一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

船通山 ……出雲伝説の山で、カタクリやサンインシロカネソウの群落に酔う……

2010年04月25日 | その他・佐賀県外の山
船通山(せんつうざん)に行ってきた。
島根県と鳥取県の県境にある標高1142.5mの山である。
この山の名を知ったのは、『Green Walk』誌の2008年春号(26号)においてであった。
「カタクリの大群落が山頂一面を埋め尽くす山」と紹介してあった。
カタクリの他にも、ミヤマカタバミやサンインシロカネソウなどが咲く「花の山」であると……
その記事を目にして以来、一度は訪れたいと思っていた。
昨年5月、私の所属する山岳会のGW特別山行で、船通山に行くことになっていた。
だが、諸事情により急遽行先が変更になって、結局行くことはできなかった。
なんとか今年こそは……と思い続けていた。
そして、やっと念願が叶った。

船通山が見えてきた。
左の尖ったピークではなく、右側のなだらかな尾根が船通山山頂である。
こうして見ると、天山によく似ている。
左側のピークを雨山に例えると、右側の鈍頂は天山そのものだ。


今回は、鳥上滝ルートから登り、亀石ルートを下山する計画。
鳥上滝ルートの登山口から登り始める。


すぐに白い小さな花が目に飛び込んできた。
ミヤマカタバミである。
本当に小さくて可愛い花だ。


鳥上滝ルートは、沢のある溪谷を歩いて行く。
この美しい風景も、このルートの見所のひとつだ。


ボタンネコノメソウを発見。
ひとつ見つけると、次々と見つかる。


コチャルメルソウも大群落。


エンレイソウもけっこう目立っている。


なんて素敵な谷なんだろう。


ミヤマカタバミは、登山口からずっと咲いている。
鳥上滝ルートは、ミヤマカタバミの小径だ。


面白い形をした木を見つけた。
けっこう大きい。


こうして離れてみると、形や大きさがよくわかる。


鳥上滝を通過。
落差約16m。
斐伊川の源流にあたり、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の根城だったとか。


こんなに気持ちの好いルートなら、何時間だって歩いて行ける。


だが、やがて稜線に出る。
登山道の両側にロープが張ってあり、この辺りからカタクリが見られるようになる。


おっ、咲いている!
まだ蕾が多いけど、けっこう咲いている。


〈まだ咲いていないかもしれない〉
と思っていたので、嬉しい!


二つのルートの合流地点を通過。
ここから山頂までは100m。


船通山山頂に到着。
2年越しの夢が叶った瞬間。


今日は素晴らしい晴天。
山頂からは、360度の展望が楽しめる。
遠くに伯耆大山が見える。
地元の人の話だと、見える日はそう多くはないとのこと。
ラッキーだ。


反対側には、三瓶山が……
こちらも伯耆大山同様、めったに拝めないらしい。
やはり、日頃の私の行いが……(笑)


この素晴らしい風景を見ながら昼食。


幸せなひととき。


ランチの後は、カタクリの観察。
まだ蕾が多いけど、凄い群落だ。


咲いている花をひとつひとつ写真に撮って歩く。


色の濃い花。


踊っているような花。


バックが蒼空なので、花が映える。


雲ひとつない蒼空なので、なんだかスタジオで撮影した花のような感じ。


日差しが強く、思いっきり反り返った花も……


いろんな咲き方をしたカタクリを、存分に楽しませてもらった。


名残を惜しみながら下山。
分岐から、亀石ルートへ下りて行く。
こちらのルートはブナ林が美しい。


面白い形をしたものや、


でっかくて存在感のあるものなど、見ているだけで楽しい。


ブナ林を過ぎると、やがて沢沿いの道に変わる。


小さな滝の傍で、サンインシロカネソウを発見。


なんて美しいんだろう!
サバノオの仲間だそうで、トウゴクサバノオによく似ている。


出逢えたことに感激しながら歩いていたら、登山道の両側にずっとサンインシロカネソウが……
驚きの大群落。
もうほとんど雑草状態。
船通山は本当にスゴイ山だ。


ハシリドコロの花はよく目にしたし、


亀石ルートでもミヤマカタバミはたくさん咲いていた。


花酔いでフラフラしながら、亀石登山口に到着した。(笑)
まさに花の名山。
遠くから来た甲斐があったというものだ。


島根県と鳥取県の県境から佐賀までは、さすがに遠かった。
帰りは当然遅くなった。
壇乃浦PAでしばし休憩。
私はまだ花酔いから醒めていなかった。
夜景を見ながら、酔いを醒ますことにした。
だが、花の幻影はなかなか私から離れてくれず、
酔いは一層深まっていくようであった。

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