MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『暴力脱獄』

2023-10-31 01:35:08 | goo映画レビュー

原題:『Cool Hand Luke』
監督:スチュアート・ローゼンバーグ
脚本:ドン・ピアース/フランク・ピアソン
撮影:コンラッド・L・ホール
出演:ポール・ニューマン/ジョージ・ケネディ/ストローザー・マーティン/ジョー・バン・フリート/クリフトン・ジェームズ/デニス・ホッパー
1967年/アメリカ

「暇つぶし」という反体制について

 主人公のルーク・ジャクソンは兵士だった頃は銀星章、青銅星章、名誉負傷章など輝かしい功績を残し軍曹まで務めていたのだが、何故か除隊直前で二等兵に格下げになっており、暇つぶしで酔った勢いでパーキング・メーターを壊して2年の刑を科され、道路の舗装などの労役を強いられることになる。
 しかしルークの行動は観客を惑わせる。明らかに「エンタメ」ではない。ルークはわざわざ刑務所に訪ねて来た母親が間もなくして亡くなったことで逃亡したくなるだろうという刑務所所長の言いがかりで一日中懲罰房に閉じ込められることになるのだが、そのことで逆に闘争心に火がついたルークは脱走を試みるのである。しかし2.5キロのマーケットで車を盗み赤信号で停まっていたら隣にパトカーが停まり捕まってしまい、二度目も職を転々としている内にボスに密告されて捕まってしまうのである。
 そして三度目も上手くトラックを盗んで教会に隠れるものの、一緒に脱獄したドラグラインが先に捕まり、追い込まれたルークは警察に射殺されるのである。
 絶対に勝ち目がない者に向かって戦いを挑む主人公(アンチ・ヒーロー)が描かれたハリウッド映画を「アメリカン・ニューシネマ」と呼ぶのだが、本作は典型的なものであろう。そもそもルークは逃走するつもりがあったのかも疑問で、脱獄したという既成事実を作ることで権力者の鼻を明かそうとしているように見え、だから敢えて捕まってまた脱獄を繰り返すという「暇つぶし」を死ぬまで仕遂げたのである。このアイロニーはやはり虚しい。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/phileweb/trend/phileweb-news__d-av__57844


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『オペレーション・フォーチュン』

2023-10-30 00:59:48 | goo映画レビュー

原題:『Operation Fortune: Ruse de guerre』
監督:ガイ・リッチー
脚本:ガイ・リッチー/アイバン・アトキンソン/ビル・ブロック
撮影:アラン・スチュワート
出演:ジェイソン・ステイサム/オーブリー・プラザ/ジョシュ・ハートネット/ケイリー・エルウィズ/バグジー・マローン/エディ・マーサン/ヒュー・グラント
2022年/イギリス・アメリカ

きれい過ぎるクライムサスペンスについて

 ガイ・リッチー監督の作品としては悪くはない方の作品だと思うが、いかんせん主人公のオーソン・フォーチュンの能力も彼の部下のサラ・フィデルのハッキング能力もJJの射撃の技能も高すぎてストーリーがきれいに流れ過ぎる。コメディ作品として観るならばアリなのか?
 しかしオーソン・フォーチュンの当初の敵方のグレッグ・シモンズがハリウッドのアクションスターであるダニー・フランチェスコを愛する同性愛者であるという設定は、珍しいのではないだろうか。因みに原題のフランス語部分は「諍いの策略」といった意味である。
 ところで気になるのはやはり『ザ・クリエイター/創造者』(ギャレス・エドワーズ監督 2023年)同様に「ニューアジア」問題で、ラストではドーハで映画が撮られているのだが、シモンズを真似たダニーが主演を務め、シモンズは監督のような立場で現場にいるのだが、作品内でダニーが交渉している相手は日本語を話しているから日本人であろうが、セットは明らかに中国風でやはり「アジア」を正確に描けていないのである。コメディ作品として観るならばアリなのか?


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_114250


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ドミノ』

2023-10-29 00:59:35 | goo映画レビュー

原題:『Hypnotic』
監督:ロバート・ロドリゲス
脚本:ロバート・ロドリゲス/マックス・ボレンスタイン
撮影:ロバート・ロドリゲス/パブロ・ベロン
出演:ベン・アフレック/アリシー・ブラガ/ジェフ・フェイヒー/ジャッキー・アール・ヘイリー/ウィリアム・フィクナー
2022年/アメリカ

都合が良すぎる催眠術について

 公開前の予告編を見た限りでは面白そうだったのだが、実際観賞してみるとずいぶんと荒いSF作品だった。何よりも催眠術(Hypnotic)のかけ方がイージー過ぎる。既にあれほど他人をコントロールできるのならばデルレーン一人で世界を支配できるくらいに強力で、強すぎて主人公のダニー・ロークの娘のミニーを必要としないくらいなのである。
 細かいことを言うが、ロークはデルレーンよりも先に銀行の貸金庫の中身を調べて「レヴ・デルレーンを探せ(Find Lev Dellrayne)」という文字が書かれたミニーの写真を見つけるのであるが、ところでどのようにしてロークは、その時点ではまだ謎の男だったデルレーンの貸金庫が分かったのだろうか? 本来ならばこの時点でロークは何かおかしいと気がつくはずなのである。
 結局、「レヴ・デルレーン」とは「ディア・ヴァリー・レーン(Deer Valley Lane)」というロークの実家がある場所だったのであるが、思いつくかな? 実家だから思いつくという意見もあるが、ロークは記憶を消しているのだから微妙なところである。
 一連の騒動は「ディヴィジョン」という組織が最も高い催眠術の能力を持つミニー(ドミノ)の居所を、その娘を隠したはずのダニー・ロークに思い出させるプログラムなのであり、今回が12回目という。しかし娘の失踪から4年も経っていてまだ12回しかしていないというのが不思議ではないだろうか。
 やはりSF作品を90分少々で描くということに無理があったように思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1162305


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『イコライザー THE FINAL』

2023-10-28 01:14:00 | goo映画レビュー

原題:『The Equalizer 3』
監督:アントワン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:デンゼル・ワシントン/ダコタ・ファニング/デヴィッド・デンマン/カール・ランドグレン/ガイヤ・スコデッラーロ/レモ・ジローネ
2023年/アメリカ

現代の「マカロニ・ウェスタン」について

 前作『イコライザー 2』(アントワン・フークア監督 2018年)が主人公のロバート・マッコールが冒頭で行きつけの本屋のオーナーの9歳の娘が誘拐された事件を解決したのに対して、本作の冒頭はロレンゾ・ヴィタルのワイナリーに置いてあった盗まれたものをいつものような粗っぽさで取り返したものの、油断していたマッコールはロレンゾのまだ幼い孫に背後から撃たれるという対照性が上手いと思う。
 重傷を負うものの、幸運にもマッコールは地元のカラビニエのジオ・ボヌッチと町医者のエンゾ・アリジオに救われてアルトモンテと呼ばれる小さな街でしばらく療養するようになるのだが、事件はまだ終わっておらず、マッコールはCIA専用のコールセンター経由でエマ・コリンズに情報を提供する。エマは今は亡きマッコールの同僚のスーザン・プルマーの娘なのである。前作と同じ監督と脚本で制作された強みが発揮されていると思う。これが現代の「マカロニ・ウェスタン」なのかもしれない。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otonamuse/trend/otonamuse-otonamuse-jp-guid-34562


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

2023-10-27 00:54:59 | goo映画レビュー

原題:『Killers of the Flower Moon』
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:マーティン・スコセッシ/エリック・ロス
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:レオナルド・ディカプリオ/ロバート・デ・ニーロ/ジェシー・プレモンス/ブレンダン・フレイザー/リリー・グラッドストーン
2023年/アメリカ

「絆」の是非について

 1920年代のオクラホマ州に住んでいるアメリカ先住民族のオセージ族は元々は実直な暮らしぶりだったのだが、たまたま石油を掘りだしてしまったがために、多額のオイルマネーで白人を雇うほど生活は贅沢になった。しかしそもそもオセージ族は19世紀にカンサス州から強制されてオクラホマ州に移り住んだということは覚えていた方がいい。だから孤立しているわけではなく何となく白人たちと交流を持つ中で白人たちのつけ込む隙が出来たのであろう。
 先住民たちが次々と不可解な死を遂げるものの、治安の維持は白人によってなされているだろうから全ての事案は地元の有力者であるウィリアム・キング・ヘイルによってうやむやにされ、甥のアーネスト・バークハートの妻になったモーリー・バークハートが所有する財産を奪おうと試みるのである。
 モーリーは当時のアメリカ大統領だったカルビン・クーリッジに直談判しにホワイトハウスに赴き、やがてやって来たのがFBIの元となる捜査局の長官であるジョン・エドガー・フーヴァーから任を受けた特別捜査官のトム・ホワイトである。捜査は難航するし、そもそもフーヴァーは人種差別主義者だったらしい。ここはアメリカ先住民族の側に立ってギャングのボスを成敗した方が得だと考えたのであろうが、そのようなエドガー・フーヴァーの損得の計算高さの「副作用」はその後のアメリカ政治にとって決して侮れないものだった。発足当初はまだ良かったのであろう。
 ところでアーネストは本当にモーリーを愛していたのだろうかと勘繰ってしまう。どのような思いでモーリーに「インスリン」を打っていたのか。しかし当時の「ヘイル家」という家族の絆を一人抜けるということは難しかったとも思う。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2299173


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ザ・クリエイター/創造者』

2023-10-26 00:59:36 | goo映画レビュー

原題:『The Creator』
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:ギャレス・エドワーズ/クリス・ワイツ
撮影:グレイグ・フレイザー
出演:ジョン・デヴィット・ワシントン/ジェンマ・チェン/渡辺謙/スタージル・シンプソン/マデリン・ユナ・ヴォイルズ/アリソン・ジャネイ
2023年/アメリカ

アメリカ人が理解できない「ニューアジア」について

 物語の基本は「人類 vs. 人工知能」なのだが、よくよく見ると人類は「アメリカ」そのもので「人工知能」は「ニューアジア」と呼ばれる場所である。「ニューアジア」はロサンゼルスを核爆弾で荒廃さえた元凶で、アメリカが攻撃を仕掛けるのである。ところで「ニューアジア」とは何なのか? かつてアメリカは朝鮮戦争やヴェトナム戦争で手ひどい洗礼を受け、21世紀になると中国、韓国、インドがAIを駆使して世界を席巻し(明らかに日本は乗り遅れたが)、いまだにアメリカは「アジア」というものを、先進なのか発展途上なのかさえ把握しきれていないのである。
 「ニューアジア」を支えている中心人物がアルフィーと呼ばれる少女で、彼女はアジア人のマヤ・フェイ=テイラーと元特殊部隊のアメリカ人であるジョシュア・テイラーの娘という点がミソで、「ニューアジア」がアメリカに多大な影響を受けていることは間違いないのであるが、それでもなおアメリカ人には「ニューアジア」が理解できないのである。
 だからアメリカにとってはアルフィーを捕らえることがアジアの理解につながるはずなのであるが、捕えてはみたものの、アルフィーを殺すまでには至らない。アルフィーはアメリカにも出自を持つから、結果的にアルフィーが死ぬことはなくアメリカは悩み続けるのである。例えば、渋谷のビルに取り付けられている大型ヴィジョンには「Wanted」という文字と共にジョシュアの顔が映されるのであるが、日本語が「募集」となっており、これは明らかに「指名手配」の間違いなのであるものの、「ニューアジア」は相変わらずアメリカ人に理解されていない証拠が不覚にも示されてしまうのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/thetv/entertainment/thetv-1163601


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『造花の判決』

2023-10-25 00:58:22 | goo映画レビュー


(2023年8月25日付毎日新聞朝刊)

原題:『造花の判決』
監督:梅津明治郎
脚本:土方鉄
撮影:酒井忠
出演:入山保則/石立和男/柴田美保子/岡田英次/永六輔
1976年/日本

典型的なプロパガンダ映画について

 本作は1963年5月1日に起こった狭山事件を扱った作品で、冒頭とラストは永六輔が街頭で「狭山事件のことを知っているか?」と通りがかりの人たちにインタビューを試みており、そのインタビュー映像に挟まれる形で久保という弁護士見習の主人公が狭山事件を丹念に調べる過程を描く劇映画となっている。因みに久保の父親は大阪の被差別部落出身者として描かれている。
 狭山事件に関して何も予備知識を持たずに観れば、犯人とされた石川一男氏は完全に無罪だと誰もが納得するであろう。ところが改めてネットなどで調べるととたんに無罪かどうかは怪しくなってくる。本作で描かれている石川氏はとても大人しく素直な印象なのだが、実際はかなりやんちゃな人物だったようで、そのやんちゃ振りは警察の心証をことのほか害するほどだったようである。
 例えば最近公開された『福田村事件』(森達也監督 2023年)を観賞するならば、永山瑛太が演じた沼部新助は香川県の被差別部落出身者であるが、決して「善良」には描かれておらず、むしろ彼の口の悪さがその後の大惨事の引き金にさえなっているのである。
 石川氏が冤罪かどうかは資料の膨大さから把握しきれないので軽率に判断はできないものの、1963年5月1日に犯人が被害者宅に届けた脅迫状の字体が途中で別人が書いたように変化しており、これで筆跡鑑定が機能するのかという点は気になるし、狭山事件は日本弁護士連合会が支援する再審事件ではないことと、本作がある意味、感心するほど典型的なプロパガンダ映画であるということだけは実際の体験者として記しておきたい。嘘は書けない。何故ネット上に本作のレビューが一つもないのかも気になることろである。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/look/region/look-247f1d4c98bb98ecf6c495595b713315831c10f0


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『福田村事件』

2023-10-24 00:59:28 | goo映画レビュー

原題:『福田村事件』
監督:森達也
脚本:佐伯俊道/井上淳一/荒井晴彦
撮影:桑原正
出演:井浦新/田中麗奈/永山瑛太/柄本明/ピエール瀧/水道橋博士/東出昌大/コムアイ/松浦祐也/木竜麻生/豊原功補
2023年/日本

日本の「アナーキー時代」について

 この事件のそもそもの発端は9月2日に発せられた非常徴発令によって各地で結成された自警団にあるように思う。非常事態下、国のお墨付きで怪しい者は自警団によって取り締まれるようになったのだが、9月5日に内閣総理大臣名で出された「内閣告諭第二号」で軍隊や警察が取り締まるようにしたために村長の田向龍一は安堵したのである。
 ところが「内閣告諭第二号」は事実上効力がなかった。震災による混乱が収束していないからで、本作によるならば香川県の薬売りの行商団の団長である沼部新助が最初に頭に斧を振り下ろされ殺されたのだが、殺したのは夫が都内から戻ってこず、不安で精神を病んでいた村の女性である。タガが外れればもう子どもであろうとも容赦なく殺していったのであろう。
 しかし日本政府に一縷の同情を感じるのは、当時の内閣総理大臣だった加藤友三郎が8月24日に病死し、内閣が総辞職し、山本権兵衛に組閣命令が出され、震災当日は首相臨時代理として内田康哉が就任しており、9月2日になってようやく山本内閣が発足したのである。つまりまだラジオ放送さえなかった日本において関東大震災時はアナーキー同然だったと推測できるのである。本作では触れていなかったのでここに書き留めておきたい。


(2023年9月6日付毎日新聞朝刊)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/fuji/entertainment/fuji-_entertainment_entertainment_VVFKBJ23HBMP5LKPP7GM7NUUJE


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『リボルバー・リリー』

2023-10-23 00:59:56 | goo映画レビュー

原題:『リボルバー・リリー』
監督:行定勲
脚本:行定勲/小林達夫
撮影:今村圭祐
出演:綾瀬はるか/長谷川博己/羽村仁成/シシド・カフカ/古川琴音/佐藤二朗/吹越満/橋爪功/石橋蓮司/阿部サダヲ/野村萬斎/豊川悦司
2023年/日本

突飛なキャラクターしか演じさせてもらえない主演女優について

 舞台は大正末期、関東大震災が起こった翌年の1924年。前半のシーンから既に違和感のある場面があり、それは主人公の小曽根百合が細見慎太を助けに行くシーンなのだが、確かに列車内で敵方が叫んだ細見慎太の名前を百合が聞き、それでその少年が慎太であることを確認して救出したにも関わらず、どうも百合の慎太に対する態度がよそよそしくて、わざわざ助けに来たのにその冷たい態度の意味が分からないのである。
 本作の見所は銃撃戦であると言う意見は最もではあるのだが、海軍と敵対している陸軍相手に、自身の過去を反省して決して相手を殺さずに急所を外して撃つという百合の話が本当なのかどうか、確認するには撃つ相手が多すぎてよく分からず、だんだんと荒唐無稽に見えてくる。あれほど身体能力が高いにも関わらず綾瀬はるかが映画作品に恵まれていないことが不思議でならない。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1149240


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『禁じられた遊び』

2023-10-22 00:59:43 | goo映画レビュー

原題:『禁じられた遊び』
監督:中田秀夫
脚本:杉原憲明
撮影:今井孝博
出演:橋本環奈/重岡大毅/堀田真由/倉悠貴/長谷川忍/猪塚健太/MEGUMI/清水ミチコ/新納慎也/ファーストサマーウイカ
2023年/日本

ホラー映画監督の「禁じられた遊び」について

 ストーリーはとてもよく出来ていると思う。主人公で映像ディレクターの倉沢比呂子と伊原直人の関係に嫉妬心を抱いてしまう直人の妻の美雪は息子の春翔と交通事故に遭遇し、美雪は亡くなってしまうが、一度は死んだ春翔は病院に落ちた雷の威力で甦る。
 7年前から比呂子を悩ませていた怪奇現象は美雪の生霊によるもので、会社を辞めて同僚だった直人と会わなくなってから怪奇現象は収まったのであるが、美雪が亡くなってからまた怪奇現象が起こるようになる。そのうち分かるのは美雪の母方が霊能力を持つ家系で、美雪が亡くなった後の現象は「一度死んでよみがえった」息子の春翔の仕業であり、春翔は「一度死んでよみがえった」美雪と共に雷に撃たれて炎に包まれて亡くなるのである。
 例えば「貞子」ならばその白装束や顔を隠す長髪などでまだ正体不明の幽霊として認められるが、「美雪」は幽霊というよりも怪物のように見えて、ファーストサマーウイカの熱演は認めるものの画面の中で一人浮いているように見えてしまう。問題はウイカの演技ではなく監督の「遊び」なのである。橋本環奈はホラー映画出演の経験が豊富なだけあって安定した悲鳴である。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/nikkangendai/entertainment/nikkangendai-978870


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする