映画「海よりもまだ深く(2016年公開)」を観た。
【解説】「海街diary」「そして父になる」の是枝裕和監督が、「歩いても 歩いても」「奇跡」に続いて阿部寛と3度目のタッグを組み、大人になりきれない男と年老いた母を中心に、夢見ていた未来とは違う現在を生きる家族の姿をつづった人間ドラマ。15年前に文学賞を一度受賞したものの、その後は売れず、作家として成功する夢を追い続けている中年男性・良多。現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、彼女を「張り込み」して新しい恋人がいることを知りショックを受ける。ある日、団地で一人暮らしをしている母・淑子の家に集まった良多と響子と11歳の息子・真悟は、台風で帰れなくなり、ひと晩を共に過ごすことになる。主人公の母親役を樹木希林が好演し、共演にも真木よう子、小林聡美、リリー・フランキーら豪華な顔ぶれがそろう。
是枝作品には欠かせない自然な会話と食事のシーン、そしてお手製のカルピスシャーベットを入れる不揃いのグラスや狭いキッチンでの横歩きや冷蔵庫を開ける度に椅子に座っている人が前かがみになったり、ガス台周りの油フェンスや古ぼけた小さな風呂等の細かい描写がとても良い。年老いた母親が息子と話したいがためにわざわざエレベーター無しの四階から降りて他愛もない会話を続けるシーンは様々な思いがよぎってしまう・・・テレサ・テンの名曲「別れの予感」が流れ、以前観た「歩いても、歩いても」同様、ようやくこのタイトルの意味を知る。
台風の中、公園の大きな滑り台へ家族で過ごすシーンがある。これが何だかとても印象的だった。