いよいよ60歳代最後の日。いろんな想いが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。
何はともあれ、来し方に万感の想いを込めて先ず一献。
大きな患いもなく、今日まで世間と深いかかわりを持ちながら生きてきた自分に一献。
そして、陰に日向に支えてくれた糟糠の味噌桶に一献。
さらには、あの方にこの方に、またこの方にあのお方に・・・差し上げたい一献は続く。
単なる一つの通過点と言ってしまえばそれまでのことかもしれない今日という日。
そんな簡単な一言では済まされない「何かがある」という想いは強い。
よくは分らないがこれまで生きてきたこと、生かされてきたことへの、言葉や文字では表せない大きな大きな不可思議な力を感じずにはいられない。
たかだかこの10年を振り返っても、それこそ生涯に一度しか巡り合えない歓びの頂点や、悲しみのどん底も味わった。交友の広がりも桁はずれに大きくなった。そんなことを思い合わせながら69年という長きを振り返るとき、気が遠くなるほどの諸々が積み重なっていることを思い知る。
改めて思う。人生って面白いものだということを。
ひたすら感謝の念を胸に秘め、自らの気持ちの中で大いなる祝杯を挙げた。
とっても甘く、時にホロ苦く、時に甘酸っぱく・・・色んな味のする今夜の大吟醸。
明日からの活力になってくれるに違いない。