トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

つなぐべき命残して秋立ちぬ

2018-08-09 | 感じるままの回り道
 西の段に連なる擂鉢状の谷は孟宗竹で覆われていた。竹が侵入する前は杉林だったのだけれど背比べで負けた杉は立ち枯れて痕跡さえも無い。
 この谷斜面は植樹するのも難しいから竹と実生樹の混成林にする予定だったが、環境教育NPOが「利用させてほしい」との話があり谷底平坦面から北側を利用させる事で承知したのだが、十数年経った現在は、なし崩しに竹の伐採が進み見るも無残な風景になってしまった。
 日当りも良く等高線状の段々畑跡で北側の南向き斜面を譲ったのに具体的活動計画が無いようで「侵入竹除伐」の一点でボランティアや竹切り体験などを催し、破砕機で粉砕してしまった。これではタケノコ掘りさえ出来ない。

 事務スタッフの話では「伐り過ぎた」の意見も出ているとかで「あにはからんや」ではある。竹の切り方も胸高位置で切断してあり、そのうえ節に水が溜まるコップ切りなのだ。これでは雨水が溜まれば蚊の発生源になるだけだけれど、トンボの餌になるだろうから目をつぶる。

 急斜面で切り口が高いので、移動する場合の手掛かりに丁度良いのだが腐食すると危なくなる。容易に折れてしまうのだ。そのうえ徐竹して日当たりが良くなると夏草は一斉に伸長する。こうなってしまうと刈り払い機での作業は不可能で、造林鎌も使えず手鎌でボチボチと刈らざるを得なくなってしまうのである。

 その手間暇・難儀を予想できる会友は皮肉交じりに「楽しみに見ていく」などとのたまうけれど、小生の感想は当初に戻っての「信義則も無い輩だし…」に尽きるのだ。信義則や紳士協定さえ維持できない輩ではビジョンや「木を観て山を観て」のフイードバックなどあるはずもない、が持論になっている。

 さて、吐乱譜や吐与太話は横に置いて竹材粉砕作業の結果、竹林跡には竹チップの層が出来た。これにカブトムシが大量に発生するから8月ともなるとカブトムシの死骸が至る所で目に付く。まるで「山行かば草蒸す屍」そのもので、虫一匹の外殻と言えど手に取ると結構腐臭がする。手のひらに並べると個体差が大きいのが良く分かり、産卵床に恵まれたとは言え育つ苦労も見え隠れしてくる。

  カブト首残せし者へせみ時雨       臭いたつカブト首なり夏終わる