原題:『Cool Hand Luke』
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:ドン・ピアース/フランク・ピアソン
撮影:コンラッド・L・ホール
出演:ポール・ニューマン/ジョージ・ケネディ/ストローザー・マーティン/ジョー・バン・フリート/クリフトン・ジェームズ/デニス・ホッパー
1967年/アメリカ
「暇つぶし」という反体制について
主人公のルーク・ジャクソンは兵士だった頃は銀星章、青銅星章、名誉負傷章など輝かしい功績を残し軍曹まで務めていたのだが、何故か除隊直前で二等兵に格下げになっており、暇つぶしで酔った勢いでパーキング・メーターを壊して2年の刑を科され、道路の舗装などの労役を強いられることになる。
しかしルークの行動は観客を惑わせる。明らかに「エンタメ」ではない。ルークはわざわざ刑務所に訪ねて来た母親が間もなくして亡くなったことで逃亡したくなるだろうという刑務所所長の言いがかりで一日中懲罰房に閉じ込められることになるのだが、そのことで逆に闘争心に火がついたルークは脱走を試みるのである。しかし2.5キロのマーケットで車を盗み赤信号で停まっていたら隣にパトカーが停まり捕まってしまい、二度目も職を転々としている内にボスに密告されて捕まってしまうのである。
そして三度目も上手くトラックを盗んで教会に隠れるものの、一緒に脱獄したドラグラインが先に捕まり、追い込まれたルークは警察に射殺されるのである。
絶対に勝ち目がない者に向かって戦いを挑む主人公(アンチ・ヒーロー)が描かれたハリウッド映画を「アメリカン・ニューシネマ」と呼ぶのだが、本作は典型的なものであろう。そもそもルークは逃走するつもりがあったのかも疑問で、脱獄したという既成事実を作ることで権力者の鼻を明かそうとしているように見え、だから敢えて捕まってまた脱獄を繰り返すという「暇つぶし」を死ぬまで仕遂げたのである。このアイロニーはやはり虚しい。
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