GITANESも許されるのだろうか。
それとは無関係に・・・。
マスター「SGCさんは、ウチで一度もアイスコーヒーを
注文してくれませんね。」
私「え?」
週に3回ほど通うその店は、コーヒーが自慢の喫茶店。
豆の販売もやっているのだが、大体30分から1時間ほど
座っている間に、豆を買う客だけでも1、2客は来店する。
カウンター6客分とテーブル3セットの店舗は、常に誰かしら
常連が複数座っている、繁盛店である。
マスター「いやあ、一度ぜひウチのアイスコーヒーを
飲んでもらいたいんです。真夏でもSGCさんは
ホットしか注文されないので。」
3年ほど通っているが、ホットコーヒーの他の注文をした
ことがない。
世の中すべての飲食物のうち、最も美味いものがアイスコーヒーだ
と常々思っている私が(ハンバーグ除く)、その店でそれを注文
しないのには訳がある。
コーヒーが自慢の店でホットコーヒー以外の注文をしたら
怒られるのではないか
という漠然とした不安を抱いていたのだ。
「なに~?!アイスコーヒー?!ケエレ(帰れ)!」
てな具合で、
味も香りも器もせっかくこだわったコーヒーを
差し置いて、アイスを注文するとは、なんて無粋な野郎だ!
と追い出されるのではないか・という根拠のないタブーを
勝手に創り上げていたのだ。
私「えっ?アイスコーヒー注文してもいいんですか?」
マスター「いいも悪いも、うちは喫茶店ですよ。アイスコーヒーも
普通でしょうに。」
私「てっきりマスターの気分を害するものと・・・」
マスター「とんでもない。うちのアイスコーヒーが病みつきに
なる人も多いんです。一度SGCさんに飲んでもらい
たいと思ってたんです。」
何と言うことだ。そんなことならもっと早く注文するんだった。
そもそも私は一年中アイスコーヒーを飲みたい人間だ。
昔、取引先との会話の中で、どうしても私を接待の席に
引きずり込みたい先方が、
「SGCさんは、何かお好みのものでもありますか?一席設けますので
なんなりとおっしゃってください」
と問われ、
「アイスコーヒーです」と答えて呆れ笑いされたほどの人間なのだ。
なんだ、そうだったのか。
適温適量適濃度・適香り・適うつわ・ホット至上主義のこだわりの
マスターかと思っていて損した。
マスター「そんなことないですよ。私も365日この店を営業してますが
朝5:45に店に来て、まず最初にやることがアイスコーヒーを
飲むことです。」
そうだったのか。
ではぜひアイスコーヒーをください。
アイスコーヒーが入ったグラスとミルクの容器、ガムシロップの容器が
目の前に置かれる。
ストローを突っ込んでとりあえず少量飲む。
確かにうまい。
ミルクを入れる。
マスター「あ、ちょっとSGCさん。もうちょっと入れて。」
あ、そうなの?
マスター「そう、もうちょっと・・・そうそうそれぐらい」
ガムシロップも入れる。
マスター「もっともっと入れないと。そうそうもっと。もっと。」
これぐらい?
マスター「もうちょっと、もうちょっとだけ。そうそう。それぐらい
入れたときのうちのアイスコーヒーのフレーバーさは
癖になるんです。」
結構入れたぞ。
しかし結局やっぱりマスターはこだわる人種だったのね。
美味い。
これで無理にホットコーヒーを飲まなくてもいいのだ。
この開放感。
| Trackback ( 0 )
|