渓(たに)の流れに 散り浮くもみじ
波にゆられて 離れて寄って
赤や黄色の 色様々に 水の上にも織る錦
色づく山、流れを埋めるもみじやかえで。いずれ劣らぬ色自慢。 銀杏並木は枯れ葉を落とし、足元高く黄金色。
木の葉や果実が黄色く色づいて落ちることを、黄色が落ちる「黄落」というのだそうだ。 晩秋のはかない情景を表す端的な言葉として重宝されている。 俳句や短歌の世界でも季節を言い表す言葉として使われている。
日本全国北から始まった紅葉。段々南へ下がっていき、その地方独特の艶やかさを誇った紅葉も、いよいよ名残を惜しむ頃となった。
同じ季節の変わり目でも、往く夏を惜しむ、あの暑かった夏が往くことに深い感慨を持つ、そんな人が多い。 なんとなく分かるような気もする。 が、朝に夕に目に入る山が全山紅葉し、やがて枯れ果てて行く様子は、これから厳しい冬を迎えるだけに、さびしさと厳しさの入り交じった季節の変わり目を、強く感じてしまう。
黄色が落ち、土に還り、やがて新たな緑が生まれる。 少しの寂しさが大きな期待に変わる。
もの思う晩秋の空に、十五夜のお月様が優しく浮かぶ。
( 写真 : 黄金色の絨毯、葉を落とした銀杏並木 )