原題:『What Happened to Monday』 仏題:『Seven Sisters』
監督:トミー・ウィルコラ
脚本:マックス・ボトキン/リー・ウィリアムソン
撮影:ホセ・ダヴィッド・モンテロ
出演:ノオミ・ラパス/グレン・クローズ/ウィレム・デフォー/マーワン・ケンザリ
2017年/イギリス・アメリカ・フランス・ベルギー
ポスト「ブレードランナー」の作品について
『ブレードランナー 2049』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督 2017年)が2049年の世界を舞台としているならば、本作の時代設定は2043年から始まる。異常気象と急激な人口増加対策として開発された遺伝子組み換え食品の副作用による多胎児の増加、それに伴い執行されたいわゆる「一人っ子政策」、そして最後に明かされる「絶滅収容所」の存在など強烈なアイロニーが描かれている。
しかし「一人っ子政策」を掻いくぐって2073年、30歳まで生き延びた主人公の「カレン・セットマン」を名乗る七つ子姉妹の物語はなかなか納得しにくい。原題「マンデーに何があったのか?」通り、マンデーの行方不明がメインストーリーの発端になるのだが、マンデーが他の姉妹を裏切る原因となる出来事が、子供の頃に、サースデーが無断外出をして指を欠損するほどの怪我を負ったことだった。七人で「カレン・セットマン」を演じている以上、全員同じでなければならずマンデーも父親のテレンス・セットマンに指を切られるのである。マンデーはこのことにかなり怨みを持っていたようなのだが、指を切られたのはマンデーだけではなく、実際にウェンズデーは指を欠損していたおかげで敵の指を切って欠損した部分に当てて相手の銃を使えるようになり敵を撃ち殺すことができたのだから役に立つことがないことはないのである。何よりもあれほど精密な姉妹の監視システムがあるのに、姉妹の誰もがマンデーに恋人がいることを知らないということに無理があると思う。
いろいろと作品の粗を書いてしまったが、七姉妹を一人で演じたノオミ・ラパスと幼少時代を演じたクララ・リードの熱演は高く評価されるべきであろうし、愛の「奇跡」も含めたSF作品として発想の大胆さと「ディストピア」のヴィジュアルに関しては十分に堪能できると思う。