2015年(2014年公開作品を対象)に創設した「一日の王」映画賞も、
第4回となった。
ブログ「一日の王」管理人・タクが、
たった一人で選出する日本でいちばん小さな映画賞で、
何のしがらみもなく極私的に選び、
勝手に表彰する。(笑)
作品賞は、1位から10位まで、ベストテンとして10作を選出。
監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞は、
5名ずつを選出し、
最優秀を、各部門1名ずつを決める。(赤字が最優秀)
今回から、新人賞と外国映画の作品賞を各1作ずつ選出することにした。
普段、レビューを書くときには点数はつけないし、
あまり映画や俳優に順位はつけたくはないのだが、
まあ、一年に一度のお祭りということで、
気軽に楽しんでもらえたら嬉しい。
【作品賞】(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
①『最低。』
②『幼な子われらに生まれ』
③『彼女の人生は間違いじゃない』
④『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
⑤『花筐 HANAGATAMI』
⑥『彼女がその名を知らない鳥たち』
⑦『あゝ、荒野』(前篇・後篇)
⑧『三度目の殺人』
⑨『散歩する侵略者』
⑩『彼らが本気で編むときは、』
今年は、
1月~6月にかけての前半は、
傑作と思える作品は少なく、
〈今年は不作の年だなぁ~〉
と思っていたら、
後半になって(特に9月以降)、秀作、傑作が目白押しで、
大いに楽しむことができた。
中でも、『最低。』には、新鮮な感動を戴いた。
AVの世界を描いていながら、
これほどまでに透明感のあるピュアな作品になっていることが驚きであったし、
そのことが、
2位から10位までの作品よりも一歩リードしていたように感じた。
上記ベスト10以外にも、
『愚行録』
『美しい星』
『八重子のハミング』
『海辺の生と死』
『火花』
『月と雷』
なども強く印象に残っており、
2017年も終わってみると豊作の年であったことを実感する。
【監督賞】
三島有紀子『幼な子われらに生まれ』
瀬々敬久『最低。』
廣木隆一『彼女の人生は間違いじゃない』
岸善幸『あゝ、荒野』(前篇・後篇)
石井裕也『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
『しあわせのパン』『ぶどうのなみだ』『繕い裁つ人』
の心温まるほんわかムードの映画から、
『少女』というミステリーを経て、
それまでの作風とはまったく違う傑作をものした三島有紀子監督に脱帽。
【主演女優賞】
森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈『最低。』
蒼井優『彼女がその名を知らない鳥たち』
瀧内公美『彼女の人生は間違いじゃない』
高橋洋子『八重子のハミング』
初音映莉子『月と雷』
『最低。』という映画を見なかったら、
『彼女がその名を知らない鳥たち』の蒼井優が最優秀だと思うが、
『最低。』という映画を見てしまったために、
森口彩乃、
佐々木心音、
山田愛奈の3人の女優が忘れられなくなってしまった。
第2回 「一日の王」映画賞で、『ハッピーアワー』の菊池葉月、三原麻衣子、田中幸恵、川村りらの4人を最優秀に選出したが、
そのときと同じように『最低。』の森口彩乃、佐々木心音、山田愛奈の3人を選出したい。
(左より、佐々木心音、森口彩乃、山田愛奈、原作者の紗倉まな)
【主演男優賞】
菅田将暉『帝一の國』、『あゝ、荒野』(前篇・後篇)、『火花』
浅野忠信『幼な子われらに生まれ』
松田龍平『散歩する侵略者』
生田斗真『彼らが本気で編むときは、』
妻夫木聡『愚行録』
最優秀主演男優賞には、菅田将暉を選んだ。
『あゝ、荒野』(前篇・後篇)だけでも最優秀が獲れると思うが、
2017年には計4本の主演作があり、
そのいずれの作品においても圧倒的な存在感を示し、
見る者に衝撃を与えた。
文句なしの受賞である。
【助演女優賞】
高岡早紀『最低。』
安藤サクラ『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』『DESTINY 鎌倉ものがたり』
草刈民代『月と雷』
木下あかり『あゝ、荒野』(前篇・後篇)
柿原りんか『彼らが本気で編むときは、』
最優秀助演女優賞は、大接戦だった。
特に、高岡早紀と安藤サクラと草刈民代で迷った。
決め手になったのは、やはり存在感。
高岡早紀は、元AV女優という役であったが、
何も言わなくても、ただそこにいるだけで、
どんな過去があり、どんな性格で、どんな人生を歩んできたかが、
見る者に解ってしまう……それほどの存在感があった。
【助演男優賞】
宮藤官九郎『幼な子われらに生まれ』
役所広司『三度目の殺人』
長塚圭史『花筐 HANAGATAMI』
田中泯『無限の住人』『DESTINY 鎌倉ものがたり』
高杉真宙『散歩する侵略者』
どの映画賞でも『三度目の殺人』『関ケ原』の役所広司を最優秀に選出すると思うが、
「一日の王」映画賞では『幼な子われらに生まれ』の宮藤官九郎を選びたい。
『幼な子われらに生まれ』は宮藤官九郎が出演していなかったら、
これほどの傑作にはなりえなかったかもしれない……
そう思わせるほどの存在感であったし、
役者はやはり“存在感”だなと再認識させられた。
【新人賞】
石橋静河『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
私は、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』で初めて石橋静河を見たのだが、
その美しさ、その存在感に、すっかり魅せられてしまった。
この映画の上映中、
私は彼女ばかりをずっと見ていたような気がする。
この感覚は、
『愛のむきだし』で満島ひかりを、
『百円の恋』『0.5ミリ』で安藤サクラを、
『海街diary』で広瀬すずを、
発見したときのような感覚に似ている。
私にとっては実に嬉しい感覚であった。
【作品賞・海外】
『沈黙 -サイレンス-』
外国映画を選ぶのは困難だ。
ハリウッド映画ばかりではないし、
数多くの国で映画は制作されている。
全部を見ることは到底できないし、
映画が制作されて数年後に日本公開されることも珍しくない。
それを同一基準で比較することなど、できっこない。
ここでは、私が見た範囲ということで、『沈黙 -サイレンス-』を選出した。
『沈黙 -サイレンス-』の他には、
『ラ・ラ・ランド』『MERU/メルー』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『パターソン』『ブレードランナー 2049』なども素晴らしいと思った。
先程も述べたが、
2017年は、前半は不作と思われたが、後半は盛り返して、
結果、豊作の年となった。
映画には、たくさんの感動を戴いた。
私一人の人生は、ごく限られた範囲の、小さな体験でしかない。
映画は、私一人の人生では知り得ない、様々な経験をさせてくれる。
様々な感動を受け取ることができる。
映画鑑賞が趣味で本当に良かったと思う。
やはり、人生とは“感動”ではないか……
登山も、映画鑑賞も、読書も、
“感動”を受け取る行為だ。
今年(2018年)も、心動かされる人や出来事にたくさん出逢える様、
一瞬一瞬を大切に、
“一日一生”の気持ちで一年を過ごしていけたらと思う。