MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『子連れ殺人拳』

2014-06-30 22:00:16 | goo映画レビュー

原題:『子連れ殺人拳』
監督:山口和彦
脚本:鴨井達比古/中島信昭
撮影:中島芳男
出演:千葉真一/川崎あかね/渡辺やよい/夏八木勲/小山明子/梅宮辰夫
1976年/日本

既成のイメージを活かしきれなかった作品について

 いわゆる「殺人拳シリーズ」の最終作である本作は、それまでのシリーズと違い空手道に剣術がプラスされている。基本的にこのシリーズは千葉真一のアクションシーンがメインであるはずなのだが、剣術が加えられた理由を探ってみたい。
 千葉が演じている主人公の坂田周平が出会う敵役の水木錬作は剣術使いで着物を着ており何故か水木修という子供を連れている。本作のタイトルも勘案するとここで思い出すのは時代劇漫画の『子連れ狼』であろう。『漫画アクション』の『子連れ狼』の連載が1976年4月で終わっており、本作が1976年4月公開というタイミングは嫌でも観客には本作が現代における『子連れ狼』の「その後の物語」と認識されたように思う。
 もう一つ気になることは修の母親の岡部京子を小山明子が演じていることである。言うまでもなく小山明子は映画監督の大島渚の妻であり、小山は大島監督の1969年公開の作品『少年』においても母親役を演じている。自身が水木を殺した後に、坂田が修の実の母親を訪ねて「網走行」の列車に一緒に乗っていくロードムービーのような在り様も『少年』と通じるものがある。
 あくまでもアクション映画であるために、演出の丁寧さには欠け、女性の裸も多く、脱獄してきたもう一人の敵役の平尾鬼一郎は警察に追われることもなく野放しなのであるが、本来はアクション以外でも凝った作品だったのかもしれない。


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『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』

2014-06-29 22:23:18 | goo映画レビュー

原題:『Inside Llewyn Davis』
監督:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
撮影:ブリュノ・デルボネル
出演:オスカー・アイザック/キャリー・マリガン/ジョン・グッドマン/ギャレット・ヘドランド
2013年/アメリカ

 才能と運の関連について

 最初に本作に関する典型的なレビューを引用してみたい。
「この映画に登場するフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィスは、才能はあるけど、スターになるほどの才能はない。これ、けっこう珍しい設定です。
 ちょうどボブ・ディランがブレークする直前の、1960年代初めのグリニッジ・ビレッジ。すでにフォーク・ソングに注目するインテリなんかも現れてはいますが、主人公のルーウィン・デイヴィスはちっとも売れない。プライドは人一倍高いので金目当ての妥協はせず、おかげでますます売れないという悪循環です。
 私生活は無責任。お金を借りては踏み倒すなどまわりに迷惑をかけまくってきたので、今はお金もなければ泊まるところもない。歌手を廃業する直前まで追い込まれた男の一週間を描いたのがこの作品です。」(「藤原帰一の映画愛」毎日新聞 日曜くらぶ 2014年5月25日付)
 確かにその通りなのであるが、このように単純化して捉えてしまってはあまりにもルーウィン・デイヴィスが気の毒なので私が擁護を試みたいと思う。
 ルーウィン・デイヴィスは決して悪い男ではないことは言うまでもない。例えば、ジャズミュージシャンのローランド・ターナーのようにドラッグを服用しているわけではなく、ルーウィンはお世話になっている大学教授の猫が自分の不注意で逃げ出してしまったことを過度に気にかけており、あるいはヒッチハイクした車を運転していた時にも、急に飛び出してきた野生の動物を轢いてしまったために一旦車を降りて、かなりの激突によるショックがあったにもかかわらず助手席で眠ったままの車の持ち主とは正反対に動物が森に入るところを心配そうに確認している。
 あるいはシカゴのクラブのオーナーのバド・グロスマンに歌を聞いてもらった際に、「あまり金にならない歌」だと言われ、一緒に組んで演奏していたメンバーとよりを戻すべきだとアドバイスされるのであるが、ルーウィンは相棒のマイク・ティムリンが自殺したことを告げないままあっさり引き下がり、決して同情を買おうとしないプライドの持ち主である。友人のジーン・バーキーがルーウィンに請求した堕胎費用をかすめ取ったこともルーウィンは敢えてジーンに問いただすことはしない。
 実はプライドがあるかどうかも怪しく、例えば、ルーウィンはミュージシャンを諦めて漁師をするために、高額の会員費を払ったりするのであるが、免許証を間違って姉に捨てられて失ったことで、さらに再発行の料金を請求され、払えなかったことで仕方がなく元の場末のライブハウスで歌わざるを得なくなり、1週間前と同様にまた別の誰かに殴られるはめになる。
 負のルーティンに陥ったルーウィンはボブ・ディランのようにフォークムーブメントにも乗り切れず、要するにルーウィンは全く運が無い男なのであり、才能があるとかないとかという問題ではないのである。
 さらにもう一つ別のレビューを引用しておきたい。
「コーエン兄弟のテイストが好きなら大興奮するでしょう。でも今までの彼らの映画に入り込めなかったら、これも同じ。豪華キャストがこぞって出演する魅力は理解したけど、世界観に毎回疑問。でも歌声と後味は素晴らしい。」(「Cinema Preview」週刊朝日 6月6日増大号 p.64)
 これは映画コメンテーターのLiLiCoの感想である。渡辺祥子、大場正明、わたなべりんたろうが満点の「超オススメ、ぜひ観て」にしている中で、LiLiCoは「ヒマだったら」にしている。もちろん誰がどのように評価しても構わないのであるが、スウェーデンから単身来日して演歌歌手として下積みを重ね、ホームレス生活までしていたLiLiCoがルーウィン・デイヴィスに共感できないということが意外なのである。おそらくLiLiCoはルーウィンはわがままで努力が足りないから成功しないのだと勘違いしているように思うのであるが、成功するかしないかは運次第であるということは認識しておくべきで、どんなに頑張っても報われない努力というものは確実に存在し、だから映画監督として成功し続けているコーエン兄弟の「弱者」に対する温かい眼差しが素晴らしいと思うのである。

 


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「ATLAS」と「ギブス」

2014-06-28 22:17:35 | 邦楽

TRUSTRICKさん『ATLAS』の歌詞
アトラス
words by カンダサヤカ
music by ビリー
Performed by トラストリック

椎名林檎さん『ギブス』の歌詞
ギブス
words by シイナリンゴ
music by シイナリンゴ
Performed by シイナリンゴ

神田沙也加、芸名を4回変えた過去「SAYAKA」「Lily」「上原純」(マイナビニュース) - goo ニュース

 

 神田沙也加が結成した新ユニット「TRUSTRICK」の「ATLAS」のサビの部分が椎名林檎が

2001年1月にリリースした「ギブス」のサビの部分とよく似ていることは指摘しておきたい。

サウンドも共にギターオリエンテッドなもので、神田沙也加は椎名林檎を目指し出した

のかもしれないが、幸か不幸か神田沙也加は現在『アナと雪の女王』の「生まれて初めて」

がヒットしており、ビジュアルやキャラクター的には「生まれて初めて」のようなポップスの

方が合っているように思える。今度は逆の意味で試行錯誤することになるかもしれない。


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椎名林檎「NIPPON」の歌い方

2014-06-27 00:23:40 | 邦楽

椎名林檎さん『NIPPON』の歌詞

 結局、日本代表は1勝もできずに予選敗退してしまったが、椎名林檎の「NIPPON」は

精巧に仕組まれた楽曲である。例えば、「この地球上でいちばん混じり気の無い気高い青」

という歌詞を取り上げて純潔主義だとか右翼的という批判があるようだが、続くフレーズは

「何よりも熱く静かな炎さ」なのだから、ここは「青い炎」という言葉が分けられて

それぞれ形容されていることが分かる。

 ラストのフレーズも「Hurray! Hurray! The wind is up and blowing free on our native home.

(万歳!万歳!我らが祖国に風が吹いている)」「Cheers! Cheers! The sun is up and shining

bright on our native home.(乾杯!乾杯!我らが祖国に日が射している)」も「我らが祖国

(our native home)」が右翼的と見なされているようだが、英語で歌っている事自体が寧ろ

左翼的であろう。「native home」を2語の連音によって「ネ~ティボンム」と発音し、後半の

「ティボンム」を「ニッポン」と響かせるテクニックも秀逸で、そのエロティックな「右翼感」が

三島由紀夫に匹敵すると言えば大げさだとしても名曲といっても過言ではないと思うが、

6月23日付のオリコン週間シングルランキングでは9位で初動1.4万枚という結果だった。


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『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』

2014-06-26 22:03:59 | goo映画レビュー

原題:『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』
監督:さとうけいいち
脚本:鈴木智尋
出演:石川界人/赤羽根健治/小野賢章/岡本信彦/野島健児/森川智之/宮本充
2014年/日本

失敗作なのか子供向けなのか?

 映像のクオリティーに関して言うならば、土埃やフレアーを利用して撮影カメラの存在をうかがわせる演出などかなり凝ったものではあるが、何分にも物語が酷過ぎる。
 偽装されたリーダーにレベルアップだけの「パワープレイ」などの単調なストーリー展開に加え、個人的にはデスマスクがミュージカルばりに歌いだした時点で完全に冷めてしまい、後は『キカイダー REBOOT』(下山天監督 2014年)のレビューで書いたことと同じようなことしか思いつかない。製作者たちは例えば、『アベンジャーズ』(ジョス・ウィードン監督 2012年)やそのシリーズものなど一度でも観たことがあるのだろうか? どうして日本のヒーローものの映画化は次々と失敗してしまうのか疑問だけが残る。


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監督に恵まれない日本代表?

2014-06-26 00:19:15 | Weblog

ザック監督、歯車狂わせた消極的采配 選手を信じることできず…(夕刊フジ) - goo ニュース
ザック監督後任、売り込み殺到!世界的地位向上で大人気!!(サンケイスポーツ) - goo ニュース

 今回のブラジルW杯の日本代表の戦歴を簡単にたどるならば、初戦のコートジボワール

戦では1点リードしていたものの、FWのディディエ・ドログバが投入されたことで

あっという間に2失点してしまい、第2戦のギリシャ戦では、相手が将棋でいう「角落ち」

の状態で、1点も取れないままドローとなり、第3戦のコロンビア戦においても

前半は(おそらく2軍相手に)1-1のイーブンで乗り切ったが、コートジボワール戦の

ように後半になって司令塔のハメス・ロドリゲスが投入されたことで3失点してしまい、

敗因はともかく負け方だけを見ると、「角落ち」でかろうじて互角に戦うことができて、

中心選手が入ると全く勝ち目がなかったということになる。それにしてもアルベルト・

ザッケローニ監督の采配はブレまくっていたように思う。


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『ニード・フォー・スピード』

2014-06-25 22:59:40 | goo映画レビュー

原題:『Need for Speed』
監督:スコット・ワウ
脚本:ジョージ・ゲイティンズ
撮影:シェーン・ハールバット
出演:アーロン・ポール/ドミニク・クーパー/イモージェン・プーツ/マイケル・キートン
2014年/アメリカ

クルマだけが頼みの作品について

 自動車レースの物語ということくらいは分かって観に行ったものの、例えば、主人公のトビー・マーシャルがライバルのディーノ・ブルースターによって弟分のリトル・ピートを事故死させられたのみならず、トビー自身が罪を背負わされて2年服役することになる。その2年の服役の様子は全く描かれていないことは置くとしても、自分の無実の証明とピートの敵討ちのために参戦した「デレオン」のレースにおいて、最後まで残ったトビーとディーノのクルマは、ディーノの操縦ミスによりクルマがひっくり返りトビーが独走するはずだったのであるが、何故かトビーはディーノの元まで引き返し、クルマが爆発する前にディーノを引きずり出して救出してしまう。このようなトビーの心理がよく分からない原因は結局、本作は全てクルマ頼みだからだと思う。同様のテーマを扱っているからといって『ワイルド・スピード』のようなレベルを期待してはいけない。


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麻生太郎のバカ発言に対する「集団的自衛権」

2014-06-25 00:55:36 | Weblog

けんかが弱い、勉強できない、貧しい「3つそろうといじめの対象」 宇都宮で麻生副総理が発言(下野新聞) - goo ニュース
麻生氏「弱い、勉強できない、貧しい子は無視される」(朝日新聞) - goo ニュース
麻生氏「いじめ正当化する意図ない」 発言めぐり釈明(朝日新聞) - goo ニュース

 宇都宮市で21日に開かれた自民党の会合で行われた麻生太郎副総理兼財務相の話を

まとめてみると、「学校で一番いじめられるヤツはどんなヤツかと言えば、けんかは弱い、

勉強もできない、しかも貧しい家の子と、三つそろったらまず無視。いじめの対象に

なりません。しかし、勉強はできない、けんかは弱い、だけど金持ちの子、これが一番

やられる」と述べ、その上で「日本は間違いなく軍事力がある。しかしきちっと外から

見えてない。金はあるということは分かってる。いちばん集中攻撃されやすい国が日本」

と展開し、「抑止力は基本的に力がないとできない。その力を使うという国民的合意がいる」

と集団的自衛権の必要性を主張している。しかしこの発言は何故か集団的自衛権の問題

ではなく、いじめを容認する問題として捉えられている。麻生はいじめをたとえにした

理由について「世界中193カ国あるので、一国が狙い撃ちされないためにはどうして

おかねばいけないかの例として引いたつもり」と説明し、集団的自衛権の行使を可能に

することで抑止力を持つとして、「ケンカに強い」とたとえたらしい。集団的自衛権の

問題として扱われなかった理由は、例えば、麻生は別としても日本は学力が低くはなく

個別的自衛権は認められているのだから、喧嘩を売られれば買うだけの軍事力は

持っており、今時、「世界中193カ国あるので、一国が狙い撃ち」される状況など

ありえず、結局、金があるからというだけで戦争を仕掛けてくる愚かな国も存在しない

はずで、ツッコミどころが多すぎて、だからと言って副総理兼財務相のバカな発言を

放っておくわけにもいかないから、いじめに関する点を指摘するに留めたのであろう。


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『300 スリーハンドレッド 帝国の進撃』

2014-06-24 22:28:40 | goo映画レビュー

原題:『300: Rise of an Empire』
監督:ノーム・ムーロ
脚本:ザック・スナイダー/カート・ジョンスタッド
撮影:サイモン・ダガン
出演:サリヴァン・ステイプルトン/エヴァ・グリーン/レナ・ヘディ/ハンス・マシソン
2014年/アメリカ

 大戦の背後に隠れる女性の怨念について

 前作『300 〈スリーハンドレッド〉』(ザック・スナイダー監督 2007年)同様に「暑苦しさ」は相変わらずで、寧ろ増した感じもするのであるが、主人公でギリシャ連合軍率いる将軍テミストクレスと父親のダレイオス1世の後を継いだペルシア王のクセルクセスによるサラミスの海戦の背後には、若い頃に家族を殺されたアルテミシアと、夫のレオニダス1世を殺されたゴルゴ王妃の恨みがバックグラウンドを成しており、それはアルテミシアがテミストクレスに殺された際に女性のモノローグが流れ、その「恨み節」はアルテミシアのものではなく、船で乗りつけてきたゴルゴ王妃のものであり、女性の視点が取り入れられているところが新しいとは思うが、それはエロスを誘発する以上のものではない。


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女性を派遣しない本当の理由

2014-06-24 00:03:15 | Weblog

大島優子にツイッターで暴言の小田嶋隆氏「土下座したい」(スポーツ報知) - goo ニュース

 大島優子が20日のテレビ番組でサッカー日本代表に「自分に熱狂してください」と

発言したことに対し、コラムニストの小田嶋隆がツイッターに「死ぬまで自分に熱狂してろ。

オーバーヒートして死ね」とコメントしたことで炎上状態になり、謝罪に追い込まれた。

何故か大島は22日放送のフジテレビのバラエティ番組「ワイドナショー」でも話題に

なっていた。ワールドカップ(W杯)開催地のブラジルの治安が悪いことを理由に

女性アナウンサーが現地に派遣されておらず、「怖いねんて。いまブラジルはレイプ

されんねんて」と語った松本人志に、ゲストの指原莉乃が、「優子ちゃん行きましたよ」と

答えると、「あ、じゃあレイプされてる」と言われており、踏んだり蹴ったりなのであるが、

人気者の証しと見るべきか、あるいはこれもセクハラ野次の類なのか微妙である。しかし

それならばブラジルに飛ばされた大島優子はAKB48卒業後どのような扱いなのか


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