってきた。
5月27日のブログに書いたように、
映画『うつくしいひと』は、
『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』などで知られる行定勲監督作品で、
熊本市、菊池市、山都町、阿蘇市などで構成された「くまもと映画製作実行委員会」が、
今年(2016年)3月開催の「菊池映画祭2016」のオープニングで上映する為に制作したもの。
熊本城、夏目漱石旧居、江津湖、菊池渓谷、阿蘇の草千里、通潤橋といった熊本の名所で、2015年10月から撮影が行われ、年明けに完成した。
熊本出身の行定勲監督が、
熊本出身の出演者たち、
橋本愛、姜尚中、高良健吾、米村亮太朗、石田えり等と共に、
ロケ地、出演者、方言など、
“熊本”に徹底的にこだわって作り上げた作品だ。
2016年2月15日に熊本市で完成披露が行われ、
その後、映画公式サイトで無料配信も行われ、話題を集めていたが、
4月14日に発生した地震を境に、
映画で描かれた熊本の一部は姿を変えてしまった。
偶然にも、熊本地震が起きる前に撮影されていた映画は、
その役割を変えて、この度、上映されることになったのだ。
美しき城下町。
問屋街の倉庫の二階に『玉屋末吉探偵事務所』はある。
いつも暇そうにしている玉屋末吉(高良健吾)だが、
ある日、彼のもとへ二人の依頼人がやってくる。
それは謎の美女(宮崎京)と、
小柄な男(伊藤匠)。
その美女から耳打ちされたのは、県をも揺るがしかねない極秘事件。
その美女から耳打ちされた極秘事件に玉屋末吉は目を光らせる。
「探偵の口は堅かですけん。どぎゃんこつあったっちゃあ口外せんです。まかせとってください」
一方、大学生である透子(橋本愛)は、
繁華街の片隅にある小さな本屋でアルバイトをしている。
その店は喫茶店と一緒になった雰囲気のあるお店。
友人の田上(米村亮太朗)がやってきて何やら透子に話がある様子。
その時、黒いロングコートを纏った中年の紳士(姜尚中)が本屋に入ってくる。
彼はおもむろに、「お薦めの本はないかな?」と透子に尋ねる。
悩む透子の横顔を見つめていた男はさらに年齢を尋ねる。
21歳だと答える透子に、男はホイットマンの詩を残す。
「若い女は美しい。でも、老いた女はもっと美しい」
男が店を去った後、喫茶店へ戻った透子は田上から、
「透子ちゃんのお母さんが怪しか男につけられとったとたい」
と知らされ不安になる。
心配になった透子は帰りに華道の師範である母・鈴子(石田えり)のもとへ立ち寄る。
優雅に華を指導する鈴子の姿を見つめていた透子は、
庭先から同じように鈴子を見つめている怪しげな中年男に気づいて後を追うが、見失ってしまう。
夜、鏡台の前に座る鈴子を透子が不安を隠せない顔で見つめている。
髪を梳かす鈴子の櫛。
その櫛は、死んだ透子の父がまだ高校生だった頃に鈴子に贈った物だった。
二人は父が鈴子を主演に撮った未完の8ミリ映画を見る。
そのフィルムの中で楽しそうに笑っている高校時代の鈴子(島ゆいか)と、
父(小原汰武)、
そしてそこにはもう一人、少年(油木田一清)が映っている。
三人はいつも一緒で仲が良かったと懐かしむ鈴子。
翌日、透子が『玉屋末吉探偵事務所』に入っていく。
透子は、玉屋に、
「母を一緒に護衛してほしい」
と依頼するが、珍しく忙しい玉屋。
しかし透子のお願いは断れない。
母のところへ向かう二人だったが、そこに怪しい影は見当たらない。
見張りを続けていると透子の携帯電話に
「お母さんばつけてた男が目の前におっとたい!」
と田上からの情報が入る。
二人は玉屋のクラシックカーに乗ってその現場に向かうのだが……
予告編で見た高良健吾のコミカルな演技や、
くまモンも出演するという情報から、
軽めのコメディ風の映画かなと思っていたが、
なんだか大林宣彦監督の、
柳川を舞台にした『廃市』(1984年)や、
臼杵市や佐伯市を舞台にした『なごり雪』(2002年)などを彷彿とさせるような、
落ち着きと詩情を湛えたなかなかの作品であった。
ことに、熊本城は素晴らしいアングルで撮られており、
地震によって崩壊し、
復元には20年くらいはかかるのではないかと言われている熊本城のかつての美しい姿が、
しっかりとフィルムに記録されている。
映画のタイトル『うつくしいひと』とは、
石田えりであり、
橋本愛であるのだが、
熊本の美しい風景の中で見る二人の姿は、
本当に美しかった。
今回の、全国のイオンシネマ29劇場での熊本支援チャリティー上映会は、
明日(5月30日)まで行われる。
(1日1回の上映館が多いので、上映時間を要確認)
鑑賞料金は一律1000円で、全額寄付される。
上映時間は、約40分。
各館の上映時間と、
イオンシネマ以外の、
熊本支援チャリティー上映会情報はコチラから。
他の映画館のことは分からないが、
イオンシネマ佐賀大和では、
上映前に、映画館スタッフからの挨拶があり、
この映画を上映する理由や、
チケット代はすべて寄付されるなどの説明があり、
お礼の言葉に続き、
「では、ごゆっくり御鑑賞下さい」
との優しい言葉で挨拶を締めくくられた。
映画館側の素晴らしい対応に感動した。
この映画に携わった人々、
映画館のスタッフ、
そして、
今日、映画『うつくしいひと』を見に来て下さった方々こそが、
“うつくしいひと”なのではないか……
映画館を出て、家に帰る道すがら、
私は、そう思ったのだった。
感謝。