MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「ハーフ」という立場の苦しさ

2015-09-30 00:06:22 | Weblog

【精神科女医のつぶやき】片田珠美(157)「燃やせ!燃やせ!燃やせ!」 放火魔はなぜペットボトルを使ったのか
JR不審火容疑者、別現場でも関与か 指紋が一致

最近、スポーツ界ではハーフの活躍が目立つ。例えば、夏の甲子園を沸かせた関東第一高等学校の

野球部のオコエ瑠偉はナイジェリア人の父を持ち、城西大学付属城西高校の短距離ランナーである

サニブラウン・アブデル・ハキームの父親はガーナ人である。「ハーフ」というのは日本人にとって

自然にハードルが上がってしまい、しかし彼らのように期待される以上の才能を発揮できれば

問題は無いのである。あるいは才能がなくても例えば、アメリカ人の父親を持つ、お笑いコンビ

「マテンロウ」のアントニーや、ブラジル人の父親を持つ、お笑いコンビ「デニス」の植野行雄

など、「ハーフ」としての不甲斐なさを笑いに変えられるならばまだ救いがある。JR東日本敷地内の

連続不審火の容疑者として逮捕された野田伊佐也(いざや)の母親はイスラエル人らしく、

ミュージシャンとしての才能は認められないために「自称」ミュージシャンと呼ばれているが、

才能は無いのに顔は明らかにイケメンであり、故に自虐も出来ないという苦しい立場に立たされて

いたように感じるのではある。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

五木寛之の「運命論」

2015-09-29 00:17:06 | Weblog

川島なお美さん死去の衝撃 「有効な検診方法は残念ながらない」 政府、対策を加速

 昨今の癌に関するニュースはがっかりさせるものばかりで、例えば、川島なお美は定期健診で

胆管がんが見つかったにも関わらず、2年後に亡くなることになり、北斗晶も毎年秋に定期健診を

受けていたにも関わらず、乳がんを患い右胸の乳房を全摘出しなければならなくなり、さらに

坂本龍一は普段から健康に気を付けてオーガニックの食事をしていたにも関わらず、中咽頭がんを

患ったというのである。その一方で、宮迫博之はたまたま受けた人間ドックでスキルス胃がんが

見つかり早期発見で助かったのであり、大谷直子の奇跡の抗がん剤治療は既に書いた通りで、

つまり定期健診を受けていてもいくら健康に気をつけても癌になる時にはなるということで、

個人的には近藤誠の主張に汲みすることはないが、最近、週刊新潮の「生き抜くヒント!」と

いうコラムで、ここ十数年病院に行っていない、至って健康な82歳の作家の五木寛之が

書いていた「運命論」は肯定せざるを得ない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「Uma Thurman」 Fall Out Boy 和訳

2015-09-28 00:13:34 | 洋楽歌詞和訳

Fall Out Boy - Uma Thurman

 「ベストヒット USA」のヒットチャートを見ていたら「ユマ・サーマン(Uma Thurman)」という

フォール・アウト・ボーイ(Fall Out Boy)の曲があり、気になって和訳してみた。

「Uma Thurman」 Fall Out Boy 日本語訳

俺は山をも動かして奇跡を起こすことができる
俺はおまえを離しはしない
「死のみが俺たちを引き離すことになるだろう」という宣誓のように

彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
俺が懺悔するまで俺に独房の禁固刑を宣告してくれ
彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
だから俺はおまえを忘れることができない

カルバン・クラインの「エタニティー」と共に
ひと夏の恋の予感
これ以上ありえないくらいに俺を粉々にしろ
俺に毒を盛ってみろ

俺は山をも動かして奇跡を起こすことができる
俺はおまえを離しはしない
「死のみが俺たちを引き離すことになるだろう」という宣誓のように

彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
俺が懺悔するまで俺に独房の禁固刑を宣告してくれ
彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
だから俺はおまえを忘れることができない

子羊の血はライオン2頭分の価値があるが
ここにいるのは俺なんだ
昨夜は服を着たまま眠り明日の夢をみたけれど
夢はどれも思っていたものとは違う

俺は山をも動かして奇跡を起こすことができる
俺はおまえを離しはしない
「死のみが俺たちを引き離すことになるだろう」という宣誓のように

おまえは自分の道を見つけて
死がおまえを活気づけるだろう
俺をイリノイ州のクインシーに連れて行ってくれ
俺たち(フォール・アウト・ボーイ)が形勢を一変させた「ジェム・シティ」に
おまえは自分の道を見つけて
死がおまえを活気づけるだろう
俺をイリノイ州のクインシーに連れて行ってくれ
俺たちが形勢を一変させた「ジェム・シティ」に

彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
俺が懺悔するまで俺に独房の禁固刑を宣告してくれ
彼女はユマ・サーマンのように踊りたいんだ
だから俺はおまえを忘れることができない

俺は山をも動かして奇跡を起こすことができる
俺はおまえを離しはしない
「死のみが俺たちを引き離すことになるだろう」という宣誓のように

俺は山をも動かして奇跡を起こすことができる
俺はおまえを離しはしない
「死のみが俺たちを引き離すことになるだろう」という宣誓のように


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「Radioactive」 Imagine Dragons 和訳

2015-09-27 00:21:33 | 洋楽歌詞和訳

Imagine Dragons - Radioactive

 9月25日のBS朝日で放送された「ベストヒット USA」にイマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons )

のメンバーが出演しており、「レディオアクティブ(Radioactive)」のMVが流れていたのであるが、

肝心のサビの部分が「レディオアクティブ」のままでどのような意味なのかよく分からなかった。

改めて和訳を試みてみよう。

「Radioactive」Imagine Dragons 日本語訳

俺が目覚めた時には周囲は変わり果てていた
額を拭うと垢がにじみ出ている
俺は化学物質が蔓延する中で呼吸をしている
俺は護送車のバスに乗って
移動し、そこで頑張って、去っていく
これぞ天啓なんだ

俺は目覚めており
自分のこれまでのシステムが吹っ飛ぶほど十分に
それを体の芯から感じている
新たな時代へようこそ
俺はエネルギー(active)を放出(radio)している

俺は自分の旗を掲げ新たに服を着る
これは革命だと俺は思う
上手くいくように俺たちはそれを血で染める
俺は護送車のバスに乗って
移動し、そこで頑張って、去っていく
これぞ天啓なんだ

俺は目覚めており
自分のこれまでのシステムが吹っ飛ぶほど十分に
それを体の芯から感じている
新たな時代へようこそ
俺はエネルギーを放出している

あらゆるシステムが無くなっても日はまた昇る
俺の骨の髄から
心の内側からまっすぐに(エネルギーを放出している)

俺は目覚めており
自分のこれまでのシステムが吹っ飛ぶほど十分に
それを体の芯から感じている
新たな時代へようこそ
俺はエネルギーを放出している

 まるで1960年代の学生運動を歌っているような歌詞だが、自分たちが正義だと主張している

訳ではなく、「護送車(prison bus)」に乗っているという自覚はある。それでも行く先々で

自分たちのルール(my systems)に囚われることなく柔軟な対応で全力を尽くすという

メッセージが大ヒットにつながったのだと思う。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ポプラの秋』

2015-09-26 00:33:34 | goo映画レビュー

原題:『ポプラの秋』
監督:大森研一
脚本:大森研一
撮影:中堀正夫
出演:本田望結/大塚寧々/中村玉緒/村川絵梨/藤田朋子/宮川一朗太/山口いづみ/内藤剛志
2015年/日本

 奇跡的に被る「ネコの逸話」について

 サスペンス映画ではないにしても本作はそのネタを知ってしまうと感動が薄れてしまうために多くを語れないが、例えば、大家のおばあさんの、亡くなった人に手紙を届けられるという言葉を信じて主人公の星野千秋が交通事故で亡くなった父親宛てに想いを込めた手紙を何通も書くものの、千秋が受け取る手紙は千秋にとって悲しいものばかりであるところが興味深い。
 ところで本作を観ていて不思議なことが起きた。いなくなった野良猫を探している千秋に、同じ「ポプラ荘」に住んでいる佐々木さんが「死ぬ時にネコは姿を消す」と教えるのであるが、このネコの逸話は最近聞いたばかりだと思って考え込んでいたら、本作の前に上映されたイッセー尾形主演の『先生と迷い猫』(深川栄洋監督 2015年)の予告編で同じ逸話が語られていたのである。おかげで考えている間に観賞に集中できなかったのであるが、映画館側でネタが被っている場合に予告編の上映を控えるようなことはしないのであろうか。まあ、作品を観ていれば控えるはずなのであるが。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ヒロイン失格』

2015-09-25 00:51:00 | goo映画レビュー

原題:『ヒロイン失格』
監督:英勉
脚本:吉田恵里香
撮影:小松高志
出演:桐谷美玲/山崎賢人/坂口健太郎/福田彩乃/我妻三輪子/高橋メアリージュン/竹内力
2015年/日本

ヒロインが「失格」する原因について

 主人公の松崎はとりが漫画喫茶で読んでいるもので分かるように、本作は『アオハライド』(三木孝浩監督 2014年)のパロディーなのであろうが、その演出の過剰なデフォルメから勘案するならば、「少女漫画」そのもののパロディーといってもいい。
 正確を期すならば、世界的に美人と認められている桐谷美玲がヒロインを失格するはずもなく、そもそも松崎はとりが「失格」した原因は、相手の寺坂利太の優柔不断さからであり、結果的に「ヒロイン失格」したのは我妻三輪子が演じた安達未帆の方なのである。この、美人の揺るぎないアドバンテージは同時期に公開されている『ガールズ・ステップ』(川村泰祐監督 2015年)との興行的比較により既に突き付けられた現実である。
 しかしいくらアドバンテージがあるとしても時として美人でさえ「ヒロイン失格」の烙印を世間から押されてしまうことがあり、理由がよく分からないのであるが、例えば、『進撃の巨人』(樋口真嗣監督 2015年)でヒロインのミカサ・アッカーマンを演じた水原希子である。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ガールズ・ステップ』

2015-09-24 00:47:27 | goo映画レビュー

原題:『ガールズ・ステップ』
監督:川村泰祐
脚本:江頭美智留
撮影:北山善弘
出演:石井杏奈/小芝風花/小野花梨/秋月三佳/上原実矩/塚本高史/大東駿介/山本裕典
2015年/日本

ストーリー的に地味なキャスティングで苦戦を強いられる佳作について

 「スクールカースト」をテーマにした本作は、だからといって決して暗い話ではなく、例えば、必修のダンスのテストを受けなかった5人の主人公たちが、町内で催されたフェスティバルで踊ることを条件に単位をもらえることになり、しかしあくまでもダンスの試験ということでジャージー姿で踊らされたり、そのことをきっかけにダンス部を結成した5人が引き続きケニー長尾(塚本高史が好演している)にコーチをお願いするために顧問料としてかき集めた小銭をケニーがいちいち数えているところなど細かいギャグも上手いと思う。
 ストーリーそのものも硬軟織り交ぜて上手くできていると思うが、本作は深刻な問題を抱えている。主人公たちは「ジミーズ」と呼ばれている通りクラスで地味なメンバーで構成されているために、キャスティングも必然的にどちらかと言えば地味な女優が選ばれることになり、物語的には相応しいが集客力に関してはどうしても弱くなってしまうからである。しかしこれは本当にもったいない。『ヒロイン失格』(英勉監督 2015年)ほどヒットはしなくても多くのJKに観られるべき作品だと思う。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『恋のつむじ風』

2015-09-23 00:28:42 | goo映画レビュー

原題:『恋のつむじ風』
監督:鍛冶昇
脚本:才賀明
撮影:山崎善弘
出演:松原智恵子/梶芽衣子/長谷川照子/杉良太郎/丘みつ子/和田浩治/山本陽子
1969年/日本

忘れられがちの「伝説」について

 松原智恵子の初主演作品として辛うじて知られているのかいないのか、DVD化していないらしい本作における私の興味はストーリーよりも、例えば、内田裕也とザ・フラワーズの演奏シーンや、いしだあゆみが「ブルー・ライト・ヨコハマ」をフルコーラス歌っていたりと出演しているミュージシャンの方が気になってしまう。
 あるいは久万里由香が演じたマリ子が立ち読みしていた雑誌のページを破って持って行ってしまうのであるが、その記事は「音の風俗史」という見出しの「デイヴ・ディー・グループ(Dave Dee Group)」のメンバーが写っているものである。このミュージシャンを知っている人が今何人いるのか定かではないが、ザ・ジャガーズがカヴァーした「キサナドゥーの伝説(The Legend Of Xanadu)」のオリジナルを歌っていたバンドだと言えば思い出す人もいるだろう。
 ここで本当の「キサナドゥーの伝説」を記しておきたい。オリビア・ニュートン=ジョンが1980年にヒットさせた「XANADU~ザナドゥ(Xanadu)」という曲がある。この「Xanadu」と「The Legend Of Xanadu」は同じ「ザナドゥ」なのであるが、何故か「キサナドゥー」と訳されている理由は「in Xanadu(ザナドゥの中で)」という歌詞を聞こえたままカタカナに変えてしまったからである。誰が訳したのかと思ったら何となかにし礼が日本語訳をしており、フランス語が分かるのに英語が分からなかったとは考えにくくどうしてこのように訳してしまったのかいまだによく分からない「伝説」なのである。
 しかしさらに驚くべきシーンはマリ子と友人の会話である。雑誌の記事を読みながら彼女たちはヴァージンを失うのは17歳が一番多いと知り、マリ子が「ヴァージンは減ってるけれど、童貞は増えてるんでしょう?」と問いかけると友人は「男の子の場合は『特定銘柄』が何人もの女の子を奪ってるって訳さ」と答えるのである。本作は最近の作品ではなく1969年の作品であり、要するに最近「草食系男子」などと謳われているが、それは多くの若者が自身が「草食系」であることに恥ずかしさを感じなくなっただけであり、昔から基本的な傾向は変化しておらず、とかく私たちは風俗的事実を忘れがちなのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『泣いてたまるか 日本で一番もてない男』

2015-09-22 00:32:39 | goo映画レビュー

原題:『泣いてたまるか 日本で一番もてない男』
監督:高橋繁男
脚本:橋田壽賀子
撮影:森隆吉
出演:渥美清/佐藤オリエ/野村昭子/砂塚秀夫/花沢徳衛/江幡高志/松村達雄
1967年/日本

 日本で一番モテない男が関わる女性の心の闇の深さについて

 主人公の八田万作は31歳になるが、何度お見合いをしても断られてしまい、その間にも部下たちは次々と結婚していき幸せそうに見える。そんな時に部長から見合いの場をセッティングしてもらい、現れたのは何と社内でマドンナ的な存在である部長の秘書の絢子だったのである。
 盛大な結婚式を挙げて一緒に暮らし始めたものの、社内では余りにも不釣り合いな2人に根拠の無い噂が広まり、絢子が以前男性用の靴下を購入していたことや、新居にあるダブルベッドが独身だった絢子が持ってきたことで、万作が絢子の過去に疑心暗鬼を持つようになっていく。
 ここまで観ていくならば万作が卑屈になってこじらせているように見えるが、クライマックスで絢子は驚くべき告白をする。彼女の亡くなった父親はハンサムで実業界では名の通った会社の重役であったがためにモテて、母親が父親の浮気で死ぬまで苦しんだことで絢子はそのような人生を送るのを避けようと万作のような「女の人にモテない男性」を選んだというのである。自分のことだけを愛してくれる人を求めていたという絢子の言葉を万作は好意的に受け止めて物語はハッピーエンドで終わるのだが、理屈としては理解できるものの、万作のもの以上に絢子の心の闇が深く、『ピース オブ ケイク』(田口トモロヲ監督 2015年)と『映画 みんな!エスパーだよ!』(園子温監督 2015年)からの流れを汲むと完全に「物語」としては破綻しており、これで本当に結婚生活が成り立つのだろうかと思ってしまう。これは脚本を担った橋田壽賀子の皮肉と捉えるべきであろう。
 2人の間に映る葡萄の房は、同年に新潮文庫で出版されたジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』(大久保康雄訳)からインスピレーションを得たように見えるのは穿ちすぎだろうか。


(渥美清と佐藤オリエの斬新なラストカットは
冒頭の渥美清の一人のカットと見比べるべき)


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画 みんな!エスパーだよ!』

2015-09-21 00:13:02 | goo映画レビュー

原題:『映画 みんな!エスパーだよ!』
監督:園子温
脚本:園子温/田中眞一
撮影:神田創
出演:染谷将太/池田エライザ/真野恵里菜/マキタスポーツ/深水元基/神楽坂恵/安田顕
2015年/日本

性欲こそが悪の元凶であることについて

 『ピース オブ ケイク』(田口トモロヲ監督 2015年)同様に本作も「心内語」が駆使されるのは両作品共にコミックが原作だからなのだが、やがて本作においては主人公の鴨川嘉郎が持つ超能力のテレパシーとして表現されることになる。
 鴨川嘉郎を初め、平野美由紀、榎本洋介、矢部直也、永野輝光を中心とした超能力研究者の浅見隆広教授が率いるエスパー軍団が、ポルナレフ愛子を中心として「世界エロ化計画」を企てる悪のエスパー軍団と対峙することになり、エロを醸し出す美少女たちを目の前に、ヴィジュアルに翻弄されそうになるところを実は「実用性」のものであることを暴き出すように彼女たちを一瞬にしてダッチワイフに変えてしまうジュリー・バブコックも浅見教授側に加わり、様相は混沌としてくる。
 クライマックスにおいて嘉郎は美由紀と浅見紗英と共にそれぞれの母親の胎内に入れられ、嘉郎は運命の人を見分けられるはずのメロディーが、いろいろな人に共有されていることを知る。そして嘉郎にとって自分だけは特別だと思っていたポルナレフ愛子でさえ彼の本命ではなく「おかず」でしかないことに愕然とした愛子は戦闘意欲を失うのである。
 ようやく平和が訪れ、嘉郎が改めて自慰をする時、相手の顔は見えそうで見えない。それは誰を思い浮かべて自慰をしようか迷っているというよりも、相手を特定しないことで相手に危害を加えないどころか相手といかなる関係も持たないことで諍いを無くそうとする嘉郎の「優しさ」なのである。この「アンチヒーロー」の物語を『ピース オブ ケイク』と一緒に観ることをお勧めする。とりあえず「ヤる」主人公と比較するならば、とりあえず「ヤらない」主人公の「物語」が歪んでいることがよく分かるのであるが、それは決して本作の出来が悪いということではなく、そのような人物を的確に描写しているということである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする