MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『板尾創路の脱獄王』 80点

2010-03-31 23:26:24 | goo映画レビュー

板尾創路の脱獄王

2009年/日本

ネタバレ

最後のオチの正確な解釈

総合★★★★☆ 80

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 映画監督としての松本人志があえて顰蹙を買ってでもギャグを犠牲にして映像の可能性に拘っているのとは対照的に、映画監督としての板尾創路はあくまでもギャグに拘っているように見えた。
 全体的に演出が雑な印象を受けてしまうことは否めないが、それを補うだけの、決してヒューマニズムに落とさなかった最後のオチが効いている。この作品を観たほとんどの人たちが誤解しているようなので、ここではっきりさせておきたい。
 最後のオチは主人公の鈴木雅之が迎えに行った父親を取り違えると解釈されているようであるが、あれだけの苦しい思いをしたにもかかわらず、鈴木が父親を間違えることはありえない。父親の胸には富士の刺青が彫られており、鈴木は絶対に確認したはずだからであり、実際に残された男の胸には富士の刺青があり、鈴木に連れて行かれた男の胸には富士の刺青がないカットが挿入されている。もちろんこれは演出ミスではない。予告編で鈴木が女性の服を脱がすシーンがあったが、本編ではカットされているように、この作品には女性がほとんど出てこない。つまりこの作品の最後のオチは主人公の鈴木雅之が自分の実の父親を平気で置き去りにするような‘ハード’な同性愛者であったということなのである。


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公益性より私利私欲

2010-03-31 00:03:02 | Weblog

長官銃撃はオウムのテロ 警視庁、時効事件で異例の断定(朝日新聞) - goo ニュース

 青木五郎公安部長が「事件はオウム真理教のグループが(松本智津夫)教祖

(死刑囚)の意思の下、組織的・計画的に敢行したテロだった」との見解を発表した

ことは二つの問題が生じてしまう。このようにオウムのテロと断定してしまうことで

オウム信者で警視庁の元巡査長だった男が犯人ではないということを暗に示す

ことになり“身内の犯行”ではないというアピールをしたことになる。さらにもう一人

犯人ではないかと疑われている中村泰(やすし)の犯人の可能性を完全に否定

することになる。もう面倒だからこれ以上捜査はしないということで、事実上捜査の

放棄である。警視庁にとって都合にいいことばかりではないだろうか


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議論ができる場所を求めて

2010-03-30 00:04:08 | Weblog

阿久根市長「反対派を排除します」 反市長派会合で宣言(朝日新聞) - goo ニュース

 鹿児島県阿久根市の市民の支持があるからこそ竹原信一という人は市長という

職に就いていることは分かっているのであるが、市長の発言を聞くたびにこの人の

神経は正常なのかどうか疑ってしまう。「なぜこんなこと(議会ボイコット)を私が

したか。議会は議論ができる場ではないんです」と持論を展開するのは構わないが

だから「(反市長派の市議は)市政に参加させません」「反対派を排除します」という

論の展開になってしまうと、誰が議会を議論ができる場にしていないのか分からなく

なる。自分の考えに反対するなら、その人たちを排除するのではなくて、賛同を得る

ための努力を試みることは児童会レベルでもなされていることだと思うのだが。


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『マイレージ、マイライフ』 90点

2010-03-29 23:29:57 | goo映画レビュー

マイレージ、マイライフ

2009年/アメリカ

ネタバレ

装われた人間嫌い

総合★★★★☆ 90

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 「いつも人に囲まれていながら、人とつながっていないライアン・ビンガム。しがらみという煩わしい‘荷物’を持つこともなく、夢の目標1000万マイル達成だけが彼の存在証明。しかし、‘心のマイル’は限りなくゼロに近かった」。この作品のチラシに書かれている文章を写してみたのだが、本当にこんな話なのだろうか? 主人公のライアン・ビンガムの仕事は企業のリストラ対象者に企業の代わりに解雇を言い渡す人員削減者であるが、人とのかかわり合いが煩わしいと思っている人間が他人の人生のターニングポイントにかかわるような仕事を選ぶだろうか? 念のために確認しておきたいが解雇するのは企業であって、ライアンではない。彼は‘しがらみ’から切られてしまった人たちに対して‘同じ立場’の人間として相手の人生に深入りしてアドバイスを与えているのである。新入社員のナタリー・キーナーがネット上で解雇通告を行うという合理化を提案した時にライアンが反対した理由は自身がリストラの対象になるからではなく、直に面接をして相手の身になって解雇された後のことを一緒に考える必要があると考えているからである。実際解雇が原因で自殺してしまった女性はナタリーが解雇通告した相手だった。アレックス・ゴーランにわざわざ会いに行ったライアンがショックを受けた原因はアレックスに夫や子供がいたこと以上に、同志のように感じていたアレックスがいつもの颯爽とした雰囲気を失って所帯じみていたことだったように思う。ライアンは決して人とのかかわり合いを煩わしいと思っているわけではない理由は、結婚式当日にマリッジブルーを患ってしまった妹の結婚相手に対して上手く結婚を促すことに成功するところにも表れている。ライアンの妹と彼の夫は新婚旅行に行く費用が捻出できないために、2人が写ったパネルと一緒に観光地で写真を撮ってもらって旅行をしたつもりになっているが、ライアンは実際に1000万マイルかけて様々な問題を抱えて人生の岐路に立たされている人々の面倒を見ている。どちらの立場がより人とのつながりを大切に思っているのか改めて言うまでもない。
 はっきり言ってしまうならば、ライアン・ビンガムはあえて人とのしがらみを断って自身を自由に動けるようにすることで、困っている人たちの役に立とうとしているのである。『スラムドッグ$ミリオネア』(ダニー・ボイル監督)や『時をかける少女』(細田守監督)でも見られるように、相手に優しくするためには、新たなしがらみが生まれてがんじがらめにならないようにその優しさが相手にばれないようにしなければならない(ナタリーにはライアンが会社に紹介状を書いたことがばれてしまっていたが)。この矛盾を生きることが‘粋(いき)’ということであり、そのような信念を持ったライアンの生き様がブレる訳がないのである。
 この作品のラストで流れる Kevin Renick の「Up in the Air」も監督に送られてきたデモテープをそのまま使っていた、‘しがらみ’のない曲であるが故に胸を打つ。


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残念な父

2010-03-29 17:29:56 | Weblog

亀父除名も JBCどう喝に協会厳罰検討(日刊スポーツ) - goo ニュース

千原せいじが“残念な兄”であるならば、亀田史郎は間違いなく“残念な父”である。

興毅の王座陥落後、この父親は「興毅のセコンドにつくためにずっと我慢してきた。

でもこのままでは引き下がられへん」と厳罰覚悟で語ったらしいのだが、どれだけ

我慢しようとも他人の知ったことではないことをこの父親はずっと我慢してきたにも

かかわらず未だに理解できていないのである。それに亀田興穀は試合に負けたら

引退すると本人のみならず父親も公言していたはずである。だから私の想像では

どうせ息子は引退することに決まってしまったから、父親も除名されても構わない

ということで事務局長を恫喝したのであろう。つくづく“残念な父”である。


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『人間失格』 0点

2010-03-29 01:01:05 | goo映画レビュー

人間失格

2010年/日本

ネタバレ

監督失格

総合☆☆☆☆☆ 0

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 映画評論家のおすぎ氏が余りの出来の悪さに試写であるにもかかわらず最後まで観ることができずに途中退席してしまったという曰く付きの作品だと聞いて、太宰治の代表作である『人間失格』を原作としている以上、どのように下手に演出してみたところでそんなに酷いものになるものなのかと確かめようという意図で観に行ったのであるが、これは確かに角川春樹監督の『笑う警官』に引けを取らないくらいに出来が悪く、まるでこの作品の企画/製作総指揮の角川歴彦氏が兄に負けないように‘真逆’に頑張ってしまったのかと思うほどである。ラストで主要人物たちが集まるところまで似させていた。
 結局主人公の大庭葉蔵は何に対して苦悩しているのか最後まで分からない。ゴッホやモディリアーニなどの印象派の画家になれないことを思い煩っているのかもしれないが、それにしては絵に対する拘りが見えない。‘色恋沙汰’に苦悩しているように見せたいようなのだが、そのようなシーンは全く出てこない。そもそも葉蔵だけではなく登場する男性は誰も女性に興味を示さない。
 例えば堀木正雄の父親が息子の部屋まで来て電報を渡すシーンがある。わざわざ父親が息子に電報を渡す理由は息子の部屋に美人編集者の静子が訪ねて来ていて、彼女を見たいからなのであるが、父親は全く静子を見ようとはしない。ここは明らかに演出ミスである。
 2階にある葉蔵の部屋に堀木正雄が来ていた時に、1階で葉蔵の妻の良子が見知らぬ男性と姦淫している。何故わざわざ葉蔵がいる時に理由もなく姦淫してしまっているのか訳が分からない。それだけではない。行為が終わってその男がズボンを上げている時に、横たわっている良子の衣服の乱れは既になくなっている。これでは姦淫ではなくてただ男が自慰をしていたようにしか見えない。ここも演出ミスである。
 つまりこの作品は太宰治の『人間失格』ではなくて、生田斗真の『人間失格』なのである。女性ファンのためにアイドルが女性とからむことは固く禁じられている。それは体だけではなく、精神的なからみも禁じられているために、全ての登場人物に対して観客が感情移入できないように演出されている。しかし全くからまないわけにもいかないためなのか、寿や鉄など彼の母親のような女性、恋人の対象になりえないような女性とのからみは許されているようだった。
 幼少の頃に葉蔵が乗ることが好きだったというだけでは、繰り返し現れる馬車のシーンも何の意味もなさない。
 最後の文言通りに本気で太宰治の『人間失格』が読み継がれていくことを願っているのであるのならば、この作品を観て原作まで面白くないと誤解されないようにするために、この作品のDVD化は控えてもらいたいと切に願う。


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池乃めだか的ギャグ?

2010-03-28 00:01:08 | Weblog

亀田興毅、初防衛に失敗…0―2で判定負け(読売新聞) - goo ニュース

 23日の公開練習でのポンサクレックのKO宣言に表情を一変させた亀田興穀は

「できるんやったら、やってみろや。昔は格上やったかもしらんけど今は違う。レベル

の違いを見せたる」と発言し、さらに「礼儀(を知らない)とか言ってるみたいやけど、

そんな優しい気持ちじゃオレには一生勝てん。ボクシングは戦争や。オレが

ボクシング教えたるわ」と発言していたからてっきり余裕で勝てるのかと期待して

見ていた。まさかボクシングを教えようとしていた相手に逆に教えられることになろう

とは本人は想像もしていなかったのだろう。一応“初防衛戦”に失敗ということに

なるのだろうが、正確に言うならば暫定王者に敗れたのだから、“防衛に失敗”では

なくて“真のチャンピオン”になれなかったのである。確か亀田興穀は負けたら引退

すると言っていたはずである。敬意を込めて労を多とする。


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小沢一郎という“イコン”

2010-03-27 00:10:35 | Weblog

前田日明氏、国民新が東京で擁立 民主比例出馬は破談(朝日新聞) - goo ニュース

 しかしどうしてこうもプロレスラーは国会議員になりたがるのであろうか? 私の

想像としては最終的に議論が煮詰まった時に有効となる手段が“威嚇”になるから

であろう。そういう意味で前田日明のように多くの“武勇伝”を持っている男は亀井

にとっては使い勝手がいいはずである。昔テレビで見た光景が忘れられないので

あるが、前田日明は女優の石田えりとの関係をしつこく質問した芸能レポーターの

石川敏男をテレビカメラの前で恫喝して、そんな前田を石田が制止していた。素人

にも喧嘩を売る格闘家が存在することをその時初めて知った。それはともかく結局

最後は議論ではなくてそのような“こわもて”で意見を通そうとする日本の政治は

いまだに成熟してはいないのだろう。しかし前田日明はいまだに多くの票を獲得する

だけの人気があるのだろうか?国民新党に票を入れる予定はないけれど。


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有名無実の記者会見

2010-03-26 19:31:42 | Weblog

郵政改革、踊る議論・交わらぬ考え 鳩山内閣、混乱なお(朝日新聞) - goo ニュース

 3月24日に亀井郵政改革担当大臣が発表した郵政改革案について鳩山総理

大臣と意見が真っ向から食い違っていることに記者がしつこく訊ねたことで

“逆ギレ”の亀井大臣の発言。「あなたもうるさいね。了承されたから発表

したんでしょ、私は。総理に聞いてみなさいよ、そんな事は。あなたどこの

社? 宇宙人じゃなくて何人だ?」。確か亀井は記者会見をフルオープンに

しているはずなのだから、今さら“何人?”だと人種を問うのはおかしな話

である。一年生議員ではあるまいし、和泉節子や近藤春菜でもあるまいし、

最高学府を卒業しているのだから、自身に都合の悪い質問にでもレトリック

を駆使してかわすぐらいの知恵がないのならば、記者会見をフルオープンに

したところで何の意味もなさないと思う。


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『時をかける少女(’06)』 100点

2010-03-25 20:05:30 | goo映画レビュー

時をかける少女(’06)

2006年/日本

ネタバレ

真琴が告白した理由

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 この作品は概ね高評価で、実際傑作ではあるのだが、何故か誰も具体的にどこが良いのか語ろうとしない。作品が公開されてから4年も経つのでそろそろネタをばらしてもいい頃だと思う。
 この作品の最大の謎は主人公の紺野真琴が何故最後に間宮千昭にタイムリープの話をしてしまうのかというところにある。千昭のことが好きであるのならば、千昭が未来から来たことを黙っていれば付き合えたはずだからであり、千昭も「何故言ったんだ」と文句を言っていた。
 真琴が千昭が好きであるにもかかわらず真実を語らなければならなかった原因は、理科室の黒板に書かれていた言葉にある。黒板には「Time waits for no one (=誰に対しても時は待ってはくれない)」と書かれており、その文章の下に「はぁ」と書かれていた。この「はぁ」という、上の文章に対してあからさまに疑問を呈した言葉を書いた人物は間違いなく千昭である。何故ならばタイムリープができて、‘時が待ってくれる’人物はその時までは千昭だけだからである。
 それまでタイムリープを繰り返して散々な目に遭っている真琴は、千昭の「はぁ」に傲慢さを感じ取り違和感を覚えたはずである。真琴は愛する人の傲慢さが表に出る前にあえて千昭がタイムリープを出来なくするために告白することで彼との別れを選んだのであり、私たちは間違いなく、タイムループの過程の中で少し大人になり、愛を知ってしまった真琴のさりげなくする苦渋の選択に感銘を受けるはずなのである。


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