素晴らしい意匠が詰まった宿 台温泉 中嶋旅館。
泊まったのは2007年。
その時点でアップしてたのですが、写真が小さくて。
この素晴らしい造作は、もっと大きい写真で見なくては・・・。
と、15年前の写真を取り出して、再びアップします。
もっときれいに写真を撮っておけば良かった。
素晴らしいものを造ろうと当時の宿主の心意気。
それに応えた職人技に目をみはる想いです。
今、こんな贅沢な造りは金銭的にも、技術的にも無理かもしれないと思います。
木造4階建て。
玄関です。
階段を上がった所左手がフロントだったかな?
左手に下駄箱・・・だったと思います。
まるで食器が収まっているような・・・。
2階、3階、そして泊まった部屋翁は4階ですが、エレベーターはありません。
今なら4階まで階段で上り下り出来ない。
こちらは、同じ4階にある千鳥の間の入り口。
各部屋の入り口には、1軒の家のような感覚を味わえるよう小さな屋根が付いている。
これは、古い宿ならよくみかけるのだが、中嶋旅館で驚いたのは、その屋根や小屋組を支える組み物の本格的な事。
お寺や神社でよく見られる組み物です。
戸はすりガラスで、戸の上部と足元は、通風のためかガラスではなく、彫り物が施されている。
これは、どの部屋の戸も共通だった。
翁の間の入り口。
火事、怖いですねぇ。
4階に部屋は3室あるようだが、この当時(2007年)翁の間だけ使われていた。
泊まった部屋は、中嶋旅館の中では最高ランクの翁の間。
最高といっても@15,900(当時の料金)なのだから、安いでしょ。
8畳の主室+4.5畳の化粧の間+4畳ほどの広縁+2疊ほどの洗面所。
8疊間と広縁を隔てるのは、あの有名な柳の下にカエルの障子。
床の間付け書院の素晴らしい彫り物の下地はガラスで、これが両側に開く。
開いた先に見えるのは洗面所と左は冷蔵庫。
洗面所はあるのだが、部屋にトイレは付いていない。
洗面所の窓も優しい木の格子窓。
4.5疊間にも床の間が設けられ、床かまちの下、踏み込み板にも豪華な彫り物が施されている。
床の間の狆(ちん)くぐり。
広縁の二方は窓で、ここから温泉街が望めるが、あまり眺めは良くない。
高い天井はちょっと変わった格天井で、外に面した小壁部分には明り取りの窓、8畳間に面した方は欄間と、贅沢な造りだ。
こちらは3階にある宝来の間の入り口。
デザイン的には、この戸が一番気に入った。
足元の青海波、ガラス部分の円といい、素晴らしい文様です。
以下、見せていただいた宝来の間。
何より驚いたのは、この広縁上部の小壁。
へたな説明は要らないですが・・・。
壁はしっくい・・・?
写真では薄い茶色に見えるが実物は、しっくいの白です。
仲居さんは木製だと言われたが、真ん中に走るヒビを見ていると、しっくい壁だと私は思った。
黒く漆が塗られた長押とそれを支えるヒジ木。
鮮やかなデザインに思わず息をのむ。
う~んとうなるしかない私。
何ヶ月も職人さんを泊めて作らせたものだという。
館内、階段や廊下などは質実簡素な造りに思ったが、一歩、部屋の中に入ると素晴らしい空間が待っていた。
なんという豪華なインテリアなんだろう。
今ではこれだけの内装を出来るだろうか?
お金と手間をかけて作られた日本建築の見事な造作。
この目で見て、触れて・・・そして、ためいき。