先月の末廣亭では入場すら出来なかったので、改めて休日に新宿へ出掛け、昼の部の主任を務める林家正蔵を観に行った。2012年の「東海道松竹落語会」以来、舞台では2017年の音楽劇「マリウス」以来の「こぶ平」である。昼の部終了ギリギリに到着し、安堵した表情で「正蔵に間に合いました?」と受付に訊ねると「本日は休演でして・・・」とのこと。身体の半分はすでに客席に入っていたので「(それでも)大丈夫ですか?」の声掛けに笑顔で応える。まあそんなこともある。
エアコンがガンガン効いた館内の最後列に腰を下ろし、夜の部が始まる。冒頭の二ツ目落語ではつい舟を漕いでしまうが、「おしどり(漫謡)」「ストレート松浦(ジャグリング)」「アサダ二世(奇術)」「隅田川馬石」「むかし家今松」はなかなか良かった。特に夫婦であるおしどりの女性の奏でるアコーディオンと歌声の昭和感には感動すら覚えた。気が付けばあっという間の二時間が経過し、心地良いほどの浮世離れであったが、お中入りと同時に空腹と喫煙に耐えきれなくなり、古今亭菊之丞、柳亭市馬を見ずに席を立った。ごめん・・・それにしても落語以外の「色物」さんたちの独特の雰囲気にはいつも心惹かれる。また時間を追うたびにお客さんがパラパラと入場してくるのだが、女性のひとり鑑賞が少なくなかった。
ちなみに館内には大きな文字で「撮影禁止」の貼り紙。幕間にスタッフさんに演者さんが登壇していない時の撮影について確認したが、すべて禁止とのこと。この風情ある館内を撮影したかったのだが仕方ない。また併せて喫煙についても訊ねたが「全館禁煙です」とこちらも実ににべもない。そうなると登壇していないときは撮影可能で入口横で堂々と喫煙出来る浅草演芸ホールに足が向いてしまうってもんだ。まあ今も可能なのかは分からんが、浅草はそんな野暮なことはしないだろうと願うばかりである。