MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『どすこい!すけひら』

2020-02-18 12:56:30 | goo映画レビュー

原題:『どすこい!すけひら』
監督:宮脇亮
脚本:鹿目けい子
出演:知英/草川拓弥/金子大地/松井愛莉/池端レイナ/富田望生/りゅうちぇる/竹中直人
2019年/日本

脇役の「成長物語」について

 高校生の頃は「どすこい」とあだ名を付けられるほど太っていた主人公の助平綾音は友人のフレッドと一緒に滞在していたイタリアを旅行中にフレッドが運転していたボートから落ちて怪我をして手術した胃が小さくなったことをきっかけに痩せてしまいチョコレートの洋菓子職人の道を諦めて帰国した後に、友人の紹介で高級エステサロンで働くことになる。
 そのサロンを利用していたアイドルの湊拓巳と知り合うのだが、拓巳には既に藤代あいという恋人がおり、さらに過去に太っていたという劣等感を持っていた綾音は拓巳と交際することに引け目を感じている。しかし前科があるというのならともかく、肥満だったことに劣等感を持つだろうかという疑問は残る。
 結局、綾音と拓巳が結ばれることはなく、綾音の「成長物語」は失敗してしまうのだが、興味深いのは綾音に「どすこい」と命名した先輩の馬渕隼人の存在である。隼人は拓巳と同じ事務所の後輩なのだが、オーディションを受けても隼人に取られっぱなしだった。そして痩せた綾音と出会って、ようやくバレンタインの日にチョコレートを貰った時に自分が綾音に「どすこい」と名づけたことを思い出す。
 その後、隼人はオープンカフェで再び太った女性にチョコレートを渡され、もともとチョコレートが好きではなかったので一度は断ったものの、綾音のことを思い出し喜んで受け取る。この時、本作は隼人の「成長物語」として成立したように思う。
 ドーナッツを巡る綾音とフレッドを演じたりゅうちぇるのやり取りは面白かった。


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『東京ワイン会ピープル』

2020-02-18 00:53:36 | goo映画レビュー

原題:『東京ワイン会ピープル』
監督:和田秀樹
脚本:林ミカ
撮影:中村夏葉
出演:松村沙友理/大野いと/小野塚勇人/少路勇介/藤岡沙也香/鯨井康介/須藤理彩
2019年/日本

アイドルの「性」について

 例えば、『日日是好日』(大森立嗣監督 2018年)という作品でお茶の作法を一通り学べるように本作を観てワインの嗜みを学ぶことができるとは思うが、映画として見どころがあるかどうかは疑問が残る。主人公のОLの桜木紫野は会社の上司から誘われたワイン会に居心地の悪さを感じるのだが、桜木は港区の西麻布にあるワンルームマンションに住んでおり、なかなかのセレブなのである。
 「本物」と「フェイク」を巡る考察も、織田一志の粉飾決算や雨宮千秋の顔の整形や蒔田の偽物のワイン会などネタは出すのだが、消化不良の感が否めない。それならばワインも「熟成」させれば美味しくなるという安易な結論にたどり着かざるを得ないからである。
 とにかくワインに対する監督の想いが強すぎて桜木を演じている松村沙友理が「フェイク」のように見える。松村でなくても白石麻衣でも構わなかったのではないだろうか。


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