梅雨本番の蒸し暑い日が続いているが、梅雨の晴れ間となったこの日、知人が出展されている現代書の展示会が、東京銀座と国立新美術館で始まり、数々の素晴らしい書道作品を鑑賞させてもらった。
この日の「白峰社役員展」には、知人が会員として活動されており、毎年、「白峰社書展」と「白峰社役員展」の開催時には、お招きをいただいているが、この日も顔馴染みになっていた会員各氏と、楽しくお話を伺いながら素晴らしい『書』の世界を覗かせてもらいました。
自分は、これまでも全く書道には縁がなく、『お習字』の延長の上にしか知識がないが、昨今の『書』の奥深い世界は、想像を超えている。
今回は、『霧』と『霞』をテーマに、『夢幻の世界を~』を創作された約110点の作品には、霧や霞が盛り込まれており、会場内は霞んではいなかったが、幻想的な書の世界があった。
昨今のパソコンや携帯文化の発達で、生活様式が変化しているが、文字文化は欠く事ができないものとなっており、東洋の漢字やかな社会のみの文化でもある。
その文字を美しく、テクニカルに表現するのは、まさに創作者の人間性や感覚がそのまま形になっているように思われる。
多くの作品にも、その文字・詩にも個性が表れており、当然専門家から観て優劣があるのだろうが、我々素人から見ると、その形や筆のタッチ、濃淡などで直感的に感じるものがある。
特に、この日に感じた詩と書体から好きなものは、「濃霧の中を二人で歩く七十年の歳月を・・・」や「霧の都倫敦の瓦斯燈に浮ぶ君の影」、「いつかどこかで二人があったあの日も霧に包まれていた・・」などですが、どこか夢やロマンスの匂いが滲んでくるようである。
また、「霧の摩周湖」や「霧子のタンゴ」、「霧にむせぶ夜」など、一昔前に好んで歌った曲も連想されるが、一方では、先の見えない世相を読まれているようでもある。
しばし、夢を描いた後に、次の会場である『第62回毎日書道展』が開催されている国立新美術館へと向かった。
毎日書道展は、毎年公募と会員含めて3万5千点を超す応募があるそうで、日本最大の書道展と言われており、今回も案内書によると、伝統の書から現代書まであらゆる分野を結集して約1万5千点を超す入選作品が展示されるそうです。
あの国立新美術館でも、展示スペースが限られて作品分野ごとに、約1ヶ月に亘って4回に分けて展示されるそうです。
美術館は、「オルセー美術館展」が開催されていて、平日ながら待ち時間は無いようであったが入り口は相当混雑していた。
「毎日書道展」は、それ程混雑はなく1Fから3F までの広い会場の中で、目指す作品の展示されているところを探すのに一苦労していた。
第一期の展示作品は、目録によると約7000点近くあるようで、約2時間近く走りまわったがとてもじゃないが、落ち着いて観れずに、目指す作品を探すだけでも汗をかく有様でした。
特に、眼につくのは「前衛書」で、これが書道かと思わるようなアート作品が多く、目が引き付けられていた。
我が故郷の書家である吉川壽一氏の作品も、審査員コーナーで見つかったが、前衛書家の代表的な氏の作品は目立っており、タイトルは「さわやかな真実」である。
また、特別展として、書家であり書学者であり歌人である、書壇をけん引した松井如流氏の代表作や著書、歌集など約200点が展示されていたが、現代の日本書壇の代表敵存在だったそうで、現代の「書のある生活」を導かれた方の功績を眺め見た思いである。
書は、絵画とともに作者の心を描き「書は心画である」とも言われるそうであるが、絵画とともに個性が表れており、奥が深いと実感した一日であった。