MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ザ・ファブル』

2019-06-30 00:56:06 | goo映画レビュー

原題:『ザ・ファブル』
監督:江口カン
脚本:渡辺雄介
撮影:田中一成
出演:岡田准一/木村文乃/山本美月/福士蒼汰/柳楽優弥/向井理/佐藤二朗/佐藤浩市
2019年/日本

「寓話」で描かれる意味のないイラストについて

 タイトルの「ファブル」は「寓話」という意味らしいのだが、これは主人公の殺し屋の佐藤アキラを指しているのだから「伝説(の殺し屋)」と訳した方が良いと思う。
 ミサキを演じた山本美月の顔をヨウコを演じた木村文乃がやりたい放題で変顔にさせていたシーンは大いに笑ってしまったが、ここではアキラが描いたイラストについて論じてみたい。
 バイト先でミサキに乞われてアキラはパソコンやノートにイラストを描くのだが、決して上手いとは言えないその作品は何故か絶賛されて採用されるのである。このシーンの伏線は入院している海老原の元にアキラのボスが訪れた際に、サヴァン症候群を話題にするのだが、要するにアキラはサヴァン症候群であるために訓練によってさらに感性が研ぎ澄まされ、猫舌になり、事件現場の当時の状況まで見えるようになり、しまいには芸人のジャッカル富岡のつまらないネタにも面白みを見出してしまうのである。
 ところでアキラはその後、一人で部屋で飼っている「カシラ」と呼んでいるインコを描いているのだが、そのイラストはまあまあ上手いのである。これが意味することは普通の生活を送っているうちに殺し屋としての能力が落ちた分、他の才能が伸びているという暗示かと思ったのであるが、その後アキラが描くイラストは下手なので、どうやらアキラのイラストに意味を持たせていないようなのである。あれだけアキラにイラストを描かせておきながらそこに何も暗示させていないという演出はもったいないというか不可解としか言いようがない。


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『レプリカズ』

2019-06-29 00:58:12 | goo映画レビュー

原題:『Replicas』
監督:ジェフリー・ナックマノフ
脚本:チャド・セント・ジョン
撮影:チェコ・バレス
出演:キアヌ・リーブス/アリス・イヴ/トーマス・ミドルディッチ/ジョン・オーティス
2018年/アメリカ

誰が本物か分からなくなる瞬間について

 なかなか難解なストーリーなのでまずは整理してみたいと思う。主人公のウィリアム・フォスターは神経科学者で、プエルトリコにある医療系のバイオ企業「バイオニーヌ・コーポレーション」の特殊プロジェクトを任されており、死亡者の「心」をそのまま「アンドロイド」に転移させる実験を試みている。ここで問題となるのは何故「クローン」ではなく「アンドロイド」、つまりロボットに転移させるのかは倫理的な問題があるためであろう。しかし実験は上手くいかない。それは技術的な問題ではなく、蘇った死者が自分の身体がロボットであることに驚いて正気を保てないからである。
 ところがウィリアムは自らの運転による交通事故で妻のモナと、ソフィー、マット、ゾーイの3人を失うと、友人で元々クローンの専門家であるエド・ホイットルの助けを借りて、研究所から「クローンポッド」を盗むのだが、3体用のクローンポッドしかなかったためにゾーイを除いて、4人の元の身体は捨ててしまって、短期間で3人をクローンとして蘇らせることに成功するのである。
 ここまではストーリー展開として許容範囲としても良いと思うのだが、このクローン実験の成功例で失敗の原因がわかったらしいウィリアムは新しい死亡者のダメージが酷かったために代わりにウィリアム自身の「心」のデータを「アンドロイド」にプログラムしてしまうのである。そうなるとウィリアムは「本人」と「アンドロイド」の2人が存在することになるのであるが、2人の中ではラストまで「棲み分け」が出来ているようである。大抵このようなストーリー展開では「本物」争いが起こっても不思議ではないのだが、傍目から見てそこをどう理解していいのか分からないのである。


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『名探偵ピカチュウ』

2019-06-28 00:44:41 | goo映画レビュー

原題:『Pokémon Detective Pikachu』
監督:ロブ・レターマン
脚本:ダン・ヘルナンデス/ベンジー・サミット/ロブ・レターマン/デレク・コノリー
撮影:ジョン・マシソン
出演:ライアン・レイノルズ/ジャスティス・スミス/キャスリン・ニュートン/渡辺謙
2019年/アメリカ・日本

「ポケモン」のアメリカ人の受け止め方について

 本作を観ていて思うことは人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターをアメリカ人がどのように受容しているかということである。
 実写であることからマーベル・コミックを原作とした、多少暗めの演出なのであるが、詳細は避けるが結局ストーリーは最後にミュウツーが「魔法」を解いたような感じで、ディズニーアニメのようなオチなのである。アメリカ人がピカチューをマーベル・コミックに登場する「モンスター」と捉えるのか、ディズニーアニメの「キャラクター」と捉えるのか迷いが感じられる。
 マーベルとディズニーの良いとこ取りではあるのだが、ストーリーは主人公のティム・グッドマンと彼の父親のハリーとの葛藤と和解というありきたりなもので、「探偵物語」としては起伏が欠けていると思う。


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『シャザム!』

2019-06-27 00:46:27 | goo映画レビュー

原題:『Shazam!』
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
脚本:ヘンリー・ゲイデン
撮影:マキシム・アレキサンドル
出演:ザッカリー・リーヴァイ/アッシャー・エンジェル/マーク・ストロング/ジャック・ディラン・グレイザー
2019年/アメリカ

「嫉妬」の扱い方について

 主人公のシャザムの敵となるドクター・シヴァナは 「Pride(高慢)」「Greed(貪欲)」「Envy(嫉妬)」「Wrath(激怒)」「Lust(肉欲)」「Gluttony(暴食)」「Sloth(怠惰)」の七つの大罪というクリーチャーたちを駆使してシャザムたちを倒そうとするが、何故か「嫉妬」だけがなかなかシヴァナから出てこない。それはかつてシヴァナが魔術師に認めてもらえなかったためにシャザムになれなかった経験があり、シヴァナの「嫉妬」はシャザムに対して盲目になってしまい弱点にもなりえるからであろう。
 良く出来ている作品だが、個人的には『デッドプール』(ティム・ミラー監督 2016年)のアクの強いふざけた感じの方が好みではある。
 ラモーンズの「アイ・ドント・ワント・トゥ・グロウ・アップ」を和訳しておく。要するにこれが本作の言いたかったことで、思春期の男子の心情を歌わせたらラモーンズの右に出られるロックバンドはいないと思った。

「I Don't Want To Grow Up」 Ramones 日本語訳

夜、ベッドで横になっている時に
僕は成長したくない
どれもが上手くいかないように見える時
僕は成長したくない

絶えず物事が変化している霧の世界で
君はどのように行動すればいいのだろうか?
おかげで僕は犬にでもなれないものかと願ってしまうんだ

誰もが決してなりたくないものに変わっているように見える
生きがいとするものは今日だけなんだ

僕は自分のテレビに穴を開けるつもりだ
僕は成長したくない
救急箱を開けるんだ
僕は成長したくない

僕はそう叫ばなければならない状況に追い込まれたくない
僕は髪の毛を失いたくない
僕は疑惑に取りつかれたくない
僕は優秀なボーイスカウトになりたくない
僕は算数を学ばなければならない状況に追い込まれたくない
僕は多額の現金を持ちたくない
僕は成長したくないんだ

夫婦喧嘩を見る時
僕は成長したくない
2人とも出かけて一晩中飲んだくれているから
僕は成長したくない

僕はむしろ自分の部屋で過ごしたい
外には哀しみと憂鬱以外に何もないから
僕は大通りの古い大きな墓の中で生きたくはないんだ

5時に始まるニュースを見ると
僕は成長したくない
2人が髪を整えて靴を磨くと
僕は成長したくない

僕は故郷に留まって
頭金など払いたくはないし
いつまでも多額のローンを抱えたくない
2人は身を粉にして働いている
僕は箒で掃かれたくない
恋をして結婚して活気づきたい
どうしてあっという間にこんなになったのだろう?
僕は成長したくない

Ramones - "I Don't Wanna Grow Up" - Hey Ho Let's Go Anthology Disc 2


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『アベンジャーズ/エンドゲーム』

2019-06-26 23:23:52 | goo映画レビュー

原題:『Avengers: Endgame』
監督:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス/スティーヴン・マクフィーリー
撮影:トレント・オパロック
出演:ロバート・ダウニー・Jr/クリス・エヴァンス/マーク・ラファロ/クリス・ヘムズワース
2019年/アメリカ

「ミスター・ファンタジー」について

 およそ3時間の前半はそれぞれのアヴェンジャーズの個々の過去を顧みるシーンで、後半はアヴェンジャーズ総動員でタイタン星人のサノス軍たちとの死闘が描かれるバランスは悪くない。よくここまで手際よくまとめたものだと感心してしまう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督 1985年)を引き合いに出してタイムトラベルの不可能性を論っておきながら、新しい方法論を見つけたと言って実行してしまうバカバカしさも面白い。
 しかし一つ不満だったのは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(マイケル・ドハティ監督 2019年)の渡辺謙の扱いと比較するならば本作で東京のヤクザの組長のアキヒコを演じた真田広之の扱いは、日本の原作ではないためなのか酷いもので大して見せ場がないままクリント・バートンに倒されてしまっているのだが、さらに問題なのは本作で描かれている東京は実際の東京ではなく「ロールプレイングゲーム」で描かれている東京であろう。
 オープニングでトラフィック(Traffic)の「ディア・ミスター・ファンタジー」が流れた時には鳥肌が立った。まさにアヴェンジャーズこそ「ミスター」の称号が似合う「ファンタジー」だからである。以下、和訳。

「Dear Mr. Fantasy」 Traffic 日本語訳

親愛なるファンタジー氏
僕たちに一曲弾いてくれないか
僕たち全員を幸福で満たす何かを
何でも良いんだ
この陰鬱さから僕たちを連れ出して欲しいんだ
歌を歌ったりギターを弾いたりさっさとやってくれよ
君は僕たち全員を笑わせることができるけれども
君は君自身が涙にまみれることをしている
もしもそれが君の率直な思いであったのならば
悲しむことはないよ
僕たちは君(=fantasy)を長い間忘れていたのだから

 すっかり大人になって空想しなくなった「僕たち」が空想することを思いだし、それに感激した「ファンタジー氏」が泣きながら歌ったりギターを弾いたりしている様子が的確に描かれていると思う。

Steve Winwood - Dear Mr. Fantasy (Live on SoundStage - OFFICIAL)

Steve Winwood - Dear Mr. Fantasy (Live at PBS Soundstage 2005)


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『メン・イン・ブラック:インターナショナル』

2019-06-25 23:57:37 | goo映画レビュー

原題:『Men in Black: International』
監督:F・ゲイリー・グレイ
脚本:アート・マーカム/マット・ホロウェイ
撮影:スチュアート・ドライバーグ
出演:クリス・ヘムズワース/テッサ・トンプソン/リーアム・ニーソン/エマ・トンプソン
2019年/アメリカ

追い詰められる「メン」について

 主人公のモリー・ライトが地球にいるエイリアンの監視や取り締まりを任務とする最高機密機関である「MIB」の存在を知ったのは1996年でモリーはまだ幼かったのだが、それから23年が経ってようやく「MIB」とコネを作りモリーがエージェントMを名乗るようになったのは彼女が30歳になる直前といったところだろうか?
 ストーリーは決して悪くはないと思うが、スーツを着たエージェントが宇宙人を退治するという当時のクールさや斬新さにもはや新鮮味が感じられなくなっていることは避けられない。
 興味深い点を挙げるならば、エージェントMがエージェントOに対して「メン・イン・ブラック」の「メン(=男性)」に違和感を表明するのであるが、『X-MEN: ダーク・フェニックス』においてもプロフェッサーXに対してミスティークが「X-MEN」という呼称に文句を言うシーンがあり、この流れは止まりそうにない。
 もう一つは「ザ・ツインズ」のグループにアジトを荒らされたポーニィが例えとしてパーティーで大暴れしたカニエ・ウェストの名前を挙げているのだが、『スノー・ロワイヤル』(ハンス・ペテル・モランド監督 2019年)でもカニエ・ウェストの悪口ネタは使われていて、カニエ・ウェストを嫌っているのは誰なのか勘案してみるならば両作品に出演しているリーアム・ニーソンなのではないだろうか?


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『X-MEN: ダーク・フェニックス』

2019-06-24 22:48:50 | goo映画レビュー

原題:『Dark Phoenix』
監督:サイモン・キンバーグ
脚本:サイモン・キンバーグ
撮影:マウロ・フィオーレ
出演:ソフィー・ターナー/ジェームズ・マカヴォイ/マイケル・ファスベンダー/ジェニファー・ローレンス
2019年/アメリカ

女性の「難しい年頃」について

 主人公のジーン・グレイが交通事故で母親を失ったのはジーンが8歳の時で1975年だった。それから舞台は1992年に変わるからジーンは25歳である。
 ジーンは宇宙で機能不全に陥ったスペースシャトル「エンデバー」から宇宙飛行士たちを救出するミッション中に一人だけ逃げ遅れて光線を浴びてしまう。無事に帰還できたのだが、ジーンは自身で制御できないほど自分の超能力が高まっていることを感じる。そんな時にジーンは自分の過去を思い出し、父親が生きていることを知り、同時に実の父親に捨てられプロフェッサーXに騙されていると思い、ヴーグが率いる地球外生命体たちに取り込まれそうになるのである。しかしジーンの25歳という年齢が気になる。自分の特異な能力は十分に分かっているはずだし、そのような娘を持った父親の苦労も理解できてもいい年齢だからである。
 ここまで書いて気がつくようにホラー映画『パージ:エクスペリメント』(ジェラード・マクマリー監督 2018年)や怪獣映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(マイケル・ドハティ監督 2019年)同様にスーパーヒーロー映画である本作も「外敵」によって「内部」が一つにまとまるというストーリーのフォーマットを踏襲しているところが興味深い。
 冒頭のシーンでジーンと母親が車内で聴くラジオ局を巡る諍いがある。母親がグレン・キャンベルの「恋はフェニックス(By the Time I Get to Phoenix)」を聴いていると局が変わりウォーレン・ジヴォンの「ロンドンのオオカミ男(Werewolves of London)」が流れるのである。これはもちろん母親の「私が“フェニックス”に着くまで」という願いも空しく途中でジーンが“狼人間”に変わるという暗示であろう。以下、和訳。

Werewolves of London」 Warren Zevon 日本語訳

僕は中華料理のメニューを手にしている狼男を見た
雨の中、ソーホーの通りを歩きながら
彼はリーホーフックと呼ばれる広東料理の店を探していた
彼は牛肉入りの五目焼きそばの大盛りを頼むんだ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

もしも君の台所のドア辺りから彼の遠吠えが聞こえても
彼を入れない方がいい
昨日の夜遅く小さなマダムがズタズタに切り裂かれていた
またロンドンの狼男だ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

彼は毛むくじゃらの手をしていてケント市で逆上して殺気だっていた
最近メイフェア地区に彼がいるという噂だ
君は彼に近づかない方が身のためだ
ジム、彼は君の肺を引き裂くだろうから
僕は彼の仕立屋に会ってみたいものだ

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

僕は女王と一緒に歩いているロン・チャイニ―(怪奇スター)を見た
彼らはロンドンの狼男を演じていた
僕は女王と一緒に歩いているロン・チャイニ―・ジュニア(その息子)を見た
彼らはロンドンの狼男を演じていた
僕はヴィクトリア貿易船でピニャコラーダ酒を飲んでいる狼男を見た
彼の毛並みは完璧だった

ロンドンの狼男
ロンドンの狼男

Warren Zevon - Werewolves Of London (Official Music Video)


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『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

2019-06-23 22:23:30 | goo映画レビュー

原題:『Godzilla: King of the Monsters』
監督:マイケル・ドハティ
脚本:マイケル・ドハティ/マックス・ボレンスタイン/ザック・シールズ
撮影:ローレンス・シャー
出演:カイル・チャンドラー/ヴェラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/渡辺謙
2019年/アメリカ

薄れゆく『ゴジラ』の「主題」について

 そもそも初代『ゴジラ』(本多猪四郎監督 1954年)は水爆実験で目覚め、核爆弾に対する批判が多少なりともあったはずだが、本作においてゴジラを含む「モンスター」たちは原爆のみならず温暖化などの様々な環境破壊によって目覚めたと微妙に変化しており、さらにキングギドラなどは地球上の生物ではなく地球外生命体ということも明らかにされて、ますます「核」に対する問題提起は薄れていっているように思うのだが、ストーリー設定自体を変えることは悪いとは思わない。普通の怪獣映画と見なすのならば十分に楽しめるとは思う。
 しかしキングギドラやモスラの「造形」は雑過ぎるのではないだろうか。全体的に画面が暗いためにキャラクター造形にそれほど力を入れなかったのかもしれないが、中国の「龍」のイメージが強すぎて、オリジナルのデザインが損なわれていると思う。さらにラドンに至っては「ロダン(Rodan)」と名前自体が変わってしまっている。何の必然性があったのか?
 本作で重要な役割を果たしているはずの「オルカ(Orca)」と呼ばれる怪獣との交信装置の扱いも雑で、てっきり『未知との遭遇』(スティーヴン・スピルバーグ監督 1977年)のような展開を期待したが、モンスターたちの取っ組み合いが慌ただしくて、そのような余裕はなかった。


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『パージ:エクスペリメント』

2019-06-22 23:57:43 | goo映画レビュー

原題:『The First Purge』
監督:ジェラルド・マクムーリー
脚本:ジェームズ・デモナコ
撮影:アナスタス・N・ミチョス
出演:イラン・ノエル/レックス・スコット・デイヴィス/ジョイバン・ウェイド/ローレン・ヴェレス
2018年/アメリカ

「ライフル」を売る手っ取り早い方法について

 本作は「パージシリーズ」の「前日譚」が描かれており、シリーズ未見の人も理解できる。そもそも「パージ」とは殺人を含む犯罪の合法化であり、とりあえずニューヨーク州のスタテン島内で実験を行なうアメリカの新党である「NFFA(新しいアメリカ建国の父たち)」が全米ライフル銃協会の支援だけで共和党と民主党を抑えて第一党になるというアイロニーが効いている。
 12時間限定の実験の検証に立ち会ったメイ・アップデイル博士は、それまであまり伸びなかった参加率が急に上がった原因を、島外の「よそ者」によるものだと分かったのだが、すぐにチーフスタッフのサビアンに殺される。この実験は最初から「ライフル」を売るための「出来レース」だったのである。
 そのことに気がついた島民で主人公のディミトリーは「よそ者」相手に『ダイ・ハード』(ジョン・マクティアナン監督 1988年)の主人公で ブルース・ウィリスが演じたジョン・マクレーン刑事ばりに白シャツ一枚で奮闘する姿もまたディミトリーが黒人であるが故に皮肉が込められているのである。


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『ラ・ヨローナ~泣く女~』

2019-06-21 00:49:50 | goo映画レビュー

原題:『The Curse of La Llorona』
監督:マイケル・チャベス
脚本:ミッキー・ドートリー/トビアス・イアコニス
撮影:マイケル・バーゲス
出演:リンダ・カーデリーニ/マデリーン・マックグロウ/ローマン・クリストウ/マリソル・ラミレス
2019年/アメリカ

悪霊に対する対処について

 『リング』(中田秀夫監督 1998年)のホラー映画における影響力は絶大なもので、例えば、本作であれば貞子にあたるラ・ヨローナは白いドレス姿の悪霊となって現れたりするのだが、逆に彼女の死の原因は夫の浮気で嫉妬に狂った彼女が子供を溺死させた場所が川縁で、『貞子』(中田秀夫監督 2019年)の主人公の秋川茉優が貞子に憑りつかれた弟の和真を助けようとする場所は海岸近辺の洞窟の中の水たまりなので、時代設定は1973年と現代という違いはあるが、似てきたりしているのが不気味だったりする。
 しかし娯楽として観賞するのであるならば、憑りつかれた悪霊に何も対処しようがないよりかは、本作のように悪魔祓いの祈祷師(エクソシスト)による攻防がある方が楽しいような気がする。


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