※文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。
「Yahoo!ニュース」で、次のような記事が掲載された。
埼玉県民が東京都民から迫害を受け、身を潜めて暮らす世界を描いた映画『翔んで埼玉』が、週末(23、24日)の観客動員数(興行通信社調べ)で初登場1位となった。
22日の初日から3日間の動員は24万8000人、興行収入は3億3100万円。地元・埼玉県は、都道府県興行収入で東京都を抑え1位となった。劇場別でも、MOVIXさいたま(さいたま市大宮区)が全国1位を獲得した。
『翔んで埼玉』は「パタリロ!」で知られる魔夜峰央(まや・みねお)さんのギャグ漫画が原作。二階堂ふみさん演じる東京屈指の名門校の生徒会長と、GACKTさんが演じる埼玉出身の米国帰りの帰国子女が引かれ合うが、やがて、関東一帯を巻き込む抗争が始まるというストーリー。
「Yahoo!映画」のユーザーレビューを見ても、
「ゴージャスな茶番劇」
「マンガより面白い」
「館内が笑いに包まれた」
「終始会場が笑いに包まれます」
「映画館で声出して笑った!」
「最高の娯楽映画でした」
「何度でも観たい」
等々、「館内が笑いに包まれた」という趣旨の書き込みに溢れており、
(今のところ)高評価が続いている。
〈これは見ておく必要がある……〉
と考え、会社の帰りに映画館に駆けつけたのだった。
娘の結納のため一路東京へと向う、埼玉在住の菅原家。
その道中、車内のラジオで、ある伝説の物語が流れ始めた。
それは、
東京屈指の名門校・白鵬堂学院を舞台に、生徒会長・壇ノ浦百美(二階堂ふみ)と、
アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出会いから始まる物語であった。
美しい容姿、スキのない身のこなし、豊富な知識……どう見ても東京都民の麗は、
実は手形制度の撤廃を求める“埼玉解放戦線”のメンバーだった。
埼玉県人を庇い立てする麗を怪訝に思っていた百美だが、
何故か麗に心を惹かれていき、
次第に東京と埼玉、そして千葉までも巻き込んだ抗争に巻き込まれていく……
本作は映画化にあたって、
埼玉県在住のある家族を通して埼玉への郷土愛を再認識する【現代パート】と、
百美や麗が活躍する【伝説パート】の、
2部構成となっている。
【現代パート】
菅原好海(ブラザートム)
菅原家の父。埼玉県熊谷市在住。
娘・愛海の結納の為に車で東京へ向かう道中、
ラジオから流れる埼玉にまつわる伝説の物語を聞き……
とにかく、埼玉をディスられるのが気に入らない。
菅原真紀(麻生久美子)
菅原家の母。千葉県出身で今は埼玉県に嫁いでいる。
娘・愛海の結納の為に車で東京へ向かう道中、
ラジオから流れる埼玉と千葉の戦いの物語を聞き……
普段は優しいが、千葉をディスられると豹変する。
菅原愛海(島崎遥香)
菅原家の娘。埼玉出身。
自分が埼玉県出身であることをよく思っておらず、冷めた発言を繰り返す。
同じく埼玉出身の春翔との結婚を機に、東京に住むことを夢見ている。
五十嵐春翔(成田凌)
愛海の婚約者。埼玉出身(浦和)。
東京に勤めている埼玉“都民”。
【伝説パート】
壇ノ浦百美(二階堂ふみ)
2年生ながらも、東京屈指の名門校・白鵬堂学院の生徒会長をつとめている。
東京都知事の息子で、父を誰よりも尊敬している。
都知事の息子であることを鼻にかけており、
東京都民であっても都心や高級住宅街以外に住む者には冷たい視線を向け、
とりわけ埼玉県人には横暴な態度をとっている。
しかし、麻実麗の登場により次第に心変わりしていくことに……
麻実麗(GACKT)
アメリカ帰りの白鵬堂学院3年A組の転入生。
容姿端麗で都会的なセンスを持つ。
大手証券会社の御曹司で、学院内でも特別扱いをされている。
しかし、その正体は埼玉県で一二を争う大地主・西園寺家の子息で、
父親が政治家に育てるために養子に出し、埼玉らしさを払拭するためにアメリカに留学させていた。
都知事となって埼玉県の差別を撤廃することを目標とする。
阿久津翔(伊勢谷友介)
百美の父親である東京都知事・壇ノ浦建造の執事。
しかし、その正体は千葉解放戦線のリーダー。
都知事につかえることで、埼玉とは違う形で、千葉県の差別を撤廃するために動いている。
千葉解放戦線として動く際は、常に“あわび”と“さざえ”という2人の女性を従えて行動している。
埼玉デューク(京本政樹)
埼玉県人でありながら、東京を歩いても誰からも疑われずに、むしろ山手に住む金持ちにも間違えられる、伝説の埼玉県人。
東京で虐げられていた埼玉県人たちに声を掛け、クーデターを仕掛けようとしていたが、
何者かに正体を知られて命を落としてしまったとされている。
壇ノ浦建造(中尾彬)
現東京都知事で百美の父。
どんな時も強いリーダーシップで都民を導く。
百美の憧れの存在だが……
崎陽軒の“ひょうちゃん”をこよなく愛し、収集している。
壇ノ浦恵子(武田久美子)
現東京都知事・建造の妻で百美の母。
何かと頑固な夫に不満を抱いている様子。
執事の阿久津とは、ただならぬ関係のようで……
西園寺宗十郎(麿赤兒)
麗の父親。おかよを通して、麗にメッセージを送っている。
念には念を入れるタイプなのか、
メッセージを聞くと跡形もなく爆破するタイプの旧型テレビを使用している。
神奈川県知事(竹中直人)
現職の神奈川県知事。
埼玉、千葉が自由に東京、神奈川にはびこることを快く思っていない。
おかよ(益若つばさ)
麗のお手伝いさん。
時折、麗の父・西園寺からの連絡を手助けする。
埼玉県人の青年(間宮祥太朗)
東京都に不正に入り込んだ埼玉県人。
都民のふりをして東京を満喫しているところをSAT(Saitama Atack Team:埼玉急襲部隊)に発見される。
下川信男(加藤諒)
白鵬堂学院の3年生。
埼玉県出身者で構成され、常に学園中からひどい扱いを受けている「Z組」の生徒。
度重なる東京都民からの迫害に、埼玉への愛と誇りを失いかけていたのだが……
2月26日(火)18:40~20:40
私は、佐賀市内にある某映画館で鑑賞した。
その映画館で最も席数がある「スクリーン1」(441席)で上映されたのだが、
観客は10数人であった。
「観客動員数で初登場1位」のニュースがにわかに信じられないような少なさであった。
それでも、
〈中央のニュースがまだ田舎にまで伝わっていないのだろう……〉
と気を取り直し、映画を見始めたのだった。
上映が始まり、場内が明るくなるまで、笑い声は一切なかった。
面白いことは面白いのだが、
笑うほどではなかった……ということか。
これが佐賀県の映画館における現状であった。
正直に言うと、
東京及び、その周囲の県に住んでいる人、住んでいた人でないと、笑えない映画であった。
なぜ、そんなにまで埼玉をディスるか、
なぜ、埼玉と千葉が対立するのか、
九州の人には理解できないのだと思う。
私の場合、若い頃に9年ほど東京にいたので、
関東における埼玉の立ち位置などは解っているし、
この映画の背景は理解している筈なのであるが……笑えなかった。(笑)
鑑賞後に思ったのは、
関東以外の道府県ではあまり笑えないのではないか……ということだった。
関東限定のコメディ映画のような気がした。
ということで、
九州人にとっては(いや、私にとっては)、
笑わせてくれるコメディ映画ではなかったのだが、
私の好きな麻生久美子や二階堂ふみなどが出演していたので、
損をした気分にはならなかった。
九州で、埼玉県と同じ境遇なのは、私の住む佐賀県ではないかと考えていたら、
エンドロールのときに主題歌を歌っていたのが“はなわ”だったのでビックリ。
タイトルは「埼玉県のうた」。
“はなわ”は佐賀県のイメージが強いが、
実は、生まれは埼玉県春日部市で、
その後、転居して、幼少時から小学校6年生まで千葉県我孫子市で生活。
再び転居して、佐賀県佐賀市で生活し、「佐賀県出身」としている。
埼玉県で生まれ、幼少期を千葉県で過ごし、その後佐賀県で成長した“はなわ”なればこそ、
本作『翔んで埼玉』の主題歌を歌うに相応しい人物ではないかと……
あらためて感心した次第。
関東周辺にお住まいの方なら、文句なしに楽しめると思うし、
その他の地域の方も、(笑えなくても)それなりに楽しめると思う。
映画館で、ぜひぜひ。