原題:『真夏の方程式』
監督:西谷弘
脚本:福田靖
撮影:柳島克己
出演:福山雅治/吉高由里子/北村一輝/杏/白竜/風吹ジュン/前田吟
2013年/日本
「真夏の方程式」の解き方
「真夏の方程式」を解いてやろうと勇んで劇場に駆けつけるならば、その余りのストーリーの地味さに拍子抜けしてしまうであろう。どうもストーリーが上手く飲み込めないのである。例えば、両親の留守中に、三宅伸子に自宅に押しかけられた女子高生の川畑成実が、勝手に家族の写真を持っていってしまった伸子の後をわざわざ追いかけて鉄橋の上でナイフで刺してしまうまでの成実の狂気がどこから来るのかが分からない。
同様のことは成実の父親である川畑重治にも当てはまり、元捜査一課の刑事だった塚原正次が自分の経営している旅館に宿泊しに来ただけで危機感を持ち、殺人にまで発展してしまう重治の狂気も異常で理解に苦しむ。成人した成実が待っているはずの実の父親である仙波英俊に会いに行かないことも、そもそも全ての元になっている川畑節子の‘尻軽さ’を誰も咎めないのが不思議なのであるが、そのような細かい説明は原作に書いてあるので、本作を観る前でも後でもとにかく原作を読めば「真夏の方程式」の解答の糸口は掴めるであろう。