もう、かなり昔、
まだ私が若かった頃、
フランスの名クライマーであったガストン・レビュファが著した山岳文学の名著『星と嵐』を読んだ時、
次の一節が妙に心に残った。
《今の世の中には、もうわずかのものしか残っていない。
夜はもう存在しない。
寒さも、風も、星も。
すべてが打ち壊されてしまった。
生命のリズムはどこにあるのか?
すべてのものは、あまりにも早く過ぎ去り、騒々しい。
いそいでいる人間は路傍の花を知らない。
その色も、香りも、風が愛撫する時の輝きも知らない》
いま、その一節を思い出すと、
1954年に出版された本であるにもかかわらず、
現代の世情とあまりにぴったりと符合しているのに驚く。
文明社会の恩恵にどっぷりと首まで浸かり、インドア生活に慣れ、
現代人は、多くのものを失った。
不夜城のような都会では、もはや夜は存在しない。
室内に籠もっていれば、寒さも、風も感じられない。
気ぜわしく動き回る人間には、足許の花にさえ目がいかない。
《いそいでいる人間は路傍の花を知らない。
その色も、香りも、風が愛撫する時の輝きも知らない》
ここ、黒木の郷に降り立つと、
風が頬を撫で、
気分がゆったりとなり、
私はいつも、自然に抱かれているような心地よさを感じる。
レビュファが言うところの、現代社会が失ったあらゆるものが存在していることに気づく。
今日、この地に集まったのは、私の花仲間、
リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃん、yanさん、私の5人。
まずは、多良山系の盟主・経ヶ岳にご挨拶。
「カッコイイ~」
「男前!」
皆さん、口々に賞賛の声。
だが、本日登る山は、経ヶ岳ではなく「郡岳」。
黒木郷を散策しながら、郡岳登山口に向かう。
棚田の石垣が美しい。
麓では、もうマンサクが満開。
フキノトウも顔を出している。
多良山系をぐるっと見渡せるビューポイント。
朝は逆光になるためか、このような幻想的な雰囲気に包まれる。
昼間に見ると、こんな感じ。
9:25
南登山口から出発。
しばらく歩くと、鉄塔があり、前方に郡岳が見える。
だが、展望があるのは、ここだけ。
ここから先は、樹林帯へ入って行く。
手作りのカワイイ道標。
木漏れ日の中を快適に歩いて行く。
この道を歩くのは、やはり晴れた日の方がイイ。
曇った日や雨の日だと、薄暗いのだ。
山頂までほとんど展望がないので、ずっと薄暗い中を歩くことになる。
これでは気が滅入る。
晴れた日だと、このように自然林の美しさを存分に味わうことができる。
植物に詳しい仲間と歩いていると、いろんなものに気づかされて楽しい。
いつもの私だったら気づかずに通り過ぎてしまったであろうカワラタケ。
フデリンドウ。
それに、コクラン。
「よくこんなもの見つけるな~」
10:32
坊岩分岐を通過。
もうすぐ山頂。
10:55
郡岳山頂に到着。
展望のない樹林帯をずっと歩いてきたので、山頂でやっと上が開け、空を見ることができる。
郡岳に登ったことがあるのは、yanさんと私だけで、リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃんは初登頂。
この時点では、まだその展望を知らない。
この直後、三人から歓声が上がった。
「うわ~海が見える~」
「美しい~」
私たちの後から、ご夫婦が登ってこられた。(写真右のお二人)
私の仲間が、私に「タクさん」と呼びかけた時、このご夫婦の奥様の方が敏感に反応された。
「タクさん? もしかして、あの『一日の王』のタクさんですか?」
私が「はいそうですけど」と答えると、
「ブログ、いつも見てますよ~」
との思いがけない嬉しいお言葉。
私のブログの愛読者に、こんなところで逢えるとは思わなかった。
こうやって、声をかけて頂き、直に読者にお逢いすると、ブログを続けてきて良かったな~と思う。
ブログを更新する時の励みにもなる。
感謝!
山頂から西登山口の方へ少し下った所に「坊岩」がある。
前に遮るものがない素晴らしい展望が待っている。
この坊岩を周回して、南登山口に向かうことにする。
11:23
坊岩に到着。
ここでミーちゃんから手作りの和菓子を頂く。
和菓子も、風景も、
「美味しい~」
11:44
坊岩分岐通過。
軽快に下って行く。
木漏れ日が美しい。
美味しそうなキノコ。(笑)
12:37
南登山口に到着。
これから食事に向かう。
着いたのは、【かリィカフェ 藁】。
かつて熊本県小国にあった人気のカリー屋さんだとか。
「営業中」ではなく、「あかっとります」。
店内はこんな雰囲気。
私が食べたのは、「ダブルゥ・カリィ」。
「ぢどりカリィ」と「とまとカリィ」の両方が味わえます。
三日間かけて煮込むのだそうです。
メチャウマ!
箸置きはピーナッツ。(もちろん食べられます)
漬物も、
ヨーグルトのデザートも、
自家焙煎の珈琲も、
「美味しかった~」
で、今日のメインイベント。
セリバオウレンとのご対面。
今日がピークと思えるほど咲いていました。
雄しべがまだ開いていないもの。
雄しべが少し開き始めたもの。
雄しべが半分ほど開いたもの。
雄しべがかなり開いたもの。
それぞれに美しい!
雌花には、花弁(正確には萼)がピンクに染まったものがある。
開くとこんな感じ。
独特の美しさがある。
そして、今日いちばんのベッピンさんは、この花。
本当に楽しい一日でした。
リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃん、yanさん、ありがとうございました。
まだ私が若かった頃、
フランスの名クライマーであったガストン・レビュファが著した山岳文学の名著『星と嵐』を読んだ時、
次の一節が妙に心に残った。
《今の世の中には、もうわずかのものしか残っていない。
夜はもう存在しない。
寒さも、風も、星も。
すべてが打ち壊されてしまった。
生命のリズムはどこにあるのか?
すべてのものは、あまりにも早く過ぎ去り、騒々しい。
いそいでいる人間は路傍の花を知らない。
その色も、香りも、風が愛撫する時の輝きも知らない》
いま、その一節を思い出すと、
1954年に出版された本であるにもかかわらず、
現代の世情とあまりにぴったりと符合しているのに驚く。
文明社会の恩恵にどっぷりと首まで浸かり、インドア生活に慣れ、
現代人は、多くのものを失った。
不夜城のような都会では、もはや夜は存在しない。
室内に籠もっていれば、寒さも、風も感じられない。
気ぜわしく動き回る人間には、足許の花にさえ目がいかない。
《いそいでいる人間は路傍の花を知らない。
その色も、香りも、風が愛撫する時の輝きも知らない》
ここ、黒木の郷に降り立つと、
風が頬を撫で、
気分がゆったりとなり、
私はいつも、自然に抱かれているような心地よさを感じる。
レビュファが言うところの、現代社会が失ったあらゆるものが存在していることに気づく。
今日、この地に集まったのは、私の花仲間、
リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃん、yanさん、私の5人。
まずは、多良山系の盟主・経ヶ岳にご挨拶。
「カッコイイ~」
「男前!」
皆さん、口々に賞賛の声。
だが、本日登る山は、経ヶ岳ではなく「郡岳」。
黒木郷を散策しながら、郡岳登山口に向かう。
棚田の石垣が美しい。
麓では、もうマンサクが満開。
フキノトウも顔を出している。
多良山系をぐるっと見渡せるビューポイント。
朝は逆光になるためか、このような幻想的な雰囲気に包まれる。
昼間に見ると、こんな感じ。
9:25
南登山口から出発。
しばらく歩くと、鉄塔があり、前方に郡岳が見える。
だが、展望があるのは、ここだけ。
ここから先は、樹林帯へ入って行く。
手作りのカワイイ道標。
木漏れ日の中を快適に歩いて行く。
この道を歩くのは、やはり晴れた日の方がイイ。
曇った日や雨の日だと、薄暗いのだ。
山頂までほとんど展望がないので、ずっと薄暗い中を歩くことになる。
これでは気が滅入る。
晴れた日だと、このように自然林の美しさを存分に味わうことができる。
植物に詳しい仲間と歩いていると、いろんなものに気づかされて楽しい。
いつもの私だったら気づかずに通り過ぎてしまったであろうカワラタケ。
フデリンドウ。
それに、コクラン。
「よくこんなもの見つけるな~」
10:32
坊岩分岐を通過。
もうすぐ山頂。
10:55
郡岳山頂に到着。
展望のない樹林帯をずっと歩いてきたので、山頂でやっと上が開け、空を見ることができる。
郡岳に登ったことがあるのは、yanさんと私だけで、リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃんは初登頂。
この時点では、まだその展望を知らない。
この直後、三人から歓声が上がった。
「うわ~海が見える~」
「美しい~」
私たちの後から、ご夫婦が登ってこられた。(写真右のお二人)
私の仲間が、私に「タクさん」と呼びかけた時、このご夫婦の奥様の方が敏感に反応された。
「タクさん? もしかして、あの『一日の王』のタクさんですか?」
私が「はいそうですけど」と答えると、
「ブログ、いつも見てますよ~」
との思いがけない嬉しいお言葉。
私のブログの愛読者に、こんなところで逢えるとは思わなかった。
こうやって、声をかけて頂き、直に読者にお逢いすると、ブログを続けてきて良かったな~と思う。
ブログを更新する時の励みにもなる。
感謝!
山頂から西登山口の方へ少し下った所に「坊岩」がある。
前に遮るものがない素晴らしい展望が待っている。
この坊岩を周回して、南登山口に向かうことにする。
11:23
坊岩に到着。
ここでミーちゃんから手作りの和菓子を頂く。
和菓子も、風景も、
「美味しい~」
11:44
坊岩分岐通過。
軽快に下って行く。
木漏れ日が美しい。
美味しそうなキノコ。(笑)
12:37
南登山口に到着。
これから食事に向かう。
着いたのは、【かリィカフェ 藁】。
かつて熊本県小国にあった人気のカリー屋さんだとか。
「営業中」ではなく、「あかっとります」。
店内はこんな雰囲気。
私が食べたのは、「ダブルゥ・カリィ」。
「ぢどりカリィ」と「とまとカリィ」の両方が味わえます。
三日間かけて煮込むのだそうです。
メチャウマ!
箸置きはピーナッツ。(もちろん食べられます)
漬物も、
ヨーグルトのデザートも、
自家焙煎の珈琲も、
「美味しかった~」
で、今日のメインイベント。
セリバオウレンとのご対面。
今日がピークと思えるほど咲いていました。
雄しべがまだ開いていないもの。
雄しべが少し開き始めたもの。
雄しべが半分ほど開いたもの。
雄しべがかなり開いたもの。
それぞれに美しい!
雌花には、花弁(正確には萼)がピンクに染まったものがある。
開くとこんな感じ。
独特の美しさがある。
そして、今日いちばんのベッピンさんは、この花。
本当に楽しい一日でした。
リーフさん、お母ちゃん、ミーちゃん、yanさん、ありがとうございました。