一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「剱岳・立山連峰・大日三山」ソロトレッキング ④お花畑と雷鳥の大日三山

2010年08月03日 | 北アルプス(剱岳・立山三山・大日)単独行
8月3日(火)は、早朝より行動を開始し、剱岳に登頂後、別山乗越までやってきた。
これから大日三山縦走に向かう。
縦走路の入口に、このような警告板があった。


 称名方面
 大日平山荘より先
 土砂崩れのため
 通行止め
 復旧未定

そうなのだ。
梅雨の大雨で、大日平から先の急坂が崩落し、称名滝への通り抜けができなくなっていたのだ。
それが、数日前にやっと「解除」になった。
〈これでどうやら大日小屋を経て、称名滝に下りられる〉
私は大日小屋にケータイで今夜の宿泊を予約した。
大日平山荘は宿泊はできないが、大日小屋の方は営業している。
今回、出発前に予約したのは、立山室堂山荘と剣山荘のみ。
天候の関係で、大日三山縦走ができない可能性もあったからだ。
初日、2日目と、天候にも恵まれ、順調にトレッキングできた。
3日目の今日も、剱岳山頂を短時間で往復し、割と早い時間にここまで来ることができた。
これなら今日中に大日小屋まで行けるだろう。
そう判断し、大日小屋に予約を入れたのだ。

10:27 別山乗越を出発。
剱御前小舎を後にする。


奥大日岳の山頂付近はガスがかかっているが、美しい縦走路がずっと先まで続いている。
この大日三山縦走路は、高山植物が豊富なことで有名で、またライチョウが多く見られることでも知られている。
ここまでまだライチョウは目にしていないが、ガスが出てきたことで、目撃する可能性が高くなった。


ミヤマダイコンソウが咲いている。


ミヤマコゴメグサとミヤマリンドウの競演。


チングルマの小径とでも呼びたいような美しい縦走路。


縦走路の右手は、お花畑。


縦走路の左手には、このような風景が広がる。


私の好きなハクサンイチゲ。


ハクサンイチゲと同じくらい好きなシナノキンバイも咲いている。


シナノキンバイの群落。
夢の中を歩いているようだ。


ツガザクラや、


オオバキスミレや、


ミヤマホツツジや、


ハクサンフウロもたくさん咲いている。
ときおり人とすれ違うが、静かな縦走路だ。


12:30 奥大日岳山頂に到着。
山頂には、若い男性2人がいたのみだった。
しばし休憩。


12:39 奥大日岳山頂を出発してすぐ、ライチョウを発見。
嬉しい~
目の上が赤いので雄だ。


私の前をひょこひょこと歩いていたが、ある地点に立ち止まると、縄張りを見張るようにじっと遠くを見ていた。


ミヤマトリカブトや、


キヌガサソウも見ることができた。


こんな感じの縦走路をゆっくり歩く。


クルマユリもたくさん咲いている。
コオニユリに似ているが、ノヒメユリくらいに小さくて可愛い。


なんと、ウメバチソウを発見。
トリカブトといい、ウメバチソウといい、九州では秋の花だ。


シモツケソウに、


ハクサンシャジン。
この大日三山は、本当に花の縦走路だ。


14:00 七福園を通過。
ここは昔、山岳修験者の行場だったところとのこと。
岩が点在し、自然が創り出した庭園のようだ。


14:13 大日小屋に到着。


ここ大日小屋は、「ランプとギターの山小屋」と呼ばれている。
山小屋の主人・杉田健司さんは、ギター職人で、冬の間はギター工房「スギクラフト」でギター造りに専念するとか。
そのため、小屋のスタッフはみんな杉田さんのお弟子さん。
弟子入りの条件のひとつは、山小屋で働くことだそうだ。


夕食後は、ランプの下でくつろぐ。


仕事を終えたスタッフが、ギターを弾いてくれ、とても素敵な雰囲気。


上の写真は、いずれもフラッシュをたいて撮ったもので、本当は下の写真のような薄暗さ。
ランプの灯りの下で、なんとも贅沢なひとときを過ごさせてもらった。


剣山荘とは違って、この小屋ではゆっくり休むことができた。
ハードな一日であったが、ランプの灯りとギターの音色に癒され、ぐっすりと眠った。
さあ、明日は、最終日。
どんな朝が待っているだろうか?

【⑤大日小屋から称名滝へ】につづく。

この記事についてブログを書く
« 「剱岳・立山連峰・大日三山... | トップ | 「剱岳・立山連峰・大日三山... »