原題:『The Wolf of Wall Street』
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:テレンス・ウィンター
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:レオナルド・ディカプリオ/ジョナ・ヒル/ジャン・デュジャルダン/ロブ・ライナー
2013年/アメリカ
「正しい人生」のつまらなさについて
約3時間の上映時間のほとんどが、ドラッグと乱交シーンで構成されているのであるが、不思議と飽きることなく観賞できる理由は、コカインやメタクアロンで完全にハイになっている主人公のジョーダン・ベルフォートたちが巻き起こす事件やトラブルもさることながら、ジョーダンを演じたレオナルド・ディカプリオの熱演の功績も大きいと思う。
ラストでジョーダンを司法取引の不履行で逮捕した後、FBI捜査官のパトリック・デナムが地下鉄に乗って帰途につく際に、見上げると周囲にいる乗客たちは自分も含めて覇気が無い。それはジョーダンがデナムの人生を「予言」してみせた通りだった。一方で、出所後のジョーダンは、いつもの「俺にペンを売ってみろ」という決まり文句で怪しいセミナーの講演者としてセールステクニックを大勢の聴衆に向かって講義するのであるが、その受講者たちの目はどれも輝いている。つまり問題なのはジョーダンのような詐欺師以上に、誰もが持っている欲望の方であるということを皮肉っているのであるが、欲望が無ければデナム側の人々ように人生は味気ないものになるということは一理あるのである。