私の実家は、京阪沿線。
ダンナとのデートはもっぱら天王寺。
天王寺から京橋まで、この環状線にはよく乗りました。
当時、大阪城公園という駅はなく、森之宮の次は京橋。
京橋に近づくと左手に、不気味な工場跡が見えました。
砲兵工廠(ほうへいこうしょう)。
明治初期からの歴史を持つ陸軍兵器工場だったそうな・・・。
昭和20年8月14日というから終戦の1日前、B29の爆撃で80%もの建物が壊滅状態に。
以来、25年あまりほったらかし。
乙女心に、いつまでこのままほっておくのだろう・・・?
不思議に思ったものです。
時は移り、今は、大阪城ホールが建ち、付近は大阪ビジネスパークと名付けられ、ホテルニューオオタニや読売テレビなどの大きなビルがそびえています。
当時の面影はすっかりなくなってしまい、私の記憶からも消え去ろうとしていました。
この一角に大阪城桃園があるというので初めて見に行ってみました。
反対側から見た大阪ビジネスパークです。
壕の左岸に桃園はあります。
古めかしいレンガ造りの門が建っていました。
一目見て、これが砲兵工廠の遺物だと分かりました。
傍らに砲兵工廠の石碑が建っています。
砲兵工廠の事など知らない人には、この碑が何なのか?さっぱり分からないでしょう。
案内板のようなものはありません。
終戦後、瓦礫と化した建物内に入り、鉄くずを拾う人達の争い事もあったという。
負の遺産を残すつもりはないのでしょうか。
私は、これを見て嬉しかったです。
懐かしい光景と、デートの前後の複雑な気持ちが鮮明に蘇ってきました。
砲兵工廠の正門だったレンガ造りの門を入ると、古ぼけ崩れかけた、レンガ作りの小さな建物があり、守衛室&トイレだったそうです。
すぐそばには、こちらもレンガ作りの化学分析場だった建物。
この建物、長い間自衛隊が使っていたようですが、今は空き家・・・?
そこから少し進むと桃園がありました。
天気も良かったので多勢の見物人。
桃の花はきれいだし、周囲も整備され、少し前に見たレンガの守衛室などには違和感すら感じてしまいます。
これでいいんだろうか?
何も知らないで桃を見に来る人に、かつてここが何であったのか、知らせてもいいと思う。
平和ボケしてるんだから・・・。