原題:『犯人に告ぐ』
監督:瀧本智行
脚本:福田靖
撮影:柴主高秀
出演:豊川悦司/石橋凌/片岡礼子/小澤征悦/井川遥/笹野高史/松田美由紀/石橋蓮司
2007年/日本
プロットが秀逸すぎて誰にも気づかれず汚名を着せられている作品について
ラストで主人公の巻島史彦がベッドの上で「眼を大きく開くシーン」が物議を醸している本作を改めて観なおしてみると、「手紙」に関して上手く理解されていないように思う。
「UNHAPPY NEW YEAR」や主人公の巻島史彦に対する横書きの脅迫文は6年前に少年を殺した有賀が書いたものである。<BADMAN>を名乗る者から早津名奈に届いた縦書きの脅迫文は真犯人が書いたもので、巻島がテレビ出演した後に届いた脅迫文は実は曽根要介が書いたものである。次に届いた脅迫文は6年前に息子を殺された父親の桜川夕起也が書いたもので、最後に東名高速の路上で発見された脅迫文は巻島がテレビ出演した後に真犯人が書いたものなのである。
そうなるとエンジ色をカーキ色と誤解していた人物は桜川夕起也となり、20歳の予備校生の村西ケイイチは誤認逮捕されたことに巻島は気づいたのである。桜川が「自首」してきたというその真意を勘案しながら、犯人であることが分かっていながら証拠不十分で逮捕できずに結果的に自死させてしまった有賀と、不十分な証拠で誤認逮捕された村西の皮肉なあり方に巻島は驚愕したのであろう。
いくらサスペンス映画とはいえDVDも発売されて何年も経っているのだからもうそろそろ本作の「トリック」を誰かが気づいて正しく指摘してあげるべきだろう。