寮管理人の呟き

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廣島縣警察史

2016年03月16日 | 書籍
何気なく手に取った本が大当たりだったことを私は何度も経験している。つい最近見付けた価値ある文献(発行は大東亜戦争勃発前)について紹介したい。「第五節 備後中津領の警察」には近代司法警察が果たした役割についての詳しい記述がある。

 小畠代官所裏庵寺の下に牢屋を築き(現に牢屋敷と呼ぶ)法度に觸れ罪を犯したる者は入牢は懲誡し、重罪にありては中津藩の指揮を待ち或は奉行出役して打首の刑に處することも往々あり、明治四年放火罪に依り打首にせられたる男一人あり、牢締方龜太郎牢屋より引出し小畠蝙蝠橋河原に連れ來り頭なき肴を以て最後の酒を飲ましめ、代官以下假小屋に列座し近在の老若男女環視せる中にて牢番人榮三郎、目隱後手にしたる罪人を一刀の下に斬り捨て、首を洗つて掌上に載せ目付佐竹嘉六の面前に差出し檢分を乞ふ、目付は「見事々々」と云いて檢分濟となり杓の柄を切りて首と胴とを繫ぎ遺族に引渡せり。

小畠代官所の跡は現在神石高原町役場になっているが、中津藩の飛び地になる前は福山藩の所領(水野家時代)だったことを知らぬ人が多いらしい。時代が変わろうとも国の治安維持は最も重要な仕事の一つである。また極悪人を法で裁き仕置(し記録を残して万人が閲覧できるように)することも同様だ。

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