ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

剣聖(乱世に生きた5人の兵法者)

2014年10月31日 | 時代劇はミステリー

下記、5人の作家による5人の兵法者の短編集だ。

1.上泉伊勢守(池波正太郎)

2.塚原卜伝(津本陽)

3.宮本武蔵(直木三十五)

4.佐々木小次郎(五味康祐)

5.柳生石舟斉(綱淵謙錠)
 
寄せ集めなので、長さはまちまちだ。一番目は120ページ
くらいの中編だが、他は、30-50ページの小編になる。
 
1.の上泉伊勢守が一番、面白かった。また、5人の
なかで、唯一、どういう生涯を送ったか知らないという好奇心も
手伝ったのかも知れない。
上泉伊勢守は、戦後時代の武将であったが、後年、兵法者に
なり、新陰流の創始者でもある。
 
2.の塚原卜伝も面白かった。津本陽は、剣道3段、抜刀術5段
ということで剣戟シーンには定評があるらしい。
 
3.は、むしろ、作家に興味があった。何しろ、その業績を記念して
直木賞が生まれたが、作品など読んだことがないからだ。
43歳で亡くなったこの作家の遺稿になるのだが、中々、味わい
のある書き方だった。
二刀を使うのは重たくて疲れるので、武蔵は、片手でも使えるように
鍛錬のために使っていただけで、実際の試合で使っていたわけではないという。
 
4.この佐々木小次郎も中々、面白かった。特に、巌流島で
武蔵と対決した時、佐々木小次郎は、69歳くらいのおじいさん
だったというのだ。衝撃を受けた。武蔵は、30代の元気盛りである。
また、有名な「ツバメ返し」も、本当は、「虎切り」という技だという。
何故、物干し竿の剣を使っていたかというと、師である富田勢源が
小太刀の使い手だが、長い剣でないと相手にならないので、だんだん、
長くしていったらしい。
 
5.残念ながら、1.の上泉伊勢守から、柳生に新陰流は
伝わっているので、同じ内容も含んでおり、ちょっと、残念だった。
 

 

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