MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

2014-01-31 22:24:05 | goo映画レビュー

原題:『The Wolf of Wall Street』
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:テレンス・ウィンター
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:レオナルド・ディカプリオ/ジョナ・ヒル/ジャン・デュジャルダン/ロブ・ライナー
2013年/アメリカ

「正しい人生」のつまらなさについて

 約3時間の上映時間のほとんどが、ドラッグと乱交シーンで構成されているのであるが、不思議と飽きることなく観賞できる理由は、コカインやメタクアロンで完全にハイになっている主人公のジョーダン・ベルフォートたちが巻き起こす事件やトラブルもさることながら、ジョーダンを演じたレオナルド・ディカプリオの熱演の功績も大きいと思う。
 ラストでジョーダンを司法取引の不履行で逮捕した後、FBI捜査官のパトリック・デナムが地下鉄に乗って帰途につく際に、見上げると周囲にいる乗客たちは自分も含めて覇気が無い。それはジョーダンがデナムの人生を「予言」してみせた通りだった。一方で、出所後のジョーダンは、いつもの「俺にペンを売ってみろ」という決まり文句で怪しいセミナーの講演者としてセールステクニックを大勢の聴衆に向かって講義するのであるが、その受講者たちの目はどれも輝いている。つまり問題なのはジョーダンのような詐欺師以上に、誰もが持っている欲望の方であるということを皮肉っているのであるが、欲望が無ければデナム側の人々ように人生は味気ないものになるということは一理あるのである。


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籾井勝人NHK会長の影響力

2014-01-31 00:05:00 | Weblog

NHK、脱原発テーマに難色=大学教授がラジオ番組降板(時事通信) - goo ニュース
NHK、都知事選中の脱原発論に待った 大学教授が降板(朝日新聞) - goo ニュース
冒頭発言―NHK籾井新会長の会見詳報 (朝日新聞) - goo ニュース

 月~金曜の午前5~8時のラジオ第1放送「ラジオあさいちばん」の「ビジネス展望」

というコーナーに20年来出演していた東洋大学の中北徹教授は「原発の再稼働のコスト

と事故リスク」をテーマに「事故発生時の損害額が桁外れに大きい」として、原発稼働に

おけるコストの増大を指摘する内容だったが、ディレクターが「有権者の投票行動に影響を

与える」「(脱原発は)選挙が終わってから扱ってほしい」などと答え、テーマのさしかえを

求めてきて、教授は「特定の立場に立っていない」と主張したが、受け入れられなかった

ために出演を拒否し、番組を降板したらしい。「長年出演してきたが、こんなことを言われた

のは初めてだ」「選挙期間中だからこそ本質的な議論をするべきだ。過剰に自主規制する

NHKの対応は問題意識が欠けている」と話す中北教授の意見は最もで、NHK広報部は

「意見が対立する問題を扱う場合、双方の意見を伝えるなど公平性を確保するよう努めて

いる。今回の番組では演出上そうした対応を取ることが困難だったためテーマの変更を

求めた」とコメントしているが、どのように考えても安倍首相に選ばれたNHKの新会長に

見つかったら首が飛ばされることを恐れたディレクターの保身以外の何ものでもない。


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『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向う側へ!』

2014-01-30 22:37:35 | goo映画レビュー

原題:『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』
監督:錦織敦史
脚本:錦織敦史/橋龍也
撮影:田村仁/加藤伸也
出演:中村繪里子/長谷川明子/今井麻美/仁後真耶子/浅倉杏美/平田宏美/木戸衣吹
2014年/日本

演出とリンクする物語の「ユルさ」について

 『映画けいおん!』(山田尚子監督 2011年)ほどではないにしても、765プロ所属のアイドルたちが合宿までしているのに、その成果が少女の成長としてうまく表現されていない理由は、例えば、主人公の天海春香たちが、自分の才能に対して自信を失って失踪してしまい、ストレスによる過食で太ってしまった矢吹可奈を河原沿いで見つけ、逃げる加奈を追いかけるのであるが、暫くして望遠から橋の上を右から左に移動する加奈は、やがて彼女たちの声を聞きつけた別のメンバーたちが橋の左側から現れて、挟み撃ちに遭い、逃げることを諦めるシーンに見受けられる。不思議なことにその後、右から加奈を追いかけていた天海が左のグループに紛れ込んでおり、ジブリ作品ではありえないミスを犯してしまっているのであるが、要するに「芸事」の詳細よりも努力しているアイドルの健気さこそが本作の売りなのであり、ラストの、実写ではありえないコンサートのカメラワークこそ気にして観るべきなのであろう。


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おむつのサンドラ・ブロック

2014-01-30 00:00:44 | Weblog

NASA激怒「おむつ着用が真実だ」 オスカー候補「ゼロ・グラビティ」(産経新聞) - goo ニュース
ドラマ「明日、ママがいない」が大炎上!あえてやっかいな問題に斬り込んだ日テレに「正義」はあるのか?(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース

 この記事を読んで違和感が沸き起こる原因を勘案するならば、日本テレビのドラマ

「明日、ママがいない」と同様の非難が向けられているからで、フィクションとして

制作されているものに何故「リアリティー」を求めるのか理解できないからである。

例えば、『アポロ13』(ロン・ハワード監督 1995年)ならば実際に起こった

事故なのだから現実に即して描く必要はあるだろうし、マイケル・ベイ監督の

『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011年)ならば最初から

荒唐無稽であることがわかっているからNASAは協力したのであろうが、

『ゼロ・グラビティ』も荒唐無稽として扱えばいいものを、「現実に即していない」

という理由で非難されているのである。「明日、ママがいない」の場合ならば、

施設の子供がいじめられるという懸念が生じる可能性があるということは

理解できるが、いまだに一般人が宇宙に簡単に行けるわけではないのだから、

誤解が生じて宇宙旅行に支障が生じるという懸念は杞憂であって、この作品を

自画自賛する映画人が「内輪の人々」と形容されるならば、この作品をペテン

として非難する宇宙飛行士や宇宙科学者もいまだ「内輪の人々」でしかない。

おむつを穿いたサンドラ・ブロックという絵柄は「SM」として正しくても「SF」

として観るならば笑いがこみあげてくるはずで、共通認識が無いためにそれは現実

として正しくても作品のジャンルとして正しくなくなってしまうだろう。


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『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』

2014-01-29 22:47:48 | goo映画レビュー

原題:『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』
監督:キム・ソンス
脚本:キム・ソンス
撮影:チェ・サンム
出演:西島秀俊/キム・ヒョジン/真木よう子/浜田学/中村ゆり/パク・トンハ/伊武雅刀
2013年/日本・韓国

韓国風演出の違和感について

 作品の性格上、論評することが難しく、何も情報を得ずに観賞することがベストのように思う。ストーリーの骨格は原作がしっかりしているだけあって良くできているが、例えば、主人公の石神武人と、偶然知り合った韓国人の女性記者カン・ジウォンとのやり取りは、いかにも韓国人の監督が演出したような緩さで、原作が醸し出す雰囲気と合っていないような気がして、何故日本人の監督を起用しなかったのか疑問が残る。
 その違和感はラストまで残り、何故か主人公を演じる西島秀俊はソウルでジウォンと電話で連絡を取り再会する。「記憶は残らないが、思い出は残る」というジウォンの言葉を体現するシーンだとは思うが、西島秀俊が誰を演じているのかはっきりしないまま伏線がなく唐突で説得力に欠ける。


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安倍首相の歴史認識の甘さ

2014-01-29 00:48:47 | Weblog

首相「同席者に聞いて。何の問題もない」 英紙など曲解報道に強調(産経新聞) - goo ニュース

 安倍晋三首相は26日、訪問中のインドで、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で

行った各国メディアとの意見交換での発言が曲解して伝えられたことについて「同席して

いた方がたくさんいた。聞いていただければ、何の問題もなかったということが分かって

いただける」と述べている。問題となった点は昨今の日中関係を、「今年は第一次世界大戦

から100年を迎える年だ。当時、英国とドイツは大きな経済関係にあったにもかかわらず、

第一次世界大戦に至った」と英独関係と暗に比較した。首相が発言していない内容を通訳

が伝えた事を原因としているが、これは正確ではないと思う。通訳の方が当時の英独関係

に詳しいはずで、つまりわざわざ当時の英独関係を「付言」したということは、そのような

ニュアンスでイギリス人やドイツ人は解釈するということなのである。南アフリカの

マンデラ元大統領の追悼式典の「でたらめ」な手話通訳者ではない、外務省が契約した

プロの通訳者だったのだから、言い訳もできない。たいして詳しくないことで例えたり

するからこの様である。


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『オンリー・ゴッド』

2014-01-28 22:34:19 | goo映画レビュー

原題:『Only God Forgives』
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ニコラス・ウィンディング・レフン
撮影:ラリー・スミス
出演:ライアン・ゴズリング/クリスティン・スコット・トーマス/ウィタヤー・パーンシーガーム
2013年/フランス・デンマーク

「腕」を巡る物語について

 事件の発端を勘案してみるならば、そもそも主人公のジュリアンがタイのバンコクで経営しているボクシング・クラブに所属しているボクサーに八百長をけしかけたところから、本作の「腕の物語」は迷走を始めたように見える。ボクサーの「腕」に嘘をつかせた代償は別の形で現れ、兄のビリーが若い売春婦を「手に掛け」、元警官のチャンという男にけしかけられて娘の父親がビリーに「手を掛ける」のであるが、その父親は結局、娘を売春婦にしたという理由でチャンによって「手を掛けられる」。
 長男の死を聞きつけた母親のジェナがアメリカからやって来て、ジュリアンに復讐することを命じるのであるが、ジュリアンの「腕」の動きは不安定な要素を抱えている。一度はチャンと対峙するものの、ジュリアンの腕は空を切るばかりで相手にヒットしないし、チャンに切り殺されたジェナの腹の中に手をつっこんだり、チャンの娘を救うために味方を殺したりと、ジュリアンの「腕」は本来の役割から逸脱しっぱなしなのである。
 そのような借りがあるジュリアンの「腕」をチャンが得意の剣を使って切り落としたのかどうかは描かれることはないのであるが、カラオケを歌っている時に、マイクを持っておとなしくしているチャンの「腕」を見るときだけ、観客である警官たちは静かにしているのである。


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業界に無知なアナウンサー

2014-01-28 00:59:59 | Weblog

長谷川豊「明日ママ」脚本で野島氏ダメ出し(日刊スポーツ) - goo ニュース
長谷川豊、明日ママ「現実離れし過ぎ」(日刊スポーツ) - goo ニュース
日テレ社長「明日ママ」最終話まで放送 内容変更もせず(デイリースポーツ) - goo ニュース

 フジテレビ元アナウンサーの長谷川豊は、芦田愛菜主演の日本テレビ系ドラマ

「明日、ママがいない」の放送中止要請問題に関して、「ただ、設定があまりにも現実離れ

し過ぎているものが多く、せりふにリアリティーが全く存在しない」と指摘している。

不思議なことは、「現実離れ」を恐れている人が多いことである。何をもってして

長谷川がせりふの「リアリティー」の存在の有無を判断するのかよくわからないし、

そもそも「リアリティー」が絶対に必要なのかどうかも定かではないはずだが、

芦田愛菜の演技には有無を言わせない迫力があることは間違いないであろう。国内唯一の

赤ちゃんポストを設置する熊本市の慈恵病院が、一部メディアの取材に「日テレさんからの

取材依頼や問い合わせは一切きていません」と回答し、これを受け、長谷川が「手抜き

ドラマであると言われても仕方ない。世界中で『赤ちゃんポスト』を表現しているのは

慈恵病院だけで、放送した段階で何らかの影響が出ることは予想できる。一言くらいの

断りはあって当然だと思う。それ以上に病院の現実をなぜ取材しないのか」と疑問を

呈しているが、このドラマはフィクションであり、慈恵病院を取材してしまえば、現実に

引っ張られて表現の自由が制限されてしまうから、敢えて取材しなかったことは業界に

携わっているならばわかるはずで、長谷川はアナウンサーという仕事を生業としていながら

表現の自由の問題に関して呑気過ぎる。長谷川のメルマガをお金を払って読む人がいる


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『小さいおうち』

2014-01-27 21:53:09 | goo映画レビュー

原題:『小さいおうち』
監督:山田洋次
脚本:山田洋次/平松恵美子
撮影:近森眞史
出演:松たか子/倍賞千恵子/吉岡秀隆/黒木華/妻夫木聡/片岡孝太郎
2014年/日本

 十分に活かしきれないショットについて

 本作の最大の見どころは、戦地に赴いた者が生き残り、召集されない人々が空襲で死んでしまうという皮肉のみならず、例えば、不倫相手の板倉正治が召集令状を受け取ったと夜中に報告に来た翌日に、身なりを整えた平井時子が出かけようとする時である。そのことに気が付いた布宮タキが庭先から玄関に先回りして時子を思いとどまらせて、時子が家に戻るまでのシーンのみがハンディーカメラで撮られているのであるが、この画面のブレが時子とタキの心理の揺れとリンクし、緊張感をもたらす。
 ところで問題はこの緊張感である。どこからこの緊張感が湧き上がるのか勘案するならば、時子の板倉に対する想いのみならず、タキの板倉に対する想いもあったはずで、ただ平井夫妻の関係が壊れないためにタキが奔走したとは考えにくい。しかしタキの板倉に対する想いが具体的に描かれることがないために、的確であるはずの緊張感漲るショットが十分に活かしきれていないように思う。


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ハートが弱すぎる稀勢の里

2014-01-27 17:26:41 | Weblog

【初場所】稀勢の里、カド番!綱取りどころか負傷休場(スポーツ報知) - goo ニュース
技能賞スルリ…里山、まげをつかんで反則負け/初場所(サンケイスポーツ) - goo ニュース

 今場所はなかなか勝敗が読みづらかった。例えば、7勝7敗の豪栄道ならば、相手は

8勝6敗の琴欧州だったから星がもらえたし、7勝7敗の豊ノ島ならば、相手は

9勝5敗の松鳳山だったから星がもらえたし、7勝7敗の魁聖も、相手は8勝6敗の

臥牙丸だったので星をもらうことが出来たが、8勝6敗の高安に星がもらえるはずだった

里山は反則負けを期してしまい、8勝6敗の琴奨菊に星がもらえるはずだった稀勢の里は

怪我で出場すらできずに負け越した。とにかく稀勢の里はハートが弱すぎる。


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