MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『クローズEXPLODE』

2014-04-30 21:35:59 | goo映画レビュー

原題:『クローズEXPLODE』
監督:豊田利晃
脚本:向井康介/水島力也/長谷川隆
撮影:大塚亮
出演:東出昌大/早乙女太一/勝地涼/柳楽優弥/岩田剛典/永山絢斗/やべきょうすけ
2014年/日本

込み入った物語が深まらない理由について

 主人公の鏑木旋風雄が転校してきた鈴蘭高校で「トップ」を目指さない原因は、それほど強くもなかったボクサーの父親が試合中の事故で亡くなり、母親の鏑木風子によって施設に預けられたことによるトラウマを抱えていたからであり、旋風雄には闘う意味が見いだせないでいたからである。
 おそらくそんな旋風雄がトップを目指そうと方向転換した理由は、年下の1年生の加賀美遼平がトップだった強羅徹を倒した「下剋上」による学内の不安定要素を取り除くという意図があったとは推測できるし、ラストにおいて「リンダマン」こと林田恵に闘いを挑む理由も、「階級」をはっきりさせるためだったとは思うのであるが、やはり旋風雄の心変わりのきっかけが分かりにくいし、そもそも父親から教えられたであろうボクシングの素養があるのだから、旋風雄が勝つことは火を見るよりも明らかで、込み入ったストーリーは確かに「EXPLODE」はしているが、その割には深みが感じられない。


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放射線と鼻血とストレスと

2014-04-30 00:38:37 | Weblog

『美味しんぼ』“風評被害助長”を釈明 スピリッツ側「意図ない」「作者の表現尊重」(ORICON STYLE) - goo ニュース

 28日発売の「スピリッツ22・23号」に掲載された『美味しんぼ』内で、福島第1原発から

戻ってきた主人公らが鼻血や疲労感に襲われるなどする描写は、どうやら原作者の雁屋哲

が実際に福島第1原発の敷地内などを取材した経験を元にしているようで、「帰って夕食を

食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなった」「同行したスタッフも鼻血と倦怠感に

悩まされていた」などと語っているようである。おそらく主人公の新聞社の文化部記者の

山岡士郎を診察した医師が「福島の放射線とこの鼻血とは関連づける医学的知見が

ありません」と答える場面も雁屋の実体験を元にしたものだと思われるが、このような

個人的な体験を描いておくことは将来の検証のためにも重要なことだと思う。被爆と

関係ないとしても見えない放射線によるストレスで鼻血が出るのであれば、放射線が

全く関係しないと断言することは出来ないと思うのであるが。


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『テルマエ・ロマエII』

2014-04-29 00:28:29 | goo映画レビュー

原題:『テルマエ・ロマエII』
監督:武内英樹
脚本:橋本裕志
撮影:江原祥二
出演:阿部寛/上戸彩/市村正親/北村一輝/宍戸開/竹内力/笹野高史/勝矢/キムラ緑子
2014年/日本

 肝心のラストのオチが不発の原因について

 どうしても前作『テルマエ・ロマエ』(武内英樹監督 2012年)と比較して観てしまい、笑いのネタのクオリティーの多少の低下は否めないとしても、よく健闘しているほうではあるだろう。しかし見逃してはならないのはラストのオチである。
 古代ローマ浴場技師ルシウスと別れた山越真実はようやく漫画家として成功を収め、やがて真実のマンガは映画化されることになる。撮影現場を訪れた真実は主人公の「ルシウス」を演じる俳優との初めての顔合わせに挑む。真実の方を振り返った男は典型的なイタリア人だった。その時、遠くの井戸から真美が知っているルシウス(阿部寛)が飛び出してきて、「そいつは偽者だ」と叫ぶというオチなのであるが、このシーンはオチとして正しいのだろうか?
 真実は「本物」のルシウスを知っているのだから、阿部寛が「そいつは偽者だ」と叫ぶことに意味はない。寧ろ、振り向いた男が阿部寛で、井戸から飛び出してくる男が本物の「ローマ人のルシウス」であった時にこそ、このギャグはギャグとして炸裂するはずなのである。現実とフィクションが上手く処理されていないと思う。


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『サンブンノイチ』

2014-04-28 00:10:14 | goo映画レビュー

原題:『サンブンノイチ』
監督:品川ヒロシ
脚本:品川ヒロシ
撮影:相馬大輔
出演:藤原竜也/田中聖/小杉竜一/中島美嘉/窪塚洋介/池畑慎之介☆
2014年/日本

佳作とされるはずの「失敗作」について

 主人公の清原修造(=シュウ)はギャンブルにのめりこんで高配当馬券をモノにしたものの、肝心の店の売り上げ金が入ったセカンドバックを盗まれてしまったことから、同じように借金を背負ったボーイの小島一徳(=コジ)と事業に失敗し破産寸前の常連客である金森健と共に銀行強盗を決行し、警官に追われ、とあるビルに隠れており、手に入れた1億6千万円を巡るストーリーが展開される。
 本作はクエンティン・タランティーノ監督作品というよりも、寧ろスティーブン・ソダーバーグ監督作品に作風が近いと思うのであるが、私が気になったことはストーリーの展開そのものよりもラストシーンである。シュウが雇われ店長として働いていた、川崎にあるキャバクラ『ハニーバニー』のオーナーの破魔翔に見つかった3人は、彼の下で働くことになる。散々逃走を試みようと試行錯誤しながらこねくり回した話としてはあまりにも呆気ないエンディングで、失敗作なのではないのかと思ったのであるが、この銀行強盗の「ストーリー」を考えているのがシュウであるという点を見逃してはならない。何故ならばシュウは元々映画監督志望であり、最後で明かされるようにシュウの才能を認めてくれたのは破魔翔だったはずなのである。だから3人をモニターで観察しながら破魔翔が「おまえら映画好きは何故か自分以外の人間には映画を見る目が無いと思っている。自分では1本だって1分だって1秒だって撮ったことがないくせに、やれカット割りがどうだ、役者がどうだと語るんだ。そのくせ他人の映画論は右から左だ。」と語るセリフは品川監督の個人的な恨みというニュアンスは無くはないであろうが、破魔翔がシュウに向けて語っていると捉えるべきであろう。破魔翔が好きな映画として『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督)を挙げているように、このような時間が交錯するような作品に対して目利きであることは間違いなく、実際に、シュウが練りに練った銀行強盗の「脚本」は破魔翔によって「解かれて」しまい、逃げ切ることが出来なかったのだから、破魔翔の言う通りで、破魔翔の下で「ギャング映画」監督に挫折したシュウが何をさせられるのか語られなかった理由もそこにある。
 しかしそのように解釈すると、私たち観客は、シュウの「失敗作」を観させられていることになる。私は構わないと思うし、一癖もふた癖もある役者たちのキャスティング時点で既に成功しているようにも思えるのだが、本作のような娯楽作品をマジメに観る宇多丸は不満らしいよ。


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基本を知らない理研の学者

2014-04-27 00:09:31 | Weblog

小保方氏との違い強調…調査委員長辞任の石井氏(読売新聞) - goo ニュース

  STAP細胞の論文問題を調べていた理化学研究所調査委員会の石井俊輔委員長が

2008年に英科学誌ネイチャーと関連の医学誌「オンコジーン」に掲載された乳がんの

遺伝子に関する自身の論文において「論文の説明順に合わせて、遺伝子解析の実験結果

を示す画像を切り貼りし、並べ替えた」ことを指摘された際に、「私の論文は、一つの実験の

結果を見やすく整理していた」と説明することで、条件の異なる別々の実験で得た画像を

切り貼りした小保方晴子ユニットリーダーとの違いを強調したようだ。石井は「10年前

なら結構多くの人がやっていて、許された状況があった」と釈明しているようだが、

10年前でもダメだったと思う。何よりも「多くの人がやっている」から自分もやる

という根性が科学者としてダメである。最初にオリジナルデータを提示して、画像に関して

疑問を呈された後に、説明を分かりやすくするために加工データを示すべきなのであり、

理研の研究者はいつも順序が逆なのである。


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『L・DK』

2014-04-27 00:08:54 | goo映画レビュー

原題:『L・DK』
監督:川村泰祐
脚本:松田裕子
撮影:北山善弘
出演:剛力彩芽/山崎賢人/桐山漣/石橋杏奈/中尾明慶/岡本玲/福士誠治/白石美帆
2014年/日本

ポップな「心の傷の癒し方」の弱さについて

 作風は全く違うが本作の根幹となるテーマは『そこのみにて光輝く』(呉美保監督 2014年)と同様に主人公の「心の傷の回復」であろう。クライマックスにおいて西森葵は柊聖の代わりに三条亘と花火大会でデートをするのであるが、土壇場になって葵は亘を置いて公園を後にしようとした際に、葵を追いかけてきた柊聖と再会すると同時に最後に上がった花火は、『そこのみにて光輝く』のラストで光輝く太陽を想起させる。もちろん花火というポップさが本作の作風を象徴しているのであるが、あまりにも都合よく進行していくストーリーに、同級生の男性を背中に担いで歩いていく「剛力」ぶり以外に、観賞後に一体何を観ていたのか思い出すことが極めて難しい作品となっている。


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『そこのみにて光輝く』

2014-04-26 22:43:34 | goo映画レビュー

原題:『そこのみにて光輝く』
監督:呉美保
脚本:高田亮
撮影:近藤龍人
出演:綾野剛/池脇千鶴/菅田将暉/高橋和也/火野正平/伊佐山ひろ子/田村泰二郎
2013年/日本

 他者と関わることの功罪を照らす光について

 青森に住む妹の手紙を無視して主人公の佐藤達夫が仕事もせずに昼間から街をさまよっている理由は、仕事場において自身のせいで同僚を死なせてしまったためで、誰とも関わらないつもりでいたものの、パチンコ屋でタバコを吸うためにライターを借りようと声をかけてきた大城拓児に向かって、ライターを放り投げて追っ払うつもりだったにも関わらず、それでもライターを拾って気安く声をかけてくる拓児にうかつにも気を許したことから達夫は再び人間関係に苦しむことになる。
 拓児の家はバラック小屋で、寝たきりだが性欲だけは人一倍強い父親と、そんな父親の世話をする母親と、姉の千夏が一緒に住んでいた。その千夏とはやがてバーで酔った状態で最悪の再会を果たし、翌日、気まずいながらもバラック小屋に行って千夏に会う。ぎくしゃくしながらも2人は惹かれ合うことになるのだが、達夫が関わることで、歪んでいながらもかろうじて生活が成り立っていた大城家は「崩壊」していくのである。
 ラストにおいてその「崩壊」は達夫が関わっていたことで最悪の事態は逃れる。その時、達夫と千夏を照らす光を私たちはどのように受け止めればいいのか、的確な言葉が見つからないのであるが、方言のせいなのか時々セリフが聞き取れない難がある。最後に父親は何と言ったのか?


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下っ端の自覚がない財務相

2014-04-26 20:56:50 | Weblog

麻生氏のオバマ大統領めぐる発言、官房長官すぐ火消し(朝日新聞) - goo ニュース
「麻生流説明、問題なし」=菅官房長官(時事通信) - goo ニュース

 麻生太郎副総理兼財務相が25日午前の閣議後会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)

交渉について、「どのみち11月の(米国の)中間選挙まで答えは出ない。国内でオバマが

全部まとめきれるほどの力はないだろう」と述べている。不機嫌そうに喋っていた麻生が

誰に向けて言ったのか定かではないが、麻生の集票になるとしても国益になることはなく、

「オバマが全部まとめきれるほどの力はない」のと同様に安倍首相にも全部まとめきれる

力はないのだからお互い様である。さっそく菅義偉官房長官が25日午後の記者会見で

「オバマ大統領といえども、選挙も控える難しい政治状況の中で、いかに交渉が難しいかと

麻生さん流に説明したんだろう」と麻生を庇っているが、庇うに足りるだけの人材だろうか


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20歳のカナダ人の歴史認識

2014-04-25 23:51:09 | Weblog

ジャスティン靖国参拝を謝罪 中韓から非難殺到で写真も削除…お忍び来日中(デイリースポーツ) - goo ニュース

 大麻吸引や無免許飲酒運転や暴行で逮捕されるなど相次ぐ非行で物議をかもしている

ジャスティン・ビーバーではあるが、たまたま運転手に導かれて訪れた『美しい風景の神社』

に「Thank you for your blessing(神のご加護に感謝いたします)」としたら大ブーイングを

受けるとは予想もしていなかったであろう。23日には中国外務省の秦剛報道局長が

「日本の軍国主義の歴史を理解するよう期待する」と会見で遠回しに批判したようだが、

20歳のカナダ人に日本の歴史を勉強しておけと批判するのは酷というもので、14歳から

プロの歌手として働いておりまともに学校に行くこともままならないのだから、アジアの国

どころか自国の歴史さえ疎いはずなのだから、気の毒としかいいようがない。


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『アメイジング・スパイダーマン2』

2014-04-25 22:13:29 | goo映画レビュー

原題:『The Amazing Spider-Man 2』
監督:マーク・ウェブ
脚本:アレックス・カーツマン/ロベルト・オーチー/ジェフ・ピンクナー
出演:アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン/ジェイミー・フォックス/デイン・デハーン
2014年/アメリカ

守り切れない「個々」の問題について

 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ監督 2014年)が「組織」 の可能性を描いているとするならば、本作は「個人」の問題を描いていると言える。
 例えば、作品冒頭で主人公のピーター・パーカーの両親の顛末が描かれているのであるが、息子を守ろうとリチャード・パーカーと妻のメアリーのとった行動はピーターには理解されておらず、親に捨てられたというピーターの心の傷になっている。ピーターが、大企業オズコープ社の御曹司であり幼なじみでもあるハリー・オズボーンのためにとった行動も、後にエレクトロへと変身するマックス・ディロンのためにとった行動も彼らに誤解されることになり、ついには恋人のグウェン・ステイシーをも喪うことになる。大局的に見るならばスパイダーマンはニューヨークの平和を守っているようだが、個々を見ていくと必ずしも守り切れてはいないのである。この問題は続編でさらに追及されることになるであろう。


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