14編の山岳小説の短編集だ。
長編の「孤高の人」を読んだ後だと、ちょっと、
物足りなさを感じないこともなかったが、どれも、
面白かった。
しかし、一つ、ユニークな作品があり、印象に
残った。それは、「涸沢山荘にて」だ。
何しろ、主人公の、チーコとジョージなのだが、
タレントのリュウチェル、ペコのような二人組が、
軽井沢とまちがえてテニスラケットを持って、涸沢に
登るのだ。
そして、雪崩にあい、持っていたテニスラケットが
埋まった雪から出てたために助かる。という
まさに、お笑いなのだ。
最後の言葉が良い。
「おじさん。カルイサワて怖いところね。でもよかった。
ラケットを持ってきて。」
こんな小説を書ける新田次郎、恐るべし。
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