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昨年(2024年)の8月に佐賀県有田町で撮影された、
京都芸術大学芸術学部映画学科15期生(木村組)の卒業制作の映画『手に包む』が、
2月23日(日・祝)に、
佐賀県立九州陶磁文化館講堂にて、上映されるという知らせが入った。
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『手に包む』有田町 上映会
【日程】2025年2月23日(日・祝)
【時間】1部 10:30開場 11:00上映開始
2部 13:30開場 14:00上映開始
※同内容2部制、約40分の上映後、トークショーあり
【場所】佐賀県立九州陶磁文化館 講堂 (佐賀県西松浦郡有田町戸杓乙3100-1)
オール有田ロケの作品、若い学生たちが制作した作品ということで、
〈ぜひ見たい!〉
と思った。
入場は無料だが、
上映会の参加には事前の予約が必要とのことで、
予約フォームから参加申し込みをし、
2月23日を待っていた。
そして、上映日の今日、ワクワクしながら有田町へ向かったのだった。
佐賀県立九州陶磁文化館に到着。
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佐賀県立九州陶磁文化館は、
1980年(昭和55年)3月に竣工、同年11月1日に開館した陶磁器専門の県立美術館で、
伊万里焼(有田焼)の磁器や唐津焼の陶器をはじめとした肥前の陶磁器を中心に、
九州各地の陶磁器の名品を収蔵展示している。
伊万里焼(有田焼)については、
江戸初期から幕末までの変遷を辿ることができる学術的価値のある作品群や、
金欄手を中心としたヨーロッパ輸出品を再輸入した作品群など広く収蔵している。
また江戸時代までの古陶磁のみならず、九州の現代陶芸家の作品もある。
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映画が上映される講堂の開場時間まで少し時間があったので、
青木龍山、
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井上萬二、
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中島宏、
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14代酒井田柿右衛門などの作品を鑑賞した。
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開場時間がきたので入場。
後に会場はほぼ満席となった。
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そして上映時間になり、場内が暗くなり、映画が始まった。
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その街で暮らす54歳の安永憲一(衣笠邦彦)は、
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機械ろくろを生業にしており、
仕事の合間や散歩中にふと聞こえてきた噂話から発想し、器をつくる
しかし、あくまでも噂話なので、誤解もしばしば。
一人娘の26歳の安永加奈子(森マリア)は、
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そんな憲一に呆れつつも、長年二人で暮らしてきた。
夏のある日、
憲一が、有田町で代々続く窯の跡取り息子・天野裕二(水田葵)とカフェにいるとき、
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加奈子には交際相手がおり、結婚するかもしれないという噂話を偶然聞いてしまう。
何も聞かされていなかった憲一は驚き、
一番近くにいたはずの加奈子の秘密に困惑する。
二人きりで暮らしてきた憲一と加奈子の穏やかな生活。
その終焉が近づいていた……
有田という地方の小さな町で暮らす父と娘の物語。
小津安二郎の諸作品や、
『プライドと偏見』『世界で一番パパが好き!』『花嫁のパパ』『インターステラー』『SOMEWHERE』などの洋画を持ち出すまでもなく、
父と娘という題材は、映画にとって永遠のテーマなのかもしれない。
まず、舞台となる「陶都・有田」が美しい。
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「有田陶器市」のシーンがあったが、
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この「有田陶器市」にも、私の子供たちが小さかった頃に何度も来ているので、
その頃の事が思い出され、懐かしかった。
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私個人としても、黒髪山登山のときなどに何度も訪れたことのある町であったし、
知っている場所も多く、親しみもあったので、
私も有田町の住人になったようなつもりで楽しんでいた。
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そもそも映画の舞台がなぜ有田町であったのか?
本作の監督・木村菜月さんが佐賀県神埼市出身で、
祖父母が有田町在住なので、有田町には何度も訪れたことがあり、
子供の頃から有田という町には親しみがあったという。
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〈伝統工芸品である有田焼を題材に映画を制作したい……〉
という思いから生まれた作品なのだそうだ。
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映画を見ていて、最も気になったのは、
安永加奈子を演じていた森マリアという女性。
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あまりに美しく、演技も良かったので、後で調べてみたら、れっきとした女優で、
TVドラマ「相棒」などにも出演されてる方だった。
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卒業制作の映画なので、キャストもスタッフも学生たちばかりだと勝手に思っていたので、
本物の女優が出演しているとは思わず、ビックリ。
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佐賀県有田町の町役場で働いているという設定で、
父・憲一に結婚することを話しておらず、
憲一を一人残してしまうことを心配している優しい娘の役で、
学生やアマチュアの俳優たちの中で、(やはり)本物の女優は一際輝いていた。
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安永憲一を演じた衣笠邦彦さんは、大分在住の木工職人だそうで、
佐賀県のフィルムコミッションにも登録していて、
エキストラや俳優活動もしているとのこと。
『手に包む』のキャスト募集に応募し、
オーディションを受けて安永憲一役に決まったそうだ。
しかし、まさか主役とは思わず、主役と知ったときには大層驚いたそうだ。
演技も悪くなく、朴訥とした役柄を巧く演じていた。
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その他、
天野裕二を演じた水田葵さん、
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武田美智を演じた土井茜莉さんが、
素朴な演技で作品をしっかり支えていた。
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上映後に、舞台挨拶があり、
髙下エレナさんという学生さんが司会を担当されていたのだが、
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この方もとても美しい方だったので調べてみると、(コラコラ)
この映画では助監督、脚本、ヘアメイクを担当されていて、
大学でも「映画学科映画制作コース」を専攻されているそうで、
映画監督や脚本家を目指されている方のようであった。
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生活の中にある小さな幸せのかけらを失くさないように大切に拾い集めて脚本を書きました。
この映画を観た後に、おいしいご飯を食べたくなったり、大切な誰かに会いたくなったり、
あなただけの些細な幸せをぎゅっと抱きしめてくれたら嬉しいです。
とコメントされていたが、
スタッフとしてだけではなく、演技者(女優)としても有望なのではないかと思った。
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木村組『手に包む』のXを見ると、
昨年の8月に有田町でロケしていたときは、
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キャストを含めた16人で共同生活をしていたそうで、
地元の方々から食材の差し入れをもらったりして、
みんなで協力しながら自炊をしていたとのこと。
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そんな学生たちの楽しさや熱い想いが伝わってくる好い作品であった。