正吉君には、元々はバイク(モトクロス)をやらせるつもりで、1歳半の時にキックバイクを作ってやり、3歳になる前に12インチ自転車を買ってやったりした。が、俺自身の都合やらナンやらで、現在はBMXを楽しんでいる正吉君。
BMXは自転車に乗れれば誰でもできるので、レースに出るのももっと敷居が低いのかと思ったら、マジメにやるにはかなり大変な事が判明。
モトクロスの場合は(特に俺の地域の場合は)、地元にも何箇所も走る場所があり、同じような年齢のキッズもたくさん走っている。
しかし、BMXの場合は、そういった環境が身近にほとんど無いのだ。
そして、シリーズ戦に出場しようとすると、新潟、埼玉、茨城、広島にまで出向かなければならない。
金の問題なら何とかするが、時間的な問題だけはどうしようもない。
情報交換できるような仲間もいない、専門ショップも近所にない。
まあ、半端にしかやる事ができなかったとしても、正吉君にとっては何かの足しになるはず。
最近になって同い年の仲間も出来てきた事だし、ようやく光がみえてきたような・・・そんなトコロである。
BMXの公式なレースには、5歳になれば出れる。基本、必ず20インチの自転車に乗ることになるので、5歳児用に「マイクロミニ」というフレームサイズが用意されている。
ただ、全国を転戦するわけでもないので、そこまで買うのは・・・ゴニョゴニョなのだ。
かといって、現在の12インチ自転車だと、出れるレースが無い。
それらを一気に解決してくれるかもしれないチャンスがやってきた。
地元のショップが作り上げたMTBコースのオープニングイベントで行われるキッズレース。
このショップは、存在だけは元々知っていて、数度店に行ってみたり電話したりしてみたのだが、タイミングが悪いのか一度もコンタクトが取れたことが無いという・・・(笑)。
コースの場所は「オフ・ザ・ワールド鶴里」のかなり至近距離。
到着してビックリ。いちショップのイベントとは思えないほどのスタッフ数と、来客数。
コースもかなり気合が入っている。地元企業から場所の提供を受けているとの事。
最初に、ショートダウンヒル。
こちらには俺もコッソリとエントリー(笑)。
「BMXでもOK」との説明を真に受けて、埃まるけのGIANTを引っ張り出すのは止めてBMXにしたのだが、正直なところかなり後悔した。
BMXはまるでブレーキが利かないので、加速してしまわないようにブレーキは引きずりっ放し。子供以外のエントラントではBMXは1台もおらず、まるっきりオチャラケになってしまった(笑)。
さて、いよいよ正吉君の出るキッズレースである。
キックバイクとペダルバイクの2クラスに分かれており、正吉君の出るペダルバイクの方はみんな16~18インチか、中には20インチのBMXレーサーの子までいるという状態。その中、正吉君とライバルのショーマ君だけ12インチ。まあ、これは結果には期待しない方が良さそうだ。
練習時間はたっぷりとあり、正吉君もいつものようにグルグルと走り回った。
実は正吉君には、事前に「レースに出るんだぞ」とは説明していなかった。これは、やった事がないことをやるのを非常に嫌がる彼の性格を考慮しての事。だが、本番前にエントラントの召集が掛かった時、正吉君もいよいよ何かが始まるのが分かったのだろう、ちょっとグズり気味になってしまった。
そこは何とか宥めすかして、出走順に並ぶ。真後ろのフルフェイス&オフロードウェアがライバルのショーマ君。正吉君はカジュアルルック(笑)。グローブは軍手だ(笑)。
並んでいる子の中には、その場の雰囲気に飲まれてギャーギャー泣いて嫌がっている子もおり、ちょっと緊張感が高まっていた。
レースといってもダウンヒルなので、一人ずつ走ってのタイム計測となる。ちなみに計測をするのは、なんとワキタソフト。
コースエリアは20m四方くらいの傾斜地の中にギャップが作られており、かなりタイトなターンが3箇所ある。
コースサイドは子供達の親をはじめとして参加者で埋め尽くされ、大人のレースの時よりも盛り上がりを見せていた。
正吉君の出番が近付いてきた。
「ゆっくり走って、ボヨン、ボヨンてやるんだぞ。」(“ボヨンボヨン”とは、俺と正吉君の間ではPUSHの事を指す)って言ったら、今まで見た事の無い大人びた表情で頷いたので、ちょっとビックリした。なんか、ガマンしているような、覚悟を決めたような。
いよいよスタート。いつもみたいにシャカリキに漕いだりせず、リラックスした雰囲気で下っていく。
それでも1つ目のターンを終えた頃にはかなりスピードに乗っており、ギャップの度にフロントが上がり、周りからどよめきが沸き起こる。
最もタイトな2つ目のターンを器用にクルリと回ると、大きな歓声が。
そして、無事ゴール。
まあ、それでもさすがに大きい子には勝てないだろうと思っていたのだが・・・。
何と、3位入賞!!!
明らかにスピードの速かったBMXレーサーの子がコケちゃったので、タナボタ。運も実力の内、正吉君は何かを持ってるって事か(笑)。
ライバルのショーマ君はストライダーとペダルバイクのダブルエントリーで、ストライダーでは優勝。ペダルバイクでは見た目では正吉君よりもはるかにアグレッシブな走りだったのだが、正吉君は力まずに走ったのが良かったのかね。BMXではあまり言われない事だが、モトクロスを意識している俺は正吉君に密かに8の字の練習をさせている。これがコーナーワークに繋がったかな、と。
表彰台に立った正吉君は、メッチャ喜んでいた。
賞状の名前が、何故か俺の名前になっていたのが残念である(笑)。
スロープスタイルのショー。
とんでもない所からカッ下って来て、垂直カタパルトのジャンプで技を決める。
写真は練習走行時のもので、本番はもっと派手なパフォーマンスだった。
写真撮ってると眼には焼き付ける事ができないので、。
ダート系の自転車、とりわけジャンプ系は、とにかくマイナーな存在だそうだ。そりゃそうだ、ダートジャンプなんてそうそうやる場所がない。
日本人でダートジャンプの第一人者といえば、俺でも知ってる栗瀬裕太。
マングースのサポートを受けている栗瀬裕太のBMXのフレームは、俺のBMXと同じだ(笑)。
山1個の土地を協力する地元企業の社長。
beddoというフレームメーカーのチームがパフォーマンス。
栗瀬裕太にカブる正吉君。
正吉君もバックフリップやらスーパーマンやらを見て、大層驚いた模様。(※技の名前ね)
何かに感動をするのは、人生のエネルギーになる。
全てのプログラムが終了してからも、正吉君は電池で動くオモチャみたいにグルグルと走り回る。
あんまり楽しくて尿意をわすれてしまったのだろう、突然お漏らし(爆)。生まれつきシモが弱いのか、いまだにこんな事がちょくちょく。
まあ、坂本龍馬も9歳まで寝小便していたらしいし、気長にかまえるか。
帰り道、正吉君は、クルマが走り出して数秒で寝てしまった。