終の信託
2012年/日本
ある2つの人間関係
総合 80点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
それまで他人だった男と女が会話を通じて、信頼を勝ち得る過程が描かれる前半と、不信の念が生じる後半にはっきりと区切られている。
東大卒の呼吸器内科のエリート医師である折井綾乃は、25年もの長きにわたる重度の喘息で入退院を繰り返していた江木秦三の担当医として、江木から絶大な信頼を得て、身の上話を聞いていた。5歳の時に満州で暮らしていた江木は、腹部に銃弾を受けて苦しむ妹の死を目の当たりにしていた。その妹の雪という名前から雪子と名付けられていた江木の娘は、地理的な要因もあったではあろうが、江木が入院している時には、夫や子供たちを連れてお見舞いに来ることが一度もなかったほど仲が良くなく、病気がちだった江木は妻や息子からも疎まれていた。両親の介護や自分の看病に疲れ果てている妻に、これ以上迷惑がかからないようにしようと思った江木は、家族よりも信頼出来る折井に全てを託したのである。
江木の死後3年を経て、折井は検察官の塚原に呼び出される。不思議なことに折井と塚原の間には、折井と江木の間に育まれたような信頼関係は生まれない。初対面にも関わらず、塚原は折井に対して敬意を払うこともせずにタメ口である。今時これほど礼を失した検察官が存在するのか、あるいは存在出来るのかはなはだ疑問なのであるが、昨今のパソコン遠隔操作事件により多発した誤認逮捕や、『それでもボクはやってない』(2007年)を通じての取材経験を持つ監督の作品であるのだから、いるんだろうね。
別人の顔写真報道、メディア各社がおわび 尼崎変死事件(朝日新聞) - goo ニュース
「角田被告の顔写真は私」=別人が名乗り出る―読売掲載、共同も配信・尼崎連続変死(時事通信) - goo ニュース
連続変死事件の中心人物として関わっている角田美代子として読売新聞に掲載された
顔写真は、共同通信社によると、入学式の写真は23日、美代子被告の長男の同級生の
母親から提供され、同被告かどうかの確認作業をした上で配信したらしいが、テレビの
取材に応じていた角田を知る人物の一人は、その和服姿の写真を見て、全然あのような
感じではないと当初から指摘していたはずで、よりにも寄って平成史上最悪になると予想
される凶悪犯人として間違われておよそ一週間新聞やテレビで顔写真が大々的に使われた
女性は気の毒としか言いようがない。よく現在の顔写真が入手できないために、まるで面影
がない学生の頃の写真を使ったりしているが、そこまでして顔写真は必要なのだろうか
バイオハザード ダムネーション
2012年/日本
プラーガの奇妙な生態系
総合 50点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
前作『バイオハザード ディジェネレーション』(神谷誠監督 2008年)は見逃してしまったが、アクションシーンやタイラント、リッカー、プラーガなどのクリーチャーの動きはともかく、人物の普段の動きに違和感が残る。
隠れ家が政府軍に襲撃され、アレクサンドル・コザンチェンコとJDが長老であるイワン・ジュダノビッチを連れて脱出する道すがら、プラーガに感染しているイワンを銃殺している間の、レオン・S・ケネディの行動や、あるいはエイダ・ウォンと東スラブ共和国の大統領のスベトラーナ・ベロコバが官邸内で戦っている間の、2人のそばにいるはずの大統領秘書の行動など描写の詰めの甘いシーンが散見される。
アメリカ大統領直属エージェントのレオンが一度はミッションを受けながら、突然本国から任務の中止を告げられる理由は、エイダによって東スラブ共和国内に持ち込まれたプラーガがリッカーと‘中和’し、政府軍と反政府軍両方共に弱まることを待っていたためだと思われるが、レオンが敢えてアレクサンドルを撃つことで、体が不自由になりながらも小学校の教職に復帰するという人情噺のオチは、脊髄を撃てばプラーガだけが死ぬという都合の良さに感情移入ができなかった。
警察官にかみつき2度目の逮捕 徳島の88歳容疑者(朝日新聞) - goo ニュース
真紀子氏、石原氏は「格好悪い暴走老人のよう」(読売新聞) - goo ニュース
酒気帯び運転の疑いで任意同行を求めた警察官にかみつき、職務を妨害したとして
公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された徳島県阿南市の88歳の無職の男は、昨年10月
にも、阿南署の交通課取調室で免許証を巡るやり取りに激高し、今回とは別の署員の左腕
にかみつき、公務執行妨害と傷害容疑で現行犯逮捕されていたようだが、運転免許を
照会した時点で、男の前科は分かるはずなのだから、警察官は自分の左腕に注意を払う
べきではあったと思う。公務執行妨害と傷害容疑では運転免許を取り上げることは出来な
かったようだが、酒気帯び運転ならば免許を取り上げることも出来ると思うが、このような
気性の荒い男は結局、無免許でも運転するんだろうね
アルゴ
2012年/アメリカ
精巧なイメージと演出のギャップについて
総合 70点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
主人公のトニー・メンデスは息子と電話をしている最中に、偶然テレビで放映されていた『最後の猿の惑星』(J・リー・トンプソン監督 1973年)からヒントを得て、偽映画『アルゴ』による人質奪還作戦を立てる。『アルゴ』とイランのつながりは、イランの街並みがサイエンス・ファンタジーの『アルゴ』に相応しいためであるのだが、トニーの視線が『最後の猿の惑星』のリサに注がれていたために、トニーは友人で特殊メイクの第一人者であるジョン・チェンバースに頼んで、6人の大使館員に正体がバレない程度に特殊メイクをさせて脱出させる計画なのかと観客に勘違いさせるために、一段階難易度が下がった作戦にがっかりしてしまう。
一度中止になったトニーの作戦は、トニーの独断で決行されることになり、慌てた上司のオドネルはカーター大統領に連絡を取って承認をもらい、取り消されていた航空券予約もギリギリに復活させる。他方、部下にはトニーの作戦が続行することになったことを大物プロデューサーのレスター・シーゲルの事務所に電話で伝えようとするが、誰も電話に出ない。同じ頃、飛行機に乗ろうとしていたトニーたちは飛行場でイラン兵士たちに足留めを食らっていた。トニーたちの入国目的を一通り聞いたイラン兵のリーダーがトニーに渡された事務所の名刺に書かれている電話番号に電話をしてみる。このシーンではレスターとジョンが、撮影本番中によって足留めを食らい、なかなか事務所にたどり着けないというサスペンスが施されているのであるが、ここでは誰もいない事務所で、鳴っていた電話が鳴り止むというワンシーンを挿入すれば、もっと効果的だったように思う。もちろんその電話の主はオドネルの部下である。
イメージの忠実な再現は高く評価されるべきではあるが、実話がベースになっているためにストーリーに説得力を加味出来るものの、実話が無ければ監督の凡庸な演出力がさぞ目立ったことだろう。
「海猿」続編なし 原作者怒りのツイート(日刊スポーツ) - goo ニュース
『海猿』の原作者に、「フジテレビさんは信頼に値しない企業であると判断したため、今後は
一切新規の取引はしないことにしました。なので、例えば映画『海猿』の続編などは絶対に
ありません」とツイートされるフジテレビはそれほどのことをしでかしたということだろう。
『海猿』シリーズはそれなりにヒットしているわけだから、多少のことならば大目に見て
もらえていただろうし、「続編などは絶対ない」と断言した原作者の方もかなりの覚悟を
持っているはずである。だから私が見たかった、伊藤英明が演じる仙崎が「悪の教典」を
片手に艦内の“バディ”たちを次々とライフルで射殺していくという続編は見られなくなった。
キラー・ヴァージンロード
2009年/日本
背中の記憶
総合 60点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
本作を擁護することはなかなか難しい。敢えてストーリーを二の次にして映像をメインに観客の関心を惹きつけようとする岸谷五朗監督の蛮勇は高く評価されるべきであろうが、なにぶんにもテンポが悪く、せっかくのギャグが活きてこない。
しかし主人公の沼尻ひろ子が、本作で親愛の情を表すはずの‘背中’に覆いかぶさる際に、大家三太郎の背中との間にハサミが紛れ込んだために‘刺殺’するような形になるのであるが、偶然に出会った小林福子と大家三太郎の‘死体’を樹海へ運ぶ道中において、追ってくる警官から逃げるためにひろ子が福子を背後に乗せてスーツケースに乗って斜面を滑り降り、危険な目に遭ったりはするもののなんとか逃げ延び、ひろ子が三太郎を背負って川を泳ぎ、福子がひろ子を背後に乗せて教会までバイクを走らせ、北翔が福子を背後に乗せ、「俺が必要だろう」と告白しながらバイクを走らせ、やがてクライマックスで、幼い頃からドジでのろまだったひろ子が祖父の沼尻源一郎に肩車されて励ましてもらった幼少の頃を思い出しながら、教会内で亡くなっていた祖父が左手に持っていたキーホルダー付きの人形の背中に、ひろ子が持っていた人形を背負わせるまでの、‘背中’にこだわった一連のシーンは演出として決して悪いものではないと思う。
石原氏第3極志向「国民バカにした野合」前原氏(読売新聞) - goo ニュース
「前原氏、閣僚の資格ない」 石井副代表が批判(朝日新聞) - goo ニュース
首相アシスト、失敗 前原氏「年内解散」発言 「野田降ろし」見方も(産経新聞) - goo ニュース
新党結成を表明した東京都の石原慎太郎知事が次期衆院選に向け、日本維新の会や
みんなの党などの第3極で政策に多少の違いがあっても連携すべきだと主張していること
に関して、前原誠司国家戦略相は茨城県つくば市で記者団に、「全く別々の考えの人が
選挙対策で『大同』と言うのは、国民をバカにした野合だ。基本政策は一致しないと、
選挙互助会を広げるだけだ」と批判しているが、国民をバカにした野合かどうかは、今すぐに
衆議院を解散して選挙をしてみれば分かることであり、国民がバカにされたと思っているの
ならば、新党に票が入るわけがないのである。だからといって民主党に票が集まるとは
さすがに前原も思っていないだろうが(もしかして思っているのか)、“言うだけ番長”は
身内から賛同を得られなくても今日も言い続けるだけである。
エクスペンダブルズ2
2012年/アメリカ
なかなかしぶとい‘消耗品’
総合 80点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
本シリーズは、シルヴェスター・スタローンを中心として、かつて第一線で活躍していたアクションスターたちが老体に鞭打って頑張っているというイメージだけが先行しているようだが、今回は、彼らが乗っているジープに書かれている「BAD ATTITUDE(身持ちが悪い奴ら)」、「COMING SOON(すぐに参上)」、「KNOCK KNOCK(ジョークの始まり)」というロゴから、脚本が優れていることを予感させる。
アーノルド・シュワルツェネッガーの「アイル・ビー・バック」の鉄板ネタは勿論のこと、例えば、ラストの飛行機内で、亡くなったビリー・ティモンズの冥福を祈るためにバーニー・ロスが「Rest in peace(安らかに眠れ)」と言うのであるが、そのバーニーがジャン・ヴィランが率いる敵の一人に向かって機関銃で撃ちながら「Rest in pieces(バラバラにくたばってしまえ)」と言い放つ洒落は思わず声を出して笑ってしまった。
ラストで提供された古い飛行機を見たバーニーが博物館ものだなと言ったことに対して、何気なく「おまえもな」と言い返される前に、バーニーはマギー・チャンと共に、ジャン・ヴィランと戦っていた。ヴィランを仕留めた証拠として、ヴィランの生首を持ち帰ってきたバーニーに対して仲間たちは「センスが良い」と褒めておきながら、その冷酷さを暗に仄めかすのであるが、もちろんヴィランの首を斬ったのがバーニーではなく、ターキーにするように人間の首を斬ることができるマギーの方であることを仲間の誰も想像だにしていないのである。前作同様に‘フェミニズム’は健在であるが、脚本は今回の方が格段に良くなっていると思う。
マイナリさん再審公判、即日結審へ 東京高裁が方針(朝日新聞) - goo ニュース
PC不正操作「多角的な検討を」最高検刑事部長(読売新聞) - goo ニュース
遠隔操作ウイルスに感染したパソコンから犯行予告が書き込まれ、誤認逮捕が相次いだ
今回の警察の不祥事は、1997年に東京の渋谷で起きた東京電力女性社員殺害事件で、
無期懲役が確定していたゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告を思い出させる。DNAへの過信
が冤罪を招いたように、IPアドレスへの過信が一連の誤認逮捕の元になったのであり、
最高検が「警察、検察共に今回の犯行手口を想定していなかったことが誤認逮捕を生んだ」
と指摘しているが、犯行手口を想定すること自体、思い込みを生み出し推定無罪の精神に
反するのであり、これでは警察の無知による誤認逮捕はなくならないだろう。