原題:『クローズEXPLODE』
監督:豊田利晃
脚本:向井康介/水島力也/長谷川隆
撮影:大塚亮
出演:東出昌大/早乙女太一/勝地涼/柳楽優弥/岩田剛典/永山絢斗/やべきょうすけ
2014年/日本
込み入った物語が深まらない理由について
主人公の鏑木旋風雄が転校してきた鈴蘭高校で「トップ」を目指さない原因は、それほど強くもなかったボクサーの父親が試合中の事故で亡くなり、母親の鏑木風子によって施設に預けられたことによるトラウマを抱えていたからであり、旋風雄には闘う意味が見いだせないでいたからである。
おそらくそんな旋風雄がトップを目指そうと方向転換した理由は、年下の1年生の加賀美遼平がトップだった強羅徹を倒した「下剋上」による学内の不安定要素を取り除くという意図があったとは推測できるし、ラストにおいて「リンダマン」こと林田恵に闘いを挑む理由も、「階級」をはっきりさせるためだったとは思うのであるが、やはり旋風雄の心変わりのきっかけが分かりにくいし、そもそも父親から教えられたであろうボクシングの素養があるのだから、旋風雄が勝つことは火を見るよりも明らかで、込み入ったストーリーは確かに「EXPLODE」はしているが、その割には深みが感じられない。