MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 100点

2012-02-29 23:06:38 | goo映画レビュー

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2011年/アメリカ

ネタバレ

「Are you there?」

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 父親であるトーマス・シェルが自宅の電話機の留守番録音装置に残した最後のメッセージ「Are you there?(あなたはそこにいるの?)」が本作で通奏低音として響いている。
 9月11日のアメリカ同時多発テロの際に世界貿易センタービルにいたトーマスの葬儀が、遺体の無いまま執り行われることに息子のオスカーは「あなたはそこにいない」ことが分かっているために納得出来ないのであるが、自宅に帰っていたにも関わらず、オスカーは父親の「あなたはそこにいるの?」というラストメッセージを受け損なっている。心の底では父親のラストメッセージだと分かっているのであるが、それを受け取ってしまうと父親のラストのメッセージであることを認めなければならないからである。父親のラストメッセージの受け取りを拒絶したオスカーは父親の遺体の無い葬儀も認めず、「あなたはそこにいるの?」という答えを留保にしたまま、父親が所有していた青い花瓶の中にあったカギを頼りに父親の‘ラストメッセージ’を探す旅に出る。
 アスペルガー症候群の治療も兼ねて父親のトーマスと一緒にしていた‘調査探検ゲーム’を活かしてオスカーは、カギが入っていた袋に書かれてあった「ブラック」という名字の住人宅を次々と訪問する内にオスカーの祖母の家の借家人の老人と知り合い、一緒に旅をするようになる。やがて仕種などからその老人がトーマスの父親、つまり自分の祖父ではないかとオスカーが疑い出した時に、あたかも「あなたはそこにいるの?」という答えを留保させておくためのように、その老人はオスカーの元から去っていく。
 結局、カギの正体はオスカーの父親ではなく、ウィリアム・ブラックの父親に関するものだったことが分かり、留保されていた「あなたはそこにいるの?」という答えが明らかになるのであるが、‘そこ’にいた‘あなた’は実はオスカーの母親であるリンダ・シェルで、ここの‘ずらし方’が感動的である。
 ラストシーンで、オスカーは父親と‘調査探検ゲーム’を始めたセントラルパークに行き、あたかも「Nonstop looking」と書かれた記事の裏にウィリアム・ブラックの電話番号が書かれていたように、恐怖で自分が乗れなかったブランコの裏を見て、父親の‘ラストメッセージ’を受け取り、その後、父親と同じようにブランコに乗る。ブランコを思いっきりこぐことで、オスカーは‘ニューヨーク第6区’で自分の中に父親を発見するのである。
 「Nonstop looking」の日本語字幕が「探すのが止めない」となっていたのであるが、どのような意図があって敢えて不自然な日本語にしたのかが最後までよく分からなかった。「探し続ける」で問題ないと思う。


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市長に対する様々な嫌がらせ

2012-02-29 00:09:16 | Weblog

梅田駅火災、喫煙原因なら賠償請求へ…市交通局(読売新聞) - goo ニュース

 さすがに2月24日に卒業式があった32の府立高のうち、6校の教職員計8人が君が代

斉唱時に不起立だったことは関係ないとしても、大阪市北区の地下鉄市営御堂筋線梅田駅

で22日朝に、委託先の清掃会社の67歳の男性作業員の喫煙が原因でごみ集積倉庫が

全焼した火災や(乗客らに避難を促す非常放送用の配線が外れていたため、火災発生時に

放送が流れなかったことは微妙)、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線の37歳の男性運転士

が、1月23日の午後3時10分頃、電車が終点の大正駅に到着してから、7分後の折り返し

運行までの間、運転席の窓を開けて喫煙していたことは、橋下徹市長に対する“嫌がらせ”

と見倣されても仕方がないと思う。


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岩井志麻子の“ルルちゃん”

2012-02-28 00:02:07 | Weblog

オセロ松嶋、相方・中島への思い「帰ってくるのを待つだけです」(サンケイスポーツ) - goo ニュース

 2012年2月27日の「笑っていいとも」の「ちょっと怪しい課外授業」というコーナーで

小説家の岩井志麻子が非常勤講師として出演して、“ルルちゃん(仮名)”という占い師に

騙された経験を話していた。その女性占い師は平気な顔をして突拍子もないことを語って

いたために、大人がそんな嘘をつくわけがないという思い込みで、却って岩井の中で信憑性

が高じてしまったようで、岩井は結論として「人は欲があるから騙される」とした。それは

大金持ちになりたいとか有名になりたいという“野心”に限らず、食事をしたいという生存

する上で必要とされる欲求も含まれるらしく、どうやら世の中に騙されない人は存在しない

ということになるらしい。あくまでも岩井の“ルルちゃん”は「オセロ」の中島知子と一緒に

暮らしている、自称占い師女性とは別人とされていたが、それならばわざわざこんな時期に

本来お昼の生放送などに出演してはいけないはずの岩井志麻子が出演するだろうか

彼女の強烈な性格の影響かもしれないが、積年の恨みを晴らすためのように見えた。


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『キツツキと雨』 80点

2012-02-27 23:32:28 | goo映画レビュー

キツツキと雨

2011年/日本

ネタバレ

映画業界の‘暴露モノ’

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 作品の冒頭で、ベテランの木こりである岸克彦が、雨が降っているにも関わらず、外に干してあった洗濯物を取り込んでいなかった息子の浩一と取っ組み合いの喧嘩にまでなってしまった理由は、木こりという職業柄、事前に雨が降ることが分かるだけに、雨が降っても洗濯物を取り込まない息子はなおさら許し難かったのだと思う。その‘経験値’の高さは別の形をまとって、もう一人の主人公である若手新人監督の田辺幸一にプレッシャーをかける。幸一はベテランのチーフ助監督の鳥居とカメラマンの篠田に挟まれて、自分の演出の正誤をはっきりと言い出せない状態に陥っている。そこに現れる人物がベテランの‘素人’という立場の岸克彦である。成り行きではあるにしろ、まるで素人でも出来る(あるいは素人の方が出来る)というように克彦はロケーションハンティングやエキストラのキャスティングなどの助監督の仕事をこなし、俳優として出演するようになる(ここは、おそらく実体験を元にした脚本も担った沖田修一監督の皮肉が効いている)。
 この幸一と克彦の緩い‘擬似父子’は、それまで存在していたはずの‘徒弟制度’を補うものとして機能するのであるが、やがて浩一が父親と同じ職業に就くところを見ると、どうやら徒弟制度の崩壊は映画界に限られるようである。
 ラストの海岸のシーンで、大物俳優である羽場敬二郎に映画監督としての実力を認めてもらった幸一は克彦に作ってもらったディレクターズチェアーに座っている。移動の際に幸一が感じる、木で作られたその椅子を持ち上げた時の重みは、ようやく幸一が自覚出来るようになった映画監督としての責任を暗示させる。


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正真正銘の“言うだけ番長”

2012-02-27 00:03:53 | Weblog

前原氏の会見拒否、苦言と擁護(時事通信) - goo ニュース

記者会見で、前原は「事実と異なることを人をおとしめるために書き続けるのはペンの暴力

であるという思いを強く持っている。事実に反する事を書かれ続け受容の範囲を超えた。

公正、公平な報道をしてほしい」と述べ、産経新聞に対し文書で報道に関する説明を求めた

ことを明らかにしておきながら、出席拒否の理由とした産経新聞の報道内容については

具体的な言及を避けてしまうのでは、誰も報道内容の是非に関する検証は出来ないので

あるから、平野博文文部科学相が会見で「報道で気に入らないことはいっぱいある。事実で

あれば書いて当然だが、臆測で書いて批判するのはいかがなものか」と言ったところで、

臆測なのか事実なのかさえ分らないのである。万が一“言うだけ番長”などという茶化しで

ご立腹されたのであるならば、もしも気が変わって産経新聞の記者会見出席を認めるような

ことをしたら正真正銘の“言うだけ番長”になるだろう。


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『映画は映画だ』 80点

2012-02-26 22:34:09 | goo映画レビュー

映画は映画だ

2008年/韓国

ネタバレ

究極の映画の‘甘美さ’

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 スクリーンに映し出されることで表現される映画がまさに‘光’を表すのならば、さしずめ現実は‘影’とされるのであろうが、だからと言ってヤクザのイ・ガンペだけがその‘影’を背負うわけではなく、俳優のチャン・スタでさえプライベートはかなりの制約を受けてしまい、演技と称して意図的に何度も殴ってきた相手の俳優を思いっきり殴って怪我を負わせたことで一方的に非難を受けたり、恋人のウンソンとも密かに会うしかなく、イ・ガンペもチャン・スタも映画の中だけで輝けるのである。
 しかしそのような映画の‘甘美さ’に囚われると足をすくわれる時がある。イ・ガンペはペク会長を裏切ったパク社長を暗殺しようと目論むが、何故か土壇場になってパク社長の命を助けてしまう。よく映画の中に出てくる‘ヒーロー’を気取ってしまうのであるが、現実はそれほど甘くはない。それはやがてチャン・スタがウンソンの望み通りに、一緒にパフェとアイスキャラメルマキアートをカフェのテラスという公衆の面前で食する‘甘美さ’とは対照的であるのだが、そもそも2人が生きている現実のジャンルが違うのである。
 だからラストシーンのイ・ガンペのパク社長の撲殺は、映画とは比べものにならない現実の悲惨さを表現したというよりも、寧ろイ・ガンペがヤクザ映画の究極の‘甘美さ’に囚われたと見倣すべきだと思う。


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留年ならば退学を望む

2012-02-26 00:03:12 | Weblog

小中学生も「留年」ある? 橋下市長が検討要請 大阪(朝日新聞) - goo ニュース

 教育評論家の尾木直樹は朝日新聞の取材に、「一人ひとりの子どもの個性に見合った

教育を重視する観点から、本人や保護者が希望した場合には柔軟に留年も認めてよいと

いう趣旨」と強調した上で、まずは個人別の時間割り導入や少人数授業などの取り組みを

先行させることが前提で、そのうえで留年するかどうかを各家庭で選べる仕組みにすべき

だと言及し、「一定の学力に達しない子どもを機械的に留年させる考えなら私とは真逆。

安易な運用は競争主義を生むし、子どもの学習意欲をそぐ」と注文をつけた。 確かにもしも

私が留年させられるならば私は寧ろ退学を望む。学校は勉強するだけの場所ではなくて

友人を作る場所でもあるわけで、学年が違ってしまえば、今まで築き上げた友人関係は

破綻してしまうだろうし、年上の“バカ”を友人に選ぶ奇特な小中学生は何かを企んでいる。


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『アニマル・キングダム』 90点

2012-02-25 22:30:15 | goo映画レビュー

アニマル・キングダム

2010年/オーストラリア

ネタバレ

‘最高権威’の‘恐怖政治’

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 作品冒頭で、ヘロインの過剰摂取で既に亡くなっている母親の隣でソファに座ったままテレビのクイズ番組をぼっと見ている主人公の17歳のジョシュア・コディと同じように、観客はその後、確かに殺人などを目撃することにはなるのであるが、何が起こっているのか正確には分らないままぼっとスクリーンを観続けることになる。
 ようやく物語のとっかかりを掴めるようになる場面は、後半にジョシュアが証人保護プログラムの元に置かれた時である。「Police」と書かれた防弾チョッキを着ているにも関わらず、ジョシュアを警護していた警察官たちは急にやって来た警察官たちを見て、何故か拳銃を床に置いて‘降参’してしまう。もちろんジャニーンがジョシュアの口封じのために送り込んだ警察官たちではあるが、同じ警官同士でありながら話し合うことが出来ない状況にあると見倣すならば、問題はギャングにしろ警察にしろ敵と味方の区別がつかないところなのである。
 そうなると最初の事件の発端となったバリー・ブラウン(=バズ)が突然警官に射殺された原因もバリーがアンドリュー・コディ(=ポープ)に足を洗うと言い出したことで、裏切り者としてポープが仕組んだ罠のように思える。警察に殺されたのだからポープとしては復讐と称して警官を殺すことが出来るために、一石二鳥なのである。捜査官のネイサン・レッキーがジョシュアを保護して犯罪の確証を得て法廷で全てを明るみにしようとしているのを余所に、クレイグ・コディも警官に殺され、状況はますます混沌としてくる。
 そしてガールフレンドのニッキーが殺されたことを知ったジョシュアは捜査官のレッキーに協力することになるのであるが、前述したように危うく警察官に殺されかける。
 結局、このままでは生き残れないことを悟ったジョシュアはポープとダレンに有利になるような証言をすることで、2人は保釈されるのであるが、それが意味することはポープに寝返ったということではないことはラストシーンで明らかになる。
 一見するならばギャング団を仕切っていたのはジャニーンのように思えるが、ジャニーンは三男のダレンが可愛かっただけで、ダレンが救えるならば何でもしたにすぎず、‘最高権威(=Pope)’による‘恐怖政治’をジョシュアが引き継ぐのかどうか不安を抱きながらのラストの抱擁が強い印象を残す。


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差別の無くし方について

2012-02-25 00:04:26 | Weblog

「マドモワゼル」は使わないで=既婚・未婚の差別撤廃―仏公文書(時事通信) - goo ニュース

 英語の「Miss(ミス)」や「Mrs.(ミセス)」が婚姻の有無で区別することから女性差別として

「Ms.(ミズ)」という語感としては明らかに美しくないものに変えられてしまったのは1970年

代辺りのウーマンリブ運動を端に発していると思う。だいたい“圧力”でもって変えられて

しまうものに碌なものはないのであるが、まさか男性名詞や女性名詞を持つフランスまで

女性団体の圧力でもって、公文書に限るのであろうが、未婚女性に付ける敬称で、響きの

可愛い「マドモワゼル」をできるだけ用いないよう指示する通達を出したことは残念に思う。

フランスであるならば、アメリカ文化に対抗するように、「マドモワゼル」を廃止するのでは

なくて未婚男性に付ける敬称を新たに作って欲しかった。文化とは生み出すものだと思う。


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“ドラえもん”で無期は無理

2012-02-24 00:06:38 | Weblog

13年後の審判 刑事弁護のあり方問う 「ドラえもん」の衝撃(産経新聞) - goo ニュース

 「無期はほぼキマリで、7年そこそこで地上にひょっこり芽を出す」「犬がある日かわいい犬

と出合った。そのままやっちゃった。これは罪でしょうか」「押し入れに、ドラえもんがいると

信じていた。4次元ポケットで何とか(再生)してくれると思った」。“無期”は決まっていると

思って名字まで変えていた大月(旧姓・福田)孝行の願いは虚しく散ったのであるが、

2012年2月21日の毎日新聞に寄稿されたノンフィクション作家の佐木隆三の指摘は

気になる。「犯行当時18歳1ヶ月だった被告が父親から激しい家庭内暴力にさらされ、

中学1年の時、母親は自殺に追い込まれている。この劣悪な家庭環境が捜査段階から

明らかになりながら、なぜか1審で精神鑑定がなされていない。『裁判を受ける権利』が

正当に行使されたか疑問に思う。」佐木隆三の指摘は的確だと思うが、逆に言うならば、

弁護団は大月孝行とのかかわりあいの中において精神鑑定を受けさせる必要を感じない

ほどに大月孝行が“聡明”であると認識していたということであろう。大月が知人にあてた

手紙の比喩は比喩としては上手過ぎて、“ドラえもん”発言は下手過ぎたのである。


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