原題:『妖精の詩(Mio)』
監督:羽仁進
脚本:羽仁進
撮影:マリオ・マシーニ
出演:羽仁未央/ラファエル・カスート/ブリジット・フォッセー/アルフレッド・マルファッティ
1971年/日本・フランス
『禁じられた遊び』の「後日談」について
本作が『禁じられた遊び』(ルネ・クレマン監督 1952年)に多大な影響を受けていると思われる理由は、『禁じられた遊び』の主人公のポーレットを演じたブリジット・フォッセーが本作に出演しているのみならず、『禁じられた遊び』のラストシーンで修道女に街へ連れてこられた首から名札を下げられたポーレットを真似るように、本作の主人公であるミオが首から名札を下げられて修道女によってイタリアのサルジニア(サルデーニャ)島へ連れていかれ、まるで「後日談」のように描かれるからである。
イタリア語が全く理解できない7歳のミオは当初孤児院でいじめに遭うのであるが、言葉を理解するようになると子供たちと「戦争ごっこ」などで遊ぶようになり、ラファエルというボーイフレンドもできる。
ところがアントニオという男が密輸の容疑で警官に逮捕され、ラファエルの父親のマルファッティたちが抗議するようになってから島の雰囲気が険しくなってくる。さらにカーニバルの最中にミオの保母だったブリジット(ブリジット・フォッセー)がアントニオを舟に乗せて島からの逃走に手を貸したことでマルファッティと共に逮捕されてしまう。この事件で孤児院を運営している教会の修道女たちは激怒し、ブリジットは「絞首刑」に処せられ、さらに保母のティナに命じて教育方針が厳しいものになる。ラファエルはマルファッティ夫人と共に島を追われ、ミオは最後にラファエルと濃厚なキスを交わした後に、愛犬のシィシィと共に孤児院を出て行くのである。
おそらく最初に子供たちが遊んでいるところを長回しで撮った後に、子供たちのシーンを編集しながら後から大人に演技をさせてストーリーらしきものを作り上げていったように思う。『禁じられた遊び』と本作を連続して観ると新たな発見があるかもしれない。