スペインの作家の作品だ。アマゾンのミステリーの中でも、これ以上の作品は、
存在しないとまでの、最高の評価をしている人もいる。
ミステリーというよりも純文学に近いという人もいる。
ミステリー好きだから読んだのだが、連続殺人事件などに食傷気味だった自分
にとっては、まさに、うってつけの新鮮な作品だった。
まずは、文体だ。驚くべき表現力といえる。スペイン語からの英訳なのだろうが、
そうとは感じないほど美しい英語表現に驚いた。翻訳者も素晴らしかったのかも
知れない。
読みやすく感じる時と、正直言って、冗長で、読みにくく感じる時もあり、読み切る
のにかなり苦労した。
それから、醸し出す雰囲気だ。何とも言えない雰囲気があるのだ。
ストーリーは、ある少年が、ある1冊の本に出会うことから始まる。
謎に満ちた作者を追い求めるうちに、この少年は、いつしか、自分の
人生と交錯していき、自分の人生、そのもののようになっていってしまう。
後半の50ページほどは、圧巻である。
日本の好きな作家で、自分をミステリー作家と読んでほしくない。自分は、
人生を描きたいのだからというのを聞いたことがある。
この作品を読むと、ジャンルをうんぬんするのが恥ずかしくなる。全世界で
ベストセラーになったことから、国や人種や言語を超越しているのかも知れない。
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