MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『主任警部モース』

2020-02-03 12:55:46 | goo映画レビュー

 先日までNHK-BSプレミアムで『主任警部モース HDリマスター版』が放送されていたのであるが、例えば主人公のモース警部(ジョン・ソウ)を水谷豊、部下のロビー・ルイス巡査(ケヴィン・ウェイトリー)を反町隆史、病理医のマックス・デブリン(ピーター・ウッドソープ)を六角精児と見做すならば、これはテレビ朝日の『相棒』と同じで、要するに『刑事コロンボ』が『古畑任三郎』になったように『主任警部モース』を翻案したのが『相棒』なのである。


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『ロマンスドール』

2020-02-03 00:54:27 | goo映画レビュー

原題:『ロマンスドール』
監督:タナダユキ
脚本:タナダユキ
撮影:大塚亮
出演:高橋一生/蒼井優/ピエール瀧/きたろう/渡辺えり/大倉孝二/三浦透子/浜野謙太
2019年/日本

「ブス」の存在を認めない「ロマンス」について

 一見するならば良い話のように見えるのだが、冒頭とラストシーンが気になる。ストーリー展開は冒頭から一気に10年前にさかのぼり、美大を卒業した主人公の北村哲雄が先輩に騙されたような感じでラブドールの制作工場「久保田商会」に就職することになる。
 やがてシリコン製のラブドールを作ることになり、当時哲雄と上司の相川金次は2人とも女っ気がなく、胸部のリアリティーを再現するために美大の伝でモデルを頼むことになりやって来たのが小沢園子で、その日の内に告白した哲雄はまもなくして園子と結婚することになる。
 ラブドールを制作するということは理想の女性を生み出すということであろうが、仕事が忙しくなっていくうちに哲雄と園子の関係がぎくしゃくしてくる。転機は園子が胃がんを患っていることを哲雄が知ってからであるが、園子の胃がんは転移しており、医師からはターミナルケアを勧められる。
 哲雄は園子をモデルにしたラブドールを制作する決心をし、それから毎晩のように2人はセックスをするようになる。冒頭のシーンはそのような状況の中で2人がセックスをしている時に、園子が腹上死する場面なのである。哲雄に拠るならば園子は「スケベで良い奥さん」だったようだが、それは哲雄も同じなはずで、末期がんを患っている園子が疲れを知らないそそり立つ男根を相手に「腹上」以外のどこで死ねるというのだろうか?
 そこで気になるのがラストシーンなのである。ラストで哲雄は海辺で騒いでいる高校生たちと遭遇する。彼らは捨てられたソフトビニール製のダッチワイフを見つけて騒いでいたのである。哲雄が説明しているところに担任の先生が来て生徒たちは逃げていった後、哲雄はその「すげえブス」のダッチワイフを引きずりながら浜辺を歩くのだが、末期がんを患っていた園子自身がそのように捨てられたダッチワイフのようにやつれ果てていた可能性はあったのである。本作においてはやつれたと言ってもせいぜい園子がしている結婚指輪がゆるゆるになっているという程度の描写で、そうなると哲雄は園子が「ブス」になる前に「腹上死」させたような気もしなくはないのである。哲雄が制作したラブドールが今日存在できるのは「ブス」のダッチワイフの存在があってこそで、色々な意味で「ブス」に対する敬意が全く感じられないのである。


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