MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』 80点

2011-11-30 23:28:16 | goo映画レビュー

ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

2011年/アメリカ

ネタバレ

‘触媒’としてのジョージ・ハリスン

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 ジョージ・ハリスンに関するドキュメンタリー映画であるが、「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」とタイトルが付けられている通りに、‘物質世界’の中でヒンドゥー教に傾倒して瞑想を日課としていた一人の男の葛藤が描かれている。
 驚くべきは、「静かなるビートル(Quiet Beatle)」の異名を取っていたジョージ・ハリスンの多彩な交友関係である。まるでジョージは‘触媒’として様々な人々を結びつける。ジョン・レノンとポール・マッカートニーを結びつけてビートルズの結成に貢献したことから始まって、1971年には自ら主催者としてバングラデシュにおいてロック界初の大規模なチャリティー・コンサートを成功させる。1988年のトラベリング・ウィルベリーズの結成もジョージの貢献無くしてはありえなかった。ジョージの‘触媒’振りは留まるところを知らず、ロックとシタールを結びつけて新しい音楽を作り出し、ついには妻のパティと親友のエリック・クラプトンまでも結びつけてしまう。死の2週間前にジョージの病室を訪れたリンゴ・スターが脳腫瘍で入院している娘を見舞うために病室を後にしようとした際に、ジョージが最後にリンゴに放った一言は、死に際であってもリンゴと娘の‘触媒’になろうとするジョージの心意気が感じられ、感動を禁じえない。
 ジョージ・ハリスンの生涯を全てを網羅することは当然不可能であり、‘良い人’の面しか取り上げられておらず、それでいいのではあるが演出は‘無難’といったレベルである。例えば、1986年の映画『上海サプライズ』の制作の際に、主演のマドンナの演技に関してのテレビのインタビューにおける「彼女にはユーモアが感じられない」というような歯に衣着せぬジョージの発言も聞きたかった。


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無敵の金メダリスト

2011-11-30 00:10:45 | Weblog

田中聡沖縄防衛局長を更迭 一川防衛相、不適切発言で(朝日新聞) - goo ニュース
沖縄防衛局長の失言、地元紙報道で公的問題に(読売新聞) - goo ニュース
柔道五輪金の内柴氏、セクハラで懲戒解雇(読売新聞) - goo ニュース

 一川保夫防衛相が米軍普天間飛行場移設先の環境影響評価書の年内提出を断言

しないことに関して「(女性を)犯すときに『これから犯しますよ』と言うか」と発言した防衛省

沖縄防衛局前局長だった田中聡の発言は確かに不適切ではあるが、この発言は本土と

沖縄の関係を本音で的確に言い表してはいる。ところで世の中には強者がいて、例えば

九州看護福祉大学の客員教授だった内柴正人が懲戒解雇された原因は学外のホテルで、

未成年の部員の飲酒を黙認した上で、この部員にセクハラ行為をしたからなのであるが、

内柴は「合意の上だった」と話しているらしい。つまり話を総合すると内柴は、犯す前に

「犯しますよ」と言ったことになる。さすがに金メダルを2つも取っているとやることが違う。


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分りにくかった平松邦夫

2011-11-29 00:08:03 | Weblog

平松氏「わかりやすい言葉で言い切れなかった」(読売新聞) - goo ニュース

 毎日放送において24日午後7時から約2時間の枠で放送予定だった大阪市長選候補の

討論番組を辞退する辺りから負け戦が決まってしまい、22日に平松側の陣営が通告した

「大幅に戦術を変更し、日程を見直す」という辞退の理由も“今更感”は否めず、「怪物」、

「私以外に彼を止められる人はいない」、「大阪都構想は市民にとって全くメリットはない」、

「市の権限と財源をむしり取ると言ってはばからない人」、「全国が注目している選挙。

大阪人の心意気はここにあり、という力を見せてください」などの平松邦夫の言葉は、

民主党、自民党のみならず、共産党の支援まで受けておきながら、「行政組織を抜本的に

変えることで二重行政の無駄を省ける」という橋下徹の分かりやすい一言の前に全くの

無力であった。平松邦夫が醸し出す“好々爺感”がいかにも馴れ合い体質を体現していた。


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『楢山節考('58)』 100点

2011-11-28 23:53:37 | goo映画レビュー

楢山節考('58)

1958年/日本

ネタバレ

物語られない殺人事件

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 本作が制作された1958年当時とすれば、その余りにも残酷な物語性故に敢えてリアリズムを避けて歌舞伎の様式を取り入れたのであろうという山田洋次監督の意見はもっともで、それ故にラストで唐突に現れる蒸気機関車と「おばすて」という駅名が効果的に観客をショックと共に現実に引き戻すのであるが、木下恵介監督の制作意図は、父親の又やんをロープで縛って楢山に捨てに行く途中で、断固拒否する父親を又やんの息子が崖から突き落として殺したり、母親のおりんを楢山に置き去りにしてきたばかりの息子の辰平がその様子を見て、又やんの息子と取っ組み合いになった弾みで又やんの息子を崖から突き落として殺すという、「楢山節考」というインパクトの強い物語の中で霞んで隠れてしまう殺人事件を明るみにすることだと思う。


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ゴヤ「着衣のマハ」の真意

2011-11-28 00:02:47 | 美術

トリップアドバイザー、「行ってよかった美術館&博物館ランキング2011」を発表(インターネットコム) - goo ニュース

 先日、上野の国立西洋美術館で催されている「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」を見に

行った。もちろん目的は「着衣のマハ」を見ることだった。意外と接近して見ることが出来る

展示方法が良かった。ゴヤが「着衣のマハ」の前に「裸のマハ」を描いている理由は

「裸のマハ」があたかも“ヴィーナス”のように見倣されており、それは後のゴヤの素描画

から判断するならば恐らくゴヤの本意ではなく、「裸のマハ」は“崇拝”ではなく“欲情”の

対象として描いた物だとはっきりさせたかったからだろう。ゴヤはギュスターヴ・クールベや

エドゥアール・マネの流れを汲む“反体制派”だと思う。ところでNHKの「日曜美術館」で

「永遠のマハ ~ゴヤが見つめた女性たち~」の回に山本寛斎がゲストとして出演して

いた。いつものことながら山本の意見は相変わらずの精神論で全く面白くなかった。


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『指輪をはめたい』 80点

2011-11-27 21:54:19 | goo映画レビュー

指輪をはめたい

2011年/日本

ネタバレ

邂逅のときめきをもう一度

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 結局、男性が女性に求めるものとは何なのか、当の男性自身が良く分かっていないのが現状であり、それは本作の主人公である片山輝彦も同様で、ある時は住友智恵が持つような知性を求め、ある時は潮崎めぐみが持つようなエロスを求め、またある時は鈴木和歌子が持つような淑やかさを求めるのであるが、全てを手に入れることは出来ず、修羅場を踏んでしまう。
 リンクで転倒して強く頭を打ってしまった輝彦が入院先で医師に教えた連絡先は元同棲相手の笑美の携帯電話だったのであるが、笑美には既に新しいパートナーがいる。笑美の一方的な別れの切り出しだったために輝彦には未練があったのであるが、記憶を失った際には、一番肝心なことではあるが思い出したくない笑美の記憶はすぐには浮かび上がってくることはなく、笑美が家から出て行った後に、ただ理想を追い求めて付き合っていた3人が得心がいかないまま輝彦の目の前に現れたのである。ところでそもそも輝彦は何故スケートリンクにいたのだろうか? 輝彦がスケートリンクで会っていたエミはやがて笑美となるはずの少女なのであるが、徐々に記憶を取り戻し始めた辺りから輝彦は自分が求めていたものは、女性が持つ様々な魅力や長所というものではなく、見知らぬ女性との‘邂逅のときめき’であることに気が付く。輝彦はエミとの‘邂逅のときめき’を思い出すためにスケートリンクで滑っていたのであり、ラストで笑美を見送りながら相変わらず輝彦がスケートが出来ない理由は、滑ることが出来てしまうと、あの素晴らしかった‘邂逅のときめき’を得る機会を失ってしまうからなのである。


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放射能影響研究所の失態

2011-11-27 00:03:34 | Weblog

乳児用食品、基準新設へ=24日審議会に提案―放射性セシウム・厚労省(時事通信) - goo ニュース

 2011年11月26日の毎日新聞夕刊から。「日米両政府が運営し、原爆被爆者の健康

を調査する『放射能影響研究所』(放影研、広島市・長崎市)が、原爆投下後に高い残留

放射能が見つかった長崎市・西山地区の住民からセシウム検出など内部被ばくの影響を

確認し、研究者らが調査継続を主張してきたにもかかわらず、1989年で健康調査を

打ち切っていたことが26日、関係者への取材で分かった。/45年から続く貴重な内部

被ばくの継続調査だったが、打ち切りによって健康への影響や実態の解明は進んで

いない状態。東京電力福島第1原発事故後、福島県は全県民健康調査を進めているが、

研究者から『有力な参考データが失われた』との批判が上がっている。/放影研は調査終了

の理由について『健康被害が確認されず、当初の研究目的を達成したため』と説明。住民

から提供された血液の一部やデータは保存しており、『(国や福島県などから)要請が

あれば、比較、検討に活用したい』としている。/放影研は西山地区の地上汚染の最大

被ばく線量を200~400ミリシーベルトと推定。体内のセシウムの量から『約40年の

累積で男性0.1ミリシーベルト、女性0.08ミリシーベルトと推定され、内部被ばくは

健康に影響が出る値ではない』と86年結論付けていた。」この記事に以下の文章を

引用するだけで、それ以上の説明は必要ないと思う。

「茨城県の女子高生らが新たな化学現象を発見し、権威のある米専門誌に論文が掲載

されることが決まった。専門家は『高校生の論文掲載は世界的な快挙。今後は彼女らの

実験結果を、プロの化学者が後追い研究することになるだろう』とたたえている。茨城県立

水戸第二高の数理科学同好会に所属し、今春までに卒業した小沼瞳さん(19)ら5人で、

2008年2月の金曜日、『BZ反応』という実験を行った。酸化と還元の反応を繰り返すこと

により、水溶液の色が赤と青に交互に変わる。その日、水溶液の色は想定通り赤で動かなく

なった。メンバーは器具を片付けないままカラオケへ。ところが月曜日に実験室に戻ると、

液は黄色くなっていた。予想外のことで、観察を繰り返した結果、赤青の変化が一度

止まった後、突然、始まった。全く知られていない現象だったが、試薬の条件が整えば、

5~20時間後に変化が再開することを突き止めた。」


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深過ぎるNHKの“深慮遠謀”

2011-11-26 00:20:55 | Weblog

“お色気”料理番組にNHK「反省」(産経新聞) - goo ニュース

 最近のNHKは誰が主導しているのか分らないが、『セカンドバージン』がヒットした辺りから

エロに傾きだしており、『カレ、夫、男友達』は“二匹目のドジョウ”を狙っているのであろうし、

2011年10月19日の朝の情報番組「あさイチ」では「セックスレス」を特集して自局の

有働由美子アナウンサーに“膣の締まり”を鍛える実演までさせる“サービス(?)”振り

なのである。最もドラマにしても情報番組にしてもそれなりの“必要性”は感じられるから

ともかくとして、今回の料理番組と“エロ”の組み合わせはどのような視聴者を対象とした

ものなのかさっぱり想像が付かない。男たちに料理をさせようという“啓蒙”なのだろうか


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『アントキノイノチ』 70点

2011-11-25 23:04:32 | goo映画レビュー

アントキノイノチ

2011年/日本

ネタバレ

微妙な齟齬と‘受け取り間違い’

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 日本の有名なプロレスラーの名前を語源とするタイトルは、本作が‘受け取り間違い’をテーマとする物語であることを暗示しており、確かに主人公の永島杏平には軽い吃音があり、彼が勤める遺品整理業社の先輩社員の名前は佐藤ではなくて佐相であると注意を促されるし、仕事においても‘不’要品と‘供’養品を注意深く仕分ける必要にせまられる。
 永島杏平が精神を病むきっかけとなった出来事は、高校時代に親友の山木信夫がネット上でのトラブルが原因で同級生の松井新太郎と喧嘩になった際に、無駄な喧嘩を止めさせるつもりで言った言葉が、松井を庇っていると誤解されてしまい、山木を飛び降り自殺に追い詰めてしまったことと、それ以来松井に良い感情を抱いていなかった杏平が登山合宿で松井と2人きりで危険な山路を歩いていた際に、前方を歩いていた松井に殺意を覚えた杏平が、一瞬松井に手を出したにも関わらず、結局足を踏み外した松井を助け、それが自分の本意とは反対に感動的な救出劇のように写真に撮られてしまったことにある。
 同じことは久保田ゆきも経験しており、高校時代にレイプされたにも関わらず、相手や母親から自分に非があるように責められてから、心に重い傷を抱えてしまうことになる。
 この微妙な齟齬によって引き起こされる大きな‘受け取り間違い’をいかにして解消すれば良いのかが本作のテーマとなる。遺品整理業を経験する中で杏平は、ある時は、癌で亡くなった女性が、幼い頃に捨ててしまった娘に宛てて書いた何通もの手紙を、拒絶されることを覚悟で成人して子供もいる娘に届けに行き、またある時は、アルツハイマー病で迷惑をかけたくないために勝手に病院に入った妻の声が録音されていた電話を探し出して彼女の夫に聞かせ、‘受け取り間違い’を修正することに全力を尽くすことになる。
 ‘文字’や‘音’で‘受け取り間違い’を正した杏平であったが、やがて‘写真’でもって自分自身も‘受け取り間違い’を犯していたことに気づくのである。
 ここまでの脚本の組み立て方は見事だと思うが、ラストシーンがベタ過ぎて一気に興ざめしてしまった。


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平松邦夫の不可解さ

2011-11-25 00:04:23 | Weblog

平松氏がテレビ討論辞退…大阪市長選(読売新聞) - goo ニュース
大阪市長選、橋下氏一歩リード 朝日新聞社情勢調査(朝日新聞) - goo ニュース

 毎日放送が、27日投開票の大阪市長選に立候補した現職の平松邦夫と前大阪府知事

の橋下徹を招いて24日夜に予定していたテレビ討論番組は平松邦夫の出演を辞退により

中止になった。平松によれば、市長選と同じ日に投開票される知事選の候補が番組に参加

しないことを挙げたうえで、「市長候補のみの討論では偏りがあり、府民、市民の判断に

不公平が生じかねない」などとしたようだ。大阪市と大阪府を一体化しようとしている橋下

がこのようなことを言うのなら理解できるが、大阪府は大阪市に口出ししないでくれと

言い続けている平松がこのようなことを言って討論を避けることは理にそぐわない。

元毎日放送のアナウンサーなのだから“舌戦”は得意のはずであり、その上、毎日放送

という“ホーム”での戦いを放棄してしまい、このまま何もしなかったら本当に負けちゃうよ。


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