「山と渓谷」の中で、感動した山関係の小説の中に本書があり、読んでみた。
裏表紙の宣伝文句が、すごい。「人生を織りなす、瞬くような時間。恩寵に満ちた心ゆすぶられる物語。」ある男の人生を淡々と描いているだけの小説だ。
簡単にストーリーを言うと、生まれて、母親が亡くなり、親戚に引き取られるが、何かあると鞭で打たれるような厳しい環境だった。やがて、成人して、妻との幸福な生活を得るが、雪崩により、妻は帰 . . . 本文を読む
ボブ・ラングレーは、読んで、外れがない作家の一人だ。
この作品も、中々、面白かった。
BBCの新会長が誘拐され、提供するフィルムを無修正で流すことが求められる。
この新会長以外でも、最近、男女4人が誘拐されている。
また、登山用具店を開いて、気ままに山に登っている元レポーターが指定される。と、ここで、山が絡んでくる。
この誘拐犯は、お金目的ではなく、誘拐した4人を山の中に放して、追いかけ . . . 本文を読む
著者の冒険、著書に興味を持ち、ノンフィクション大賞受賞の本書を読んでみた。現代における冒険とは何なのかと問いかけながら、北極の極夜旅行に出る著者の記録だ。季節によって一日中太陽が昇らない状態(真っ暗闇)が続く中で、約3か月を犬と過ごすのだ。
太陽が出ても、良い景色があるわけではない北極圏で、さらに真っ暗なのだから、これは、精神的に拷問に近い世界ではないかと想像する。
単調な旅行記録になるのでは . . . 本文を読む
また、新田次郎の著書を手にとった。10篇の短編集だ。
どれも、冬山などで、ちょっとした判断ミスや、人間関係などから遭難に陥った物語をつづっている。
従って、何となく、暗い、寒々しい物語が続き、すっきりした気持ちになれなかった。ただ、解説者の角幡唯介氏の解説を読んで、なぜか気になった。探検家であり、ノン・フィクション作家であり、新田次郎賞も取った人とのことだ。
自分が実際に雪崩に巻き込まれたこ . . . 本文を読む
ボブ・ラングレーの本をまた手にとった。どうも、相性が良いといおうか、文体及びストーリーが気にいっているのだ。
この小説の表題からすると山岳小説のように思えるが、実際には、スパイ小説か冒険小説と言える。
チベット自治区で、死んだと思われていたCIA工作員が生きて、いまだに、中国軍と戦っていることがわかる。
この工作員を止めるために、山岳家であり、TVプロデューサーでもある妻が、チベットに行って . . . 本文を読む
新田次郎の「ある町の高い煙突」を読んだ。茨城県日立市の日立鉱山の銅山からの煙害撲滅と闘った青年の実話を元に作られた物語だ。
非常に新鮮に感じた。まだ、大正の時代に、155mもの当時世界でもっとも高い鉄筋コンクリート作りの煙突を立てたのだ。
当時、日本には、このような高い煙突を立てる技術もなかったようだ。
また、莫大な費用がかかり、完成しても、100%煙害を撲滅できるか、保証はない中で、日立鉱 . . . 本文を読む
久しぶりに新田次郎の本を手にとった。たぶん、同じ作家でこれほど読み込んだ作家はエラリー・クイーン以来かも知れない。
15作品くらい読んだことになるが、できれば、全部読んでみたい気になるものだ。さて、今回の風の遺産は、新田次郎全集にも入ってない古い作品で、人妻の恋愛を描いた異色の山岳小説だ。
人妻の恋愛と言えば、すぐ、不倫という言葉が浮かんできてしまうが、そうでもない不思議な作品だ
ただ、二人 . . . 本文を読む
ラインホルト・メスナーの最高傑作とも言われる本書を読んでみた。
ラインホルト・メスナーとはどんな人間なのかを知りたいためだ。
驚いたことに、5歳の頃から、父親に絶壁の山登りの英才教育を受けていたとのことだ。
そして、ご存知の通り、8000M級の山々を単独で登山しはじめる。特に、このナンガ・パルバートは、3度目の挑戦であり、その難易度は、非常に高かった。
その中で、メスナーが、やり遂げるまで . . . 本文を読む
最近、山岳小説が多かったので、読み応えのあるノンフィクションを読みたくなり、この本を手にとった。
これだけ、克明に記録した遭難記録はないのではないかと、思える作品だった。
実際に遭難した登山家であり、かつ、英文学の修士も取得する著者が書いているのだ。普段から、暇さえあれば、日記をつけているようだが、まさに、死にそうになり、もうろうとしながら、奇跡的に自力で降りてきた著者であるから、思い出しなが . . . 本文を読む
山岳冒険小説の最高峰とまで言われる「北壁の死闘」を読んだが、これは、最高峰、比類なき傑作と言うにふさわしい作品だと思った。
まず、アイガー北壁で氷漬けのナチ軍人の死体が発見される。首には、女性の写真の入ったロケットと、名前入りの勲章が付けられていた。
第二次大戦の末期に、原子爆弾の開発をめぐってナチ・ドイツが、精鋭のクライマーを集めて、スイスで研究中の科学者を確保するための作戦を展開する。
. . . 本文を読む
南アルプスの山中に台湾マフィアが現金20億を積んだヘリコプターが墜落。それを、首になりかけた刑事、台湾マフィアから狙われる一匹オオカミ、台湾マフィアの殺し屋が壮絶なるサバイバル戦に出るとある。
540ページからの長編であり、第一部の200ページくらいは、あまり、山には関係なく、長く感じた。
また、登場人物に善人がいないのである。すべて、悪人であり、救いようがない。しかも、皆、暗い過去があるのだ . . . 本文を読む
これは、警視庁北多摩署特捜本部のシリーズものだ。
ウマさん、相馬刑事は、他のシリーズもので脇役を演じているが、このシリーズでは主役になっている。
この作品は、シリーズ2作目だが、なかなか面白かった。
次から次に起こる事件が複雑に関連してきて、独自捜査で、一人、追っていた相馬刑事が一気に解決してしまうのだ。
まさに、スーパーヒーロー的で、警視総監賞を得るのだ。
だが、最後は、車で山のロッジ . . . 本文を読む
太田蘭三の顔のない刑事シリーズを読んでみたく思い、第一作があくのを図書館に予約して待っていた。
ようやく読むことができた。
「顔のない刑事」とは、最後のほうで、警察手帳を持ってない刑事のことだとわかるのだが、このシリーズの2作目以降は、どうなるのだろうか?
思いのほか、複雑に絡み合ったストーリーなのに、ちょっと、驚いた。
登山シーンも、それなりに、多く、面白く読めた。
ただ、脱獄山脈の奇 . . . 本文を読む
山岳小説を多く書いている樋口明雄氏の著書を読んでみた。
著者は、標高750メートルの南アルプスに住んでいるという。
山梨県警南アルプスの山岳救助隊で犬をハンドルする女性が主人公なのだが、空手では全日本クラスで、相棒の犬に何かがあると、節度を失うという。
本作でも、その追跡劇はすごい。007か、ミッションインパシブル並のアクションシーンだ。自分の車も全損になってしまう。
そのテンポの速さに、 . . . 本文を読む
松本清張の映画化作品集3に、「遭難」という短編集があるので読んでみた。
どれも映画化されたものばかりなのだろうか。
山岳ミステリーとしては、「遭難」だけだが、山岳ミステリーの先駆けとして、非常に面白かった。
また、「天城越え」など、少し、山が舞台になっているものもあった。
どれも個性にあふれており、松本清張の多才さに驚くばかりだった。
少しも、古さを感じさせなかった。
1909年生まれ . . . 本文を読む