一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

登吾留山 ……オキナグサに逢いたくて……

2009年04月09日 | 登吾留山
そろそろオキナグサが咲いているのではないか?
この時期になると、オキナグサが気になり、どうもソワソワして困る。
妙に気持ちが高ぶり、気もそぞろに……
これはもう行くっきゃない!
ということで、オキナグサに逢いに、登吾留山に行ってきました。
登る吾(われ)を留める山……と書いて登吾留山(とあるやま)。
秘密の山です。(笑)

で、オキナグサはというと……
咲いてました~


もうけっこう咲いていましたが、土から顔を出したばかりの花もたくさんあります。
こんな風に、直接花が土から出てくる感じ。


小さくても、開くとこんなに素敵!


花びら(本当はガクですが…)のうぶ毛に土や砂が付着しているのは、そんな理由からなんですね。


恥ずかしげに横を向いているので……


正面に回って見つめてみた。
頬を染めたかのように、花の赤みが増したような気がした。


いつまでもいつまでも、ここにこうして咲いていて欲しい……


登吾留山では、オキナグサの他にも、いろんな花に出逢えた。
その代表格は、フデリンドウ。
一輪、


二輪、


三輪、
見ているだけで、心が和んでくる。


そしてそして、とても嬉しい花にも出逢えました。
……シュンラン。


このシュンラン、私の大好きな小説、伊藤左千夫の『野菊の墓』にも登場する。

《僕は水を汲んでの帰りに、水筒は腰に結いつけ、あたりを少し許り探って、『あけび』四五十と野葡萄一もくさを採り、竜胆(りんどう)の花の美しいのを五六本見つけて帰ってきた。帰りは下りだから無造作に二人で降りる。畑へ出口で僕は春蘭(しゅんらん)の大きいのを見つけた。
「民さん、僕は一寸『アックリ』を掘ってゆくから、この『あけび』と『えびづる』を持って行って下さい」
「『アックリ』てなにい。あらア春蘭じゃありませんか」
「民さんは町場もんですから、春蘭などと品のよいこと仰(おっ)しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、皸(あかぎれ)の薬に致します。ハハハハ」
「あらア口の悪いこと。政夫さんは、きょうはほんとに口が悪くなったよ」》

書き写していたら、また『野菊の墓』を読みたくなった。

コメント (12)    この記事についてブログを書く
« 井原山のイチリンソウとニリ... | トップ | 黒髪山系大縦走再び ……福岡の... »

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
秘密の山~ (リーフ)
2009-04-10 00:03:24
オキナグサがもう咲いているんですか~早いですね。
それでは、リーフも秘密の山に出かけることにいたしましょう

先日、去年見つけていたシュンランの株の咲き具合を見に出かけたところ、まだ早くて薄いベールに包まれたシュンランの蕾を見ることができました。
その姿は、花と違った不思議な姿でした。



返信する
シュンラン (タク)
2009-04-10 05:54:37
リーフさんへ

>オキナグサがもう咲いているんですか~早いですね。

今年は、どの花も早めに咲いているので、もしやと思って出掛けました。
やはり咲いてました。

>それでは、リーフも秘密の山に出かけることにいたしましょう

リーフさんの秘密の山と私の登吾留山は同じかな?
違うのかな?
いずれにしろ、早く、早く

>先日、去年見つけていたシュンランの株の咲き具合を見に出かけたところ、まだ早くて薄いベールに包まれたシュンランの蕾を見ることができました。
>その姿は、花と違った不思議な姿でした。

シュンランの蕾、見てみたいですね~
リーフさんから教えて頂いた私の里山のシュンラン、見てきましたよ~
よくあんな場所で探しましたね~
お稲荷さんの目は本当にスゴイですね。
返信する
おきなさんとあっくりさん (お母ちゃん)
2009-04-10 08:47:55
ゆっくり構えていましたがもう咲いている翁さんですね、そろそろ腰を上げましょう
お母ちゃんの登吾留山へ 

<「民さん、僕は一寸『アックリ』を掘ってゆくから、この『あけび』と『えびづる』を持って行って下さい」
「『アックリ』てなにい。あらア春蘭じゃありませんか」
「民さんは町場もんですから、春蘭などと品のよいこと仰(おっ)しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、皸(あかぎれ)の薬に致します。ハハハハ」
「あらア口の悪いこと。政夫さんは、きょうはほんとに口が悪くなったよ」》

この箇所よーくおぼえていますよ
何度読んでも自分を純にしてくれる野菊の墓
山野草を愛しく思うとなお深くこの純文学が分かります、涙が出るくらい美しい作品ですね  
返信する
こんにちは (panda)
2009-04-10 11:40:44
オキナグサが咲いているということは、あんな花もこんな花も咲いてるかも…(*^-^*)ゞ
春のお花が咲き出して、もう…シアワセいっぱいのタクさんみたいですね。
オキナグサの白髪もまた大好きで、キンポウゲ科の花ってどうしてこんなに魅力的なんでしょう?
私困ってしまいます…(*^-^*)ゞ
行かなくっちゃ…私も
返信する
さすが。。。 (かず)
2009-04-10 15:55:20
いつも先取(撮)りですよねぇ。
その行動力にです!

シックな色合いと、ひっそりたたずんでいる花姿・・・

会いたいなぁ・・
返信する
秘密の山 (タク)
2009-04-10 20:33:17
お母ちゃんへ

>ゆっくり構えていましたがもう咲いている翁さんですね、そろそろ腰を上げましょう
>お母ちゃんの登吾留山へ

今年は、どの花も、咲くのが早くなっていますね
オキナグサだけでなく、いろんな花が咲き始めています。
登吾留山は、ひとつの山ではなくて、それぞれの心の中にある秘密の山です。
お母ちゃんの登吾留山は、どこにあるのかな?

コメントの書き込みがうまくいかなかったとか。
『野菊の墓』の中の春蘭(アックリ)について論じようとされていたのでしょうか?
時間がある時に、また書き込んで下さいね。
返信する
キンポウゲ科 (タク)
2009-04-10 20:47:05
pandaさんへ

>オキナグサが咲いているということは、あんな花もこんな花も咲いてるかも…(*^-^*)ゞ

もう確かめに行くしかありませんよ。
あんな花もこんな花も、もう咲いていると思います。

>春のお花が咲き出して、もう…シアワセいっぱいのタクさんみたいですね。

なんだか落ち着きがない子供のようでしょう?
お恥ずかしい。
でも、山に登って、探していた花に出逢えたら、もう幸せいっぱい

>オキナグサの白髪もまた大好きで、キンポウゲ科の花ってどうしてこんなに魅力的なんでしょう?

あんまり何何科って気にしてなかったけど、キンポウゲ科って、本当に魅力的な花ばかりですね。
春の妖精と呼ばれている花は、ほとんどキンポウゲ科ですね~

>私困ってしまいます…(*^-^*)ゞ
>行かなくっちゃ…私も

もう、どんどん出掛けて行きましょう
家で待っていたらいつの間にか春が通り過ぎてしまった……って、ならないようにね。
返信する
取り柄 (タク)
2009-04-10 20:59:35
かずさんへ

>いつも先取(撮)りですよねぇ。

早い(速い)のが取り柄のタクです。
花を見に行くのも早い(速い)し、ブログにアップするのも早い(速い)。
人間、何か取り柄がないとね。
内容はともかくとして……

>シックな色合いと、ひっそりたたずんでいる花姿・・・
>会いたいなぁ・・

他の花にない色合いですよね。
本当にシック。
派手さはないんだけど、なんだか豪華。
小さいんだけど、大きく見える。

早く逢えるとイイね
返信する
ドキッ! (mari)
2009-04-12 16:36:25
可愛い花なのに、ちょっと大人っぽい
赤色の容姿、魅力的なオキナグサ。

ちょっとドキドキしますね

いつも、はじめて見るお花ばかり。
ほんとうに、山にはかわいい妖精が、
たくさん潜んでいるのですね。

昨日、尾道へ行きましたよ~
桜は満開で、ようやく散り始めた感じ
暑いくらいの陽気、海風が気持ちよかったです
返信する
近寄りがたい感じ (タク)
2009-04-12 18:35:29
mariさんへ

コメント欄の調子が悪くて、何度も書き込みして頂いたとのこと、スミマセン。
そして、ありがとうございます。

>可愛い花なのに、ちょっと大人っぽい
>赤色の容姿、魅力的なオキナグサ。
>ちょっとドキドキしますね

ビロードのような花弁が大人を感じさせますよね。
なんだか、ちょっと近寄りがたい感じ。
実に魅力的です。

>いつも、はじめて見るお花ばかり。
>ほんとうに、山にはかわいい妖精が、
>たくさん潜んでいるのですね。

この時期は、いろんな花が開花し始めるので、目が離せません。
あっちの山、こっちの山、走り回っています。

>昨日、尾道へ行きましたよ~
>桜は満開で、ようやく散り始めた感じ
>暑いくらいの陽気、海風が気持ちよかったです

尾道は私の大好きな町です。
学生時代を含め、数回訪れています。
大林宣彦監督の作品が好きで、映画のロケ地巡りをしたこともあります。
私が佐世保出身ということもあって、昔から坂のある港町が好きで、小樽、函館、横須賀、長崎など、よく旅をしました。
なかでも尾道はお気に入りの港町です。
とても懐かしいです。
mariさんのレポ、楽しみにしてますよ~
返信する