私の大好きな小松菜奈の、
今年(2019年)の出演予定作は、今のところ3作。
『サムライマラソン』(2019年2月22日公開)雪姫 役
『さよならくちびる』(2019年5月31日公開)主演・レオ 役
『閉鎖病棟』(仮題、2019年11月公開予定)由紀 役
昨年(2018年)12月7日公開の『来る』を見て以来2ヶ月半、
『サムライマラソン』の公開を、首を長くして待っていた。
そして、公開初日の夕刻、
仕事が終わると同時に会社を飛び出し、映画館に駆けつけたのだった。(コラコラ)
260年間、日本は国を守るために鎖国してきた。
だが、それもいよいよ終わりを迎えようとしていた。
1855年、幕末。
幕府大老の五百鬼祐虎(豊川悦司)は、
黒船でアメリカからやってきた海軍総督ペリー(ダニー・ヒューストン)と面談し、
和親条約という名の開国を迫られる。
一方、安中藩主の板倉勝明(長谷川博己)は、
ペリーが口にする和親条約というのは名ばかりで、
アメリカの本当の狙いは日本への侵略だと疑っていた。
〈国を守らなければならない!〉
と考えた勝明は、藩士を緊急招集し、
「心と体を鍛錬するために、明日、十五里の遠足(とうあし)を行う」
と宣言する。
「優勝者はどんな願いも叶えられる」
と聞いて、藩士たちは色めき立つのだった。
そんな中、城内で騒ぎが持ち上がる。
勝明の娘・雪姫(小松菜奈)が、城を抜け出したのだ。
芸術的才能に恵まれた雪姫は、
江戸へ出て絵画を勉強し、いずれは異国へも渡りたいと願っているのだが、
父から反対されていた。
重臣の息子で傲慢な辻村平九郎(森山未來)を婿にとって藩を治めるよう命じられ、
強い決意のもと逃げ出したのだ。
城下の人々の間では、さっそく誰が1位になるか賭けが始まった。
藩で一番足が速いのは、足軽の上杉広之進(染谷将太)だと誰もが知っていた。
上杉は、両替屋の留吉に茶屋でおごられ、
「1着にならなければ10両渡す」
と八百長を持ちかけられる。
妻子の待つあばら家へ帰った上杉は、1着とお金とどちらを取るかで頭を悩ませる。
安中藩に仕える勘定方・唐沢甚内(佐藤健)は、それは仮の姿で、
実は代々幕府の隠密として、不穏な動きを察知したら直ちに報告する役目を負っていた。
それは、妻の結衣(門脇麦)も知らないことであった。
板倉勝明の発した「遠足」に不穏なものを感じた甚内は、飛脚に文を託す。
だが、それが只の「遠足」と知った甚内は、急いで飛脚から文を取り戻そうとするが、すでに手遅れであった。
「不穏な動き」を知らせる文を読んだ幕府大老の五百鬼は、
以前から勝明を「何をするか分らない者」と警戒していたこともあって、
安中藩の遠足を「謀反の動き」と見て、アメリカの最新式の拳銃を携えた刺客を放つのだった。
太鼓の音が響き、開始の掛け声で一斉に飛び出す藩士たち。
虚栄心から不正をしてでも1着を取ろうと気合を入れる辻村、
守衛番を解雇され、最後にひと花咲かそうと、亡き親友のまだ幼い息子と出場する栗田又衛門(竹中直人)など、
それぞれに想いを抱えた参加者たちは、懸命に走り続ける。
その中には、遠足に乗じて江戸まで行こうと計画し、男装に身を隠した雪姫もいた。
だが、ほどなく刺客たちが到着し、まずは関所が襲撃される。
自分の間違った報告が招いた惨事に呆然とする甚内であったが、
幕府につくか藩につくか思いが揺れる中、
愛する者たちとはすべてここで出会ったことに気づいた甚内は、
仲間たちに危機を告げ、
一刻も早く城へ戻ろうと全力で走り始めるのだった……
『超高速!参勤交代』『超高速!参勤交代 リターンズ』の原作・脚本で知られる土橋章宏が、
日本のマラソンの発祥と言われる史実「安政遠足」を題材に執筆した小説『幕末まらそん侍』を映画化したものである。
『超高速!参勤交代』(2014年)
『超高速!参勤交代 リターンズ』(2016年)
共に、痛快作であったので、
この作品もかなり期待していた。
だが、心配になる点もあった。
監督が、本木克英ではなく、外国人のバーナード・ローズであることと、
脚本が、土橋章宏ではなく、
斉藤ひろし、バーナード・ローズ、山岸きくみの3名となっていたからだ。
そして、その心配は……残念なことに現実となっていたのである。
原作を読んでいないので、映画のみに限って言わせてもらえば、
笑うべきところで笑えない、
感動すべきところで感動できないのだ。
ストーリーや人物設定も不自然に感じる点が多く、
すべてにおいてポイントがずれていた。
プロデューサーが、『ラストエンペラー』のジェレミー・トーマスということで、
日本人向けではなく、外国人向けに作られたサムライ映画のような気がした。
しかし、こう感じるのは私だけかもしれないし、
この作品を面白いと感じる人も少なくないかもしれない。
興味がある方は、自分の目で確かめてもらいたい。
ということで、
ここからは、小松菜奈のみに焦点を当てて論じたい。(コラコラ)
斉藤ひろしさんが書かれた当初の脚本も多くの魅力的なエピソードとキャラクターが描かれていましたね。ただ、私はそこに力強い女性が必要だと感じたので、安中藩主の板倉勝明(長谷川博己)の五女・雪姫(小松菜奈)というキャラクターを創作し、画家になるために江戸へ行きたい娘と家老の息子・辻村平九郎(森山未來)を結婚させて安中に留まらせようとする父の物語を加えたんです。(『サムライマラソン』のパンフレット)
こう語るのは、バーナード・ローズ監督。
この言葉で、斉藤ひろしの脚本をベースに、
バーナード・ローズ監督が手を入れたことが判るし、
雪姫というキャラクターがバーナード・ローズ監督によって創作されたことも判る。
そういう意味では、バーナード・ローズ監督に感謝しなければならないだろう。
雪姫の役がなかったら、小松菜奈もキャスティングされることもなかったのだから……
この雪姫は、
〈あくまでも脇役で、出演シーンはそれほど多くないのではないか……〉
と思っていたのだが、
ファーストシーンから雪姫が出てきて驚かされ、
その後も度々登場し、アクションも披露している。
(アクションシーンの後に、予告編あり)
衣装デザインを『乱』のワダエミが担当しており、
雪姫はただのお姫様ではなく、絵の才能にあふれ、異国への憧れを持っています。そんなキャラクターを表現するため、和柄にティファニーブルーを合わせ、華美過ぎないけど、よくよく見るとシルクの生地を使っているんです。
と語っていたが、
その着物姿もよく似合っていた。
映画そのものは、ともかくとして、(笑)
小松菜奈の雪姫としての“美”、
男装したときの“格好良さ”、
アクションシーンの“痛快さ”など、
いろんな小松菜奈を楽しむことができ、充実した104分であった。
公開記念舞台あいさつの時、
小松菜奈が、“平成最後の願望”に「山登り」を挙げていた。
小松菜奈の口から、
「山登りがしたい」
などという言葉が出てくるとは夢にも思ってなかったので、なんだか嬉しかった。
小松菜奈の次の出演作は、
門脇麦とのW主演作『さよならくちびる』(2019年5月31日公開)。
この映画では、『坂道のアポロン』で聴くことのできなかった小松菜奈の歌声を聴くことができる。
挿入歌を提供しているのが、小松菜奈と雰囲気が似ている、あいみょん。
(ホクロが小松菜奈と同じところにあるね)
……もう楽しみしかない。
5月が待ち遠しい!