めったにこんなところに降りることはない 手頃な枯れ枝をくちばしでゲット!
向かいの小山のアオサギが、例年に比べると約1ヶ月遅れで、ようやく巣作りを始めた。
ここにきてやっと何組かのつがいが出来上がり、2羽が仲良く協力する様子が見える。
掴まるのが精一杯の枯れ木同然の栗の木に、せっせと枯れ枝や竹の切れ端を運び、協力して巣作りに余念がない。
巣を架ける位置からすぐ近くの伐採された山肌に舞い降りる。こんな光景は、巣作りの材料調達中の今しか見られないアオサギ君の勇気ある行動である。
どうかすると、あの大きな身体の自分よりもっと長い木切れをくわえて運ぶ。
受け取った一羽は、丹念に丹念に縦に差したり横に組み合わせたり。枯れ木に見える木の枝をも大きなくちばしで曲げ、引っ張り込んで組み合わせ段々厚くしていく。生きている木と組み合わせることで、風にも飛ばされない頑丈な巣に仕上がっていくのだろう。
考えてみると、そんな営みは我々人間と大きく変わらないのだと思う。
自分の身体より随分長い木を死に物狂いでくわえて飛ぶ姿は、自分の1ヶ月の給料の何十倍、何百倍もの投資で家を一軒構えるのと実によく似ている。そこで妻子と共に過ごし、得も言われぬ癒しを受け、仕事をする意欲をかきたてる。
そんな住処も、積み重ねた思い出も、一瞬にして根こそぎ奪っていく自然災害。
泣いても泣ききれない残念な想い、想像を絶する。
そんなことを考えながら巣の方に目をやると、ここんところの冬逆戻りの寒さに震えながら、二羽がひっそり寄り添っていた。