MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「でも好きだよ」について

2015-10-31 00:09:23 | 邦楽

野口五郎さん『でも好きだよ』の歌詞
デモスキダヨ
words by マツイゴロウ
music by モリマサアキ
Performed by ノグチゴロウ

 ついでに気になった楽曲について一言言っておくと、野口五郎が去年リリースした「でも好きだよ」

という曲は出だしがエリック・クラプトン(Eric Clapton)が1984年にシングルリリースした

「フォーエヴァー・マン(Forever Man)」を「引用」し、コーラスの部分はデレク・アンド・ザ・

ドミノス(Derek and the Dominos)の「いとしのレイラ(Layla)」(1971年)を「引用」している。

野口五郎には元々ギタリストとしての才能があるからともかく、彼のファンはアイドルとしての

野口五郎しか知らないであろうから、この曲の良さを理解できるとは思えない。

だから今年リリースした新曲「再会タイムマシン/Rainy〜会えない週末」は秋元康、筒美京平、

つんく♂という布陣で臨んだのであろうが、視聴した限りでは可もなく不可もない普通の曲だった。

かくして「マーケッティング」に乗ることは難しいのである。

野口五郎 でも好きだよ / 愛してると言うまえに

野口五郎 / 「再会タイムマシン」


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「ハロウィン・ナイト」について

2015-10-30 00:21:33 | 邦楽

AKB48さん『ハロウィン・ナイト』の歌詞
ハロウィンナイト
words by アキモトヤスシ
music by イノウエヨシマサ
Performed by エーケービーフォーティーエイト

 AKB48の「ハロウィン・ナイト」はよくできていると思う。全体的な曲調はパティ・ライアン

(Patty Ryan)の「You're My Love, You're My Life」(1986年)をベースにしており、

出だしはモーニング娘。の「恋のダンスサイト」を想起させ(因みに「心のプラカード」のコーラス

部分はチェリッシュの「てんとう虫のサンバ」のように聞こえる)、さらにタイトルの単語を連呼する

ブリッジの部分はアンドリュー・ロイド・ウェバーが作曲した「オペラ座の怪人(The Phantom of the

Opera)」をモチーフにしている。近田春夫は「ミュンヘンディスコの焼き直しのような曲調は決して

悪くはない。ただ全体からマーケッティング臭が漂い過ぎなのはどーなのかねぇ? なんだかあざとさ

が鼻について率直にいって私、フォーチュンクッキーの時ほど素直に乗れませんでした。」

(「考えるヒット」『週刊文春』9月17日号 p.64)と書いているが、多くのアイドルが

「マーケッティング」に乗れないまま「地下」に潜伏せざるを得ない中、誰もがこの「あざとさ」を

欲しがっているのが現状なのである。それよりも私が気になっていることは歌詞の方で、女の子たち

が歌っているから目立たないが、歌詞の主人公は「僕」だから男であり、そうなると最後の「Trick

or Treat」は「いたずらか、おもてなしか」という事実上同じ意味の「下ネタ」になり、やばい男の

歌になっていると思うのであるがどうなのだろうか。最近、AKB48を卒業した川栄李奈が朝の

帯番組に出演していると思っていたら、どうもテレビ朝日の新人アナウンサーの田中萌らしい。

【MV full】 ハロウィン・ナイト / AKB48[公式]


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『Mr. マックスマン』

2015-10-29 00:05:38 | goo映画レビュー

原題:『Mr.マックスマン』
監督:増田哲英
脚本:福田卓郎
出演:千葉雄大/山本美月/要潤/鈴木杏樹/田辺誠一/田村亮/なたぎ武/高田延彦/大和田伸也
2015年/日本

安易な「便乗商法」について

 てっきりアメリカンコミックを取り入れて、『スーパー!』(ジェームズ・ガン監督 2010年)の日本版のような「ヒーローもの」のパロディーを期待していたのであるが、主人公の谷口正義が超能力を得た時に感覚が異常に敏感になるということ以外はアイロニーも感じられず、至って普通の「ヒーローもの」でがっかりした。
 そもそも本物の「ヒーローもの」である仮面ライダーの映画でさえ歴代のライダー総出演の上にニンニンジャーまでゲスト出演させるほど総動員しているのに、本作は谷口が変身するマックスマン一人だけで、舞台も主にテレビ局内という地味さで、その地味さをカバーするはずの多少お金をかけている変身シーンも既に見慣れたもので、『アントマン』(ペイトン・リード監督 2015年)、『キングスマン』(マシュー・ヴォーン監督 2014年)、『バクマン。』(大根仁監督 2015年)のどさくさに紛れさせた安手のテレビドラマを劇場で観させられてしまった。


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『キングスマン』

2015-10-28 00:28:40 | goo映画レビュー

原題:『Kingsman: The Secret Service』
監督:マシュー・ボーン
脚本:マシュー・ボーン/ジェーン・ゴールドマン
撮影:ジョージ・リッチモンド
出演:コリン・ファース/マイケル・ケイン/タロン・エガートン/サミュエル・L・ジャクソン
2014年/イギリス

 イギリス製「スパイもの」の特性について

 『キック・アス』(マシュー・ボーン監督 2010年)が「ヒーローもの」のパロディーであるように、本作は「スパイもの」のパロディーとしてよく出来ている。冒頭にダイアー・ストレイツ(Dire Straits)の「マネー・フォー・ナッシング(Money for Nothing)」を流すところからしてふざけているのが分かるのであるが、例えば、主人公のハリー・ハートがエグジーとカフェに入り、ギネスビールを飲んでいる背後の壁には「Guinness for Strength(滋養強壮にギネス)」というポスターが貼られており、その後の店内のストーリー展開を予想させ、あるいは高級スーツ店「キングスマン」のハリーの書斎にはイギリスのタブロイド紙「ザ・サン(The Sun)」が壁一面に貼られているのであるが、その内の一面の見出しが「ブラッド・ピットが私のサンドイッチを食べた(Brad Pitt ate my sandwich)」というくだらないもので、ギャグの細かい部分までこだわるところはさすがイギリス映画である。
 しかし主演を演じたコリン・ファースが途中でいなくなってしまうのは余りにももったいないような気がするのは私だけではないような気がする。


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『アントマン』

2015-10-27 00:04:02 | goo映画レビュー

原題:『Ant-Man』
監督:ペイトン・リード
脚本:エドガー・ライト/ジョー・コーニッシュ/アダム・マッケイ/ポール・ラッド
撮影:ラッセル・カーペンター
出演:ポール・ラッド/エヴァンジェリン・リリー/コリー・ストール/マイケル・ダグラス
2015年/アメリカ

「生活臭」が強すぎるヒーローについて

 手塚治虫原作の『ミクロイドS』のようなものを想像して観に行ったら、意外と地味なものだった。主人公のスコット・ラングの「生活臭」が強すぎてSF作品として華やかさがないように感じたからで、アントマンのスーツを着こなしてパワーを発揮できるまでのトレーニングの過程も、愛娘のキャシーのために戦うという動機も人間味が強すぎてストーリーがこじんまりとしているように見えた。だから『ファンタスティック・フォー』(ジョシュ・トランク監督 2015年)同様に本作も子供向け(もしくはファミリー向け)のように見えてしまうのであるが、アントマンが実力を発揮するのはどうやら続編かららしい。


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『ファンタスティック・フォー』

2015-10-26 00:55:30 | goo映画レビュー

原題:『Fantastic Four』
監督:ジョシュ・トランク
脚本:ジョシュ・トランク/ジェレミー・スレイター/サイモン・キンバーグ
撮影:マシュー・ジェンセン
出演:マイルズ・テラー/ジェイミー・ベル/ケイト・マーラ/マイケル・B・ジョーダン/トビー・ケベル
2015年/アメリカ

子供向けSF作品の物語の傾向について

 主人公が自分たちの研究を発表したことをきっかけにリクルートされたり、クライマックスで地球と異次元を結ぶ「ポータル」の出現など全体的なストーリーの流れが驚くほど『ベイマックス』(ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ監督 2014年)に似ている。製作会社が違えば訴訟レベルほど酷似している。
 そのせいもあってか、例えば、主人公のリード・リチャーズが図書館でスーザン・ストームに『海底二万里』を見せて作者のジュール・ヴェルヌの偉大さを語るのであるが、物質転送装置を作ろうとしている人物がフィクションを称賛しているところで、本作が『ベイマックス』同様に子供向けの作品であることが分かる。このままでは4人は「アベンジャーズ」に参加するどころか続編の製作も厳しいであろう。


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『白い沈黙』

2015-10-25 00:02:19 | goo映画レビュー

原題:『Captives』
監督:アトム・エゴヤン
脚本:アトム・エゴヤン/デヴィッド・フレイザー
撮影:ポール・サロッシー
出演:ライアン・レイノルズ/ミレイユ・イーノス/スコット・スピードマン/ロザリオ・ドーソン
2014年/カナダ

少女の「物語」に捕らわれている人々について

 作品の冒頭、雪原が映り、カメラが左にゆっくりとパンして止まると粉雪が舞い上がるシーンが素晴らしいのであるが、物語そのものは賛否両論というよりも否の方が圧倒的に多い。ここで考えなければならないことは原題の「Captives」の意味である。とりあえず「捕らわれた人々」と訳せるタイトルが指している相手は主人公のマシュー・レインの愛娘であるカサンドラ・レインのことであることは誰にでも分かるであろうし、複数形になっている理由も同じように誘拐されている子供たちの存在をほのめかしているはずである。
 ところが錯綜した時系列からやがて判明することは、主犯のミカやアシスタントのヴィッキーが「少女の物語」に「捕らわれている」という事実であり、だからクルマの中で暮らしていたというニコール・ダンロップ捜査官の不幸な幼少時代の「物語」に興奮したミカはニコールを拉致し、さらには彼らと一緒に暮らしていたカサンドラも8年振りに出会った父親のマシューに靴ひもが一変したことと関連させて「トリック(trick)」と「ギミック(gimmick)」の違いを問うなど理解しがたい「物語」を語るのである。
 だから本作で問題となることはミカのような特異な「性癖」を説得力を伴って描くことができるのかどうかなのであるが、チャレンジは評価するものの結果は微妙である。


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『ヒトラー暗殺、13分の誤算』

2015-10-24 00:56:30 | goo映画レビュー

原題:『Elser』 英題:『13 Minutes』
監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本:レオニー=クレア・ブライナースドファー/フレート・ブライナースドファー
撮影:ユーディット・カウフマン
出演:クリスティアン・フリーデル/カタリーナ・シュットラー/ブルクハルト・クラウスナー
2015年/ドイツ

父親になり損ねた男の「父親殺し」について

 主人公のゲオルク・エルザーのことを知りたいと思って本作を観たはずなのであるが、観終わってもエルザ―のことがよく分からないどころか、ますます謎に満ちた存在と化す。エルザ―は最初の妻のマティルダが妊娠するとスイスで中絶手術をさせようとするのであるが、マティルダはマンフレッドという男の子を産んでしまい、離婚しただけでなく養育費を払うはめになってしまう。しかし一方で、夫のいるエルザに子供ができた時には産むことに賛成して、産まれた男の子にゲオルクと名付けるのであるが、原因は分からないが不幸にも夭折してしまうのである。
 メインテーマであるエルザ―のアドルフ・ヒトラー暗殺未遂事件に関しても謎のままで、いかなる団体にも所属しておらず、自白剤を打たれても単独犯であることを主張しているのであるから間違いないはずであるが、あれだけのダイナマイトをどのように一人で運んだのか不明な点も多い。ヒトラーがギリギリまでエルザ―を生かしておいた理由は、黒幕を突き止めるということだけではなく、たかが大工一人に暗殺されそうになったことを最後まで認めたくなかったのかもしれない。


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『リターナー』

2015-10-23 00:29:53 | goo映画レビュー

原題:『リターナー(Returner)』
監督:山崎貴
脚本:山崎貴/平田研也
撮影:柴崎幸三/佐光朗
出演:金城武/鈴木杏/岸谷五朗/樹木希林/高橋昌也/岡元夕起子
2002年/日本

演出の拙さをカバーする多大な「引用」について

 山崎貴監督が得意とするVFXを駆使した映像表現の上手さは改めて言うまでもなく、『E.T.』(スティーヴン・スピルバーグ監督 1982年)や『マトリックス』(ウォシャウスキー兄弟 1999年)などのSF作品を「引用」しながら、主人公のミヤモトとミリの、それぞれ友人と弟を亡くした過去をダブらせるストーリー構成は悪くはないのであるが、思ったほど感動しない。

 それは例えば、周囲にバレないように職員を人質にとってミヤモトとミリが宇宙開発研究所に侵入し、その職員を縛ってミリがカメラ目線で職員に「ごめんね、おじさん」と言い(写真左)、この場合、次のカットは職員の顔のアップでなければならないのだが、何故かカメラはそのまま右にパンしてしまい、縛られている職員を映し出す(写真右)。これではミリは観客に語りかけているように見えてしまい、演出として失敗してしまっているのであるが、もしも監督自身が演出の拙さを自覚しており、作品の中程で退屈しているであろうおじさんの観客に向かって鈴木杏に「ごめんね、おじさん」と言わせているのだとしたら、なかなか斬新な演出ではある。


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『罪の余白』

2015-10-22 00:57:07 | goo映画レビュー

原題:『罪の余白』
監督:大塚祐吉
脚本:大塚祐吉
撮影:Ivan Kovac
出演:内野聖陽/吉本実憂/谷村美月/葵わかな/宇野愛海/利重剛/加藤雅也
2015年/日本

 スクールカーストのトップの挫折について

 娘の安藤加奈が学校の教室のベランダから転落死した原因を突き止めようと、主人公の安藤聡は当初、大学で心理学を教えていながら娘に対する自分の無理解や、母親が加奈を出産する際に子宮がんが見つかり、出産のために癌治療ができずに亡くなってしまったことなどを思い出し悩んでいたのであるが、ノートパソコンに残っていた加奈の日記を読んでから、加奈の友人だった木場咲に話しを聞こうとするものの、成績優秀で美人でスクールカーストのトップに君臨している咲は巧妙に話しをはぐらかし、事件当時のことを語ろうとはせず、逆に安藤を追い詰めていく。
 ここまでの話の流れは悪くはない。密かに女優を目指していた咲は思い通りに芸能事務所にスカウトされ、事務所の社長と話し合うのであるが、咲が想像していたような話にはならなかった。学校では万能ではあっても社会に出てしまうと途端に神通力を失うことに咲自身が驚いたはずである。咲が事務所を後にした直後に咲の後を付けていた安藤が関係者に話しを聞き、咲が女優を志していることを知る。ここら辺から咲の人生の歯車が狂ってきて、実際、咲は安藤に「撮影」されることで刑務所送りになってしまうのであるが、ロジックに則ってはいても安藤が大学で講義していた「ダブルバインド」の話が上手く生かされておらず、全体的なストーリーの流れも素直すぎる。
 それでも観賞に耐えられる理由は、咲を演じた吉本実憂の好演と美しさにつきる。さすが街角のスカウトではなく第13回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞して芸能界に入っただけのことはある。


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